東大生が新たな文化・価値観に触れることを目指す「体験活動プログラム」のひとつとして、吉本興業とのコラボで実施されている「笑う東大×学ぶ吉本プロジェクト」。その一環として、茨城県阿見町で4月2日(日)に開かれた「あみさくらまつり2023」に東大生が参加し、自作の謎解きゲーム大会『あみまち謎解き大冒険』を開催しました。地域をテーマにした“難問”に、多くの住民たちが頭を悩ませながら楽しいひとときを過ごしました。
「相撲部屋体験入門」プログラムの集大成
「笑う東大×学ぶ吉本プロジェクト」と阿見町のかかわりは、2022年8月に実施された「相撲部屋体験入門」にさかのぼります。このときは6人の東大生が、阿見町にある元横綱・稀勢の里が率いる二所ノ関部屋を訪問。朝稽古などを見学しました。
今回はその「相撲部屋体験入門」プログラムの集大成として、あみさくらまつりを謎解きで盛り上げることになったのです。学生たちは何度も阿見町に通い、地域や二所ノ関部屋の情報がちりばめられた全10問の謎解きゲームを作成しました。
祭りの開会式では、二所ノ関親方と茨城県住みます芸人のオスペンギン(山中崇敬、でれすけ)も駆けつけ、会場を盛り上げます。
教養学部4年生の増田和俊さんは『あみまち謎解き大冒険』について、こうアピールしました。
「阿見町は東京近郊でありながら自然豊かで、それと同時に歴史もある素晴らしい場所だと思っています。その阿見町の魅力を伝えられる謎解きを作成しましたので、ぜひお楽しみいただければと思います」
オスペンギンも「東大生なんて、芸人より珍しい。ぜひ奮って参加してください!」と参加を呼びかけました。
参加者も感激「阿見町のことがよくわかる」
開会式が終わると、多くの来場者が謎解きのリーフレットをもらおうと「東大×吉本興業」のブースに詰めかけます。100枚を超えるリーフレットは、あっという間に配布終了。参加者たちは家族や友人同士で相談し合って、謎を解いていきました。
友人と来ていた40代の男性は「難しい!」と言いながら挑戦。このゲームについて、「こうやって謎解きをつくってくれて、それを目当てに来た人もたくさんいると思う。地域貢献に役立っていると思います」と地元ならではの目線で感謝していました。
50分ほど過ぎると、謎を解き終える人もちらほらと。小学生の子どもを連れた夫婦は、すべての問題を解き終えて「スカッとした!」と会心の笑みを浮かべます。
「阿見町の名産や歴史を知ることができて、すごく良いクイズでした。答えを調べるなかで、『あみっぺの部屋』(阿見町魅力発信サイト)を初めて見たり、お祭り会場をぜんぶ回れたりできました」
謎解きクリアは「M-1を取ったときの嬉しさ」!?
オスペンギンも、参加者たちと一緒になって謎解きに挑戦します。序盤は「行ける、行ける!」とサクサク解いていきますが、後半になって難易度が上がってくると大苦戦。
「答えを聞きに行こうかな……」と心が折れかけますが、2人で相談しながら、なんとか1時間ほどでクリア。でれすけは「やったー!」と歓喜のガッツポーズを見せました。
一方の山中は「単純にクオリティが高すぎる。有料レベルの楽しさだったと思います」と問題の質に驚きながらも、「感覚的には、僕らがM-1を取ったときの嬉しさに似ている」とニンマリ。でれすけから「M-1取ってないよ。取らずに卒業してやったよ」と冷静にツッコまれていました。
東京大学本部社会連携推進課で体験活動プログラムを担当している古川さんは、集まった人たちを見て、「予想よりも人が多くて驚きました。東大生たちがこうして地域を知ることが、将来にすごく生きると思います」と、プログラムの成果を実感している様子。
また農学部4年生の武市尚輝さんも、プログラムに参加した感想をこう話してくれました。
「小さいお子さんたちが謎解きに真剣に取り組んでいて、次世代の子たちが阿見町や相撲に関心を持つきっかけをつくれたことが嬉しいです。私は地方創生に興味があるので、学生のうちにこういう経験を積むことができてよかったです」
プロジェクトは今後も継続
こうして、さくらまつりの終了までイベントを盛り上げ続けた東大生たち。最終的に謎解きには670人が参加し、89人が正解する大盛況の催しとなりました。最後に学生を代表して冒頭にも登場した増田さんに感想を聞くと、笑顔でこう話しました。
「多くの方に楽しんでいただけてよかったです。今回、吉本興業の方々と謎解きの問題をつくったり、当日の運営にいたるまでの議論をさせていただくなかで、ひとつのものを成し遂げることの大変さに気がつきました。初めてのことばかりで、私も勉強になりました」
なお「笑う東大×学ぶ吉本プロジェクト」は、2023年度も継続が決定。今年度は、「お笑いファン」向けデジタル・マーケティング、芸人×東大生 特別授業、漫才ワークショップ、東大×吉本 同期ライブ「笑いの傾向と対策 令和5年度版」の4つのプログラムが予定されています。