血液のがんの一種、多発性骨髄腫で闘病中の宮川花子が5月1日(月)、夫で相方の宮川大助と4年ぶりにステージで夫婦漫才を披露しました! 大阪・YES THEATERで開催された公演「宮川大助・花子の『おまたせ!』」には、ゲストとして多くの人気芸人たちが駆けつけて花子の復帰をお祝い。今年の正月に「復活の年」という目標を掲げた花子は、衰え知らずのマシンガントークを繰り広げ、客席を埋め尽くしたファンに元気な姿を届けました。
車イスで相変わらずの“舌好調”
この日の司会進行を務めたのは、大助・花子の娘である宮川さゆみをはじめ、宮川隼人、宮川たま子という“弟子3きょうだい”。オープニングでは、客席からの割れんばかりの拍手に迎えられ、大助・花子がステージに登場しました。車イスに座った花子は「4年ぶりに、皆さんの前に出ることができました」と挨拶し、相変わらずの“舌好調”ぶりを見せます。
「私も金曜日に抗がん剤を打ちまして、今日はすこぶる元気です! 治らなくても、こうやって元気になんとか生きてます。皆さんより私のほうが長生きすると思います。皆さんも根性決めて長生きしてくださいよ~!」
続いてゲストの芸人たちがネタを披露。フリーサイズ(オカン山口、さなえ)、ラニーノーズ(洲崎貴郁、山田健人)、さや香(新山、石井)、夫婦円満(くもんリサ、小米良啓太)、天才ピアニスト(竹内知咲、ますみ)、桂珍念、インディアンス(田渕章裕、きむ)、テンダラー(白川悟実、浜本広晃)が客席を沸かせます。
この日、テンダラーの2人は大助・花子の復活公演にぜひ出演させてもらいたいと、京都・よしもと祇園花月からYES THEATERへ駆けつけました。ところが、出番ギリギリに劇場入りした白川が大急ぎで舞台衣装に着替えていると、花子のおしゃべりにつかまってしまったんだとか。花子に「出囃子が鳴っても、まだパンツ一丁だった」と明かされ、お客さんは大笑いです。
大谷翔平ネタや闘病秘話も笑いに!
そしていよいよ、大助・花子の4年ぶりとなる漫才です。
まずは、大助・花子の復帰までの4年間をまとめたVTRから。大助・花子が最後に漫才を披露したのは、2019年6月のこと。その後、療養生活に入った花子は、一時は下半身不随の状態で「余命1週間」の宣告も受けながら、同年12月に病名を公表し、懸命の闘病とリハビリで2021年12月に舞台復帰を果たしました。
VTRは2019年のがんが判明した時期から始まり、花子が「ぜったい自分のために泣いたらアカンと思っている」と涙をこらえるシーンも……。
2020年の退院、そして自宅での大助の献身的な介護や、懸命のリハビリに加え、昨年4月になんばグランド花月(NGK)で開催された吉本興業創業110周年特別公演「伝説の一日」での様子も収められていました。
そして2023年元旦、初日の出を前に今年の抱負を「復活の年」と誓った2人。4月には、ほころぶ桜のつぼみを前に「私も早く花咲かさなアカンわ」とつぶやく花子――2人で支え合ってきた軌跡が克明に映し出されました。
2人の目標だった復帰の漫才は、花子は車イスに、大介も椅子に腰掛ける新しいスタイルです。
大リーガー・大谷翔平のネタから始まり、ホノルルマラソンに夫婦で出場した際のエピソードで息のあった掛け合いを繰り広げます。これまでの2人の闘病経験を振り返りながら、それさえもすべて笑いに変える花子の話術にお客さんは大笑い。最後は万雷の拍手が送られました。
サプライズゲストも続々登場
続くトークコーナーで、花子は「楽しかったです!」と笑顔。一方の大助は、「自分は嫁はんの介護のしか頭になかったんで、(漫才の)呼吸が全然わからなくてずっと不安やったけど、とにかく『楽しもう』と思った」と振り返りました。
「私はいま“パラ芸人”やと思っています」という花子は、こう続けます。
「今日お越しのお客さんのなかに、東京パラリンピックの乗馬で入賞した方が来られている。ようがんばられました。夫婦で獲ったようなもの。だから私、パラリンピックはすごく憧れています」
トークコーナーの後半には、矢野・兵動の矢野勝也が誕生日ケーキとともにステージに登場。この日は、司会のたま子の誕生日です。「人のイベントで誕生日会する~!?」と笑う花子に、たま子は「自分の誕生日に、師匠の復活イベントがあるなんて夢みたいな話です」と感激の涙を流しました。
さらに、長年の仲間であるザ・ぼんち(ぼんちおさむ、里見まさと)もステージに上り、「花ちゃんの夫婦、復活よかったー!」と喜びを爆発させます。大助・花子の漫才を見たおさむは「本当にしゃべくりが達者。何年か休んでたなんて、ぜんぜん感じなかった。僕のほうが休んでるみたいやもんね」と笑わせました。
相次ぐサプライズに、花子は「こんな幸せな復活はない。大助・花子、幸せです!」と終始笑顔でした。
大助「そばにいてくれるだけでいい」
公演後、大助・花子が囲み取材に応じました。実はこの日、花子は右目の奥にできた腫瘍のせいで、客席がよく見えなかったと明かします。
「お客さんの反応が全然わからなかったんですけど、みんなが笑っていただいてたっていうのがわかりました。もう自分は喋るのは必死でした」
大助が「楽しんでしゃべってた」と言うと、花子も「楽しかったなぁ!」とうれしそう。漫才は、15分の予定時間が少しオーバーするほどの盛り上がりでしたが、花子は「大助さんが、けっこうネタ忘れてた(笑)」と笑いました。
今回の復活公演に向けて1週間前からネタを書いたという花子は、こう語りました。
「いままでのトータルとして、こういう感じでやりましょう、と。大谷選手の話題は絶対に入れておかないと、と思いました。よう考えたらDH(指名打者)=大助・花子やん! となりまして」
一方、4年間、花子を支えてきた大助はこう振り返ります。
「漫才どうのこうのというよりは、僕は、女房がそばにいてくれるだけでいい。本当に久しぶりに舞台の(声の)トーンを聞くわけですから、そのトーンを出したときに嫁はんがひっくりかえったらどうしよう、というのはありました。でも、どんどんしゃべってくれるんで、『本当に楽しんでくれてるな』というのが喜びでした」
さらに、大助が「本当にそばにいてくれるだけでいい。好きで一緒になった女房なので、その気持ちはいまだに変わらない」と深い愛情を語ると、花子は「心配症ですよ。ほとんどもう24時間(介護)。朝ごはんも楽しそうに作ってくれています」と笑わせながら感謝しました。
「今日、泣きに行きます!」「笑いに来てや!」
4年間というブランクは、花子にも不安があったそうです。
「最初は一瞬、グッときたんです。でもこの4年間で、若手の子、さや香ちゃんもそうだし、ラニーノーズもそうやけど、みんなめっちゃ頑張ってくれてるから嬉しかった。今日出たのは、みんなよく生駒の家に遊びに来てくれたメンバーなんですよ。その子たちが頑張ってくれてるから、それが私のパワーになりました」
会場を埋めたファンたちともSNSを通じて交流していたそうで、「来る前にTwitterに『今日、泣きに行きます!』と届いたから、『笑いに来てや!』って言ってたんです。お客さんも待っててくれてはったんやな、と気持ちがぐっと入りました」と語りました。
さらには近ごろ、「顔色がいいとよく言われる」という花子。これを受けて大助は「(花子は)あれだけ薬を飲んで、記憶力がいっさい衰えないんですよ。僕はなにも飲んでいないのに、記憶力がどんどん悪くなっていく」と笑わせました。