『NHK上方漫才コンテスト』優勝のコント師・スナフキンズ、憧れの先輩に「ちょっと近づけたのかな」

上方演芸界における新人の登竜門として長い歴史を誇る『第53回NHK上方漫才コンテスト』を制したのは、NSC(吉本総合芸能学院)の同期が組んだコント師、スナフキンズ(松永ボディ、朝地亮介)でした。6月9日(金)に大阪・NHK大阪ホールで開かれた本選で、接戦の末、勝利をつかんだ2人。「50%くらいは自信があった」と言いながら、喜びを爆発させました。

出典: FANY マガジン
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このコンテストでは、これまでオール阪神・巨人、トミーズ、フットボールアワーといった第一線で活躍中のベテラン・中堅が最優秀賞を受賞。近年では、かまいたち、和牛、アインシュタインらが優勝を果たしています。今年も結成10年未満の芸人100組がエントリーし、丸亀じゃんご(北村敏輝、安場泰介)、大自然(しんちゃん、ロジャー)、パーティーパーティー(きむきむ、ひらかわ)、フースーヤ(田中ショータイム、谷口理)、スナフキンズ、爛々(萌々、大国麗)、ハイツ友の会(清水香奈芽、西野)、マーメイド(田村境祐、テクニック)の8組が本選に臨みました。

「夢みたい」を連発

優勝が決まったあと、囲み会見に応じたスナフキンズは、そろって「夢みたい」を連発しました。

「本当にすごい速度で終わって、気づいたら優勝していた」――いまだ信じられないという様子で松永が語ると、朝地も「こんな大勢のお客さん、豪華なセットでやらせてもらったのは初めて。緊張もしましたが、それ以上に楽しかった!」と喜びを爆発させました。

この日の司会進行は、千原兄弟(千原ジュニア、千原せいじ)が担当。トミーズ・雅、ハイヒール・リンゴ、ますだおかだ・増田英彦、内藤剛志、大林素子、フットボールアワー・岩尾望、DJ KOOが審査員を務めます。1回戦では4組ずつ2つのブロックにわかれて戦い、それぞれ1位のコンビが決勝で激突。ネタ時間はいずれも4分以内となっています。

Aブロックではマーメイド、ハイツ友の会、フースーヤ、爛々のなかから、男性の“あるある”を怒涛のしゃべくり漫才に仕上げた爛々が、4票を獲得して決勝に進出。リンゴは「貫禄が出てきましたね。新人の賞レースじゃなく、もっと大きな賞レースの感じがするぐらい」と、2人の堂々たるパフォーマンスに舌を巻いていました。

丸亀じゃんご、パーティーパーティー、大自然、スナフキンズのBブロックでは、立ち飲み屋を舞台にしたコントで爆笑をさらったスナフキンズが決勝へ。1回目の投票では2組に3票ずつ入る混戦となり、決戦投票を制しました。トミーズ・雅はレベルの高い戦いに「わからん! どうしよう!」とお手上げ状態でしたが、悩んだ末に、最後はスナフキンズに1票を投じました。

出典: FANY マガジン
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1対1で対決する決勝では、爛々が“曖昧な言葉”をテーマにした漫才を、スナフキンズが反抗期を迎えた息子と母のコントを披露。審査員の判定は、爛々が3票、スナフキンズが4票となり、接戦の末、スナフキンズが優勝を決めました。

小さく「っしゃー!」と叫びながら両手を高く掲げた朝地。松永は満面の笑みで歓喜にひたります。勝利の感想を聞かれると、朝地は「2本できただけでもうれしかったが、結果がついてきてくれて、本当にうれしかった」とひと言。雅は激戦を振り返り、「おもしろいのは強いな。やっぱり(笑いの)腕やわ。ありがとう、本当におもしろかった」とファイナリスト全員を称えていました。

空気をつかんだ人が勝つ

NSC大阪34期の同期ながら、ずっと別々のコンビで活動してきた2人。芸歴6年目のころ、ちょうど同じタイミングで解散したことから、前々から松永のことを「おもしろいキャラクターだと思っていた」という朝地が誘う形でスナフキンズを結成したそうです。

本選を戦ったほかの7組にはそれぞれ違うおもしろさがあり、「あとは運というか、そのときの空気をつかんだ人が勝ち上がれる。誰もが優勝する可能性があるなと思っていた」と朝地。だからこそ、「ネタの細かいところまで詰めてやりきれば、自分たちにもチャンスはあるだろう」と感じていたそうです。

松永も「この空気を飲み込めた人が勝てると思っていた。50%ぐらいは自信があった」とうなずいていました。

出典: FANY マガジン
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ライバルや憧れの存在は…

朝地がネタづくりで心掛けているのは、「1発で松永のキャラクターを伝えることと、大きい展開を作っていくこと」。一方の松永は「朝地が書いてくれたものを全力でやるだけ」とチームワークもバッチリです。

今後、出てみたいNHKの番組を聞かれると、「『天才てれびくん』。高校生のときも録画して見させてもらっていたので、絶対にいつか出たい」(松永)、「コント師なので演技という部分で朝ドラと、『わらたまドッカ〜ン』などネタ番組にも出させていただきたい」(朝地)と夢が広がります。

囲み会見では、ライバルや憧れの存在についても質問が。朝地は先輩であるビスケットブラザーズ(きん、原田泰雅)を挙げます。

「5角形でいうと、ぜんぶ埋まっているようなすごいコント師。そうなれるように続いていけたら。今回、(賞を)獲れたことで、ほんのちょっとですけど、近づけたのかなという気持ちがあります」

松永からは「ずっと一緒にやってきて仲もいい」という同期で「 ytv漫才新人賞決定戦」王者(2021年)の隣人(中村遊直、橋本市民球場)の名前が。「(隣人が)先に賞を獲って、僕らは何くそとやっていた。これで隣人にちょっと近づけたかな」とうれしそうに話していました。

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