ソーシャルビジネスで沖縄をスーパーハピネスな島に! 吉本興業が「島ぜんぶでうむさんラブ」事業開始

吉本興業ホールディングスのグループ企業「よしもとラフ&ピース」などが10月21日(木)、東京・有楽町の日本外国特派員協会で記者会見を開き、沖縄でソーシャルビジネスを推し進めるためのインキュベーション推進事業 「島ぜんぶでうむさんラブ」を発表しました。笑いの力で沖縄を社会問題解決のソーシャルビジネスアイランドにしよう、というこの事業。会見には、ノーベル平和賞受賞者で経済学者のムハマド・ユヌス博士や吉本興業ホールディングスの大﨑洋会長らも登壇しました。

出典: FANY マガジン

ユヌス博士も「ワクワクしています」

「社会や人々を転換していくために休眠預金等活動でどんなことができるのか、とてもワクワクしています。また、その制度のなかでソーシャルビジネスが注目されていることを嬉しく思います」

会見にオンラインで登壇したユヌス博士は、「島ぜんぶでうむさんラブ」の事業について期待を込めてこう語りました。

「ソーシャルビジネス」は、バングラディシュのグラミン銀行創設者で、2006年にノーベル平和賞を受賞したユヌス博士が提唱する新しいビジネスの形で、利益の最大化を追求する従来型のビジネスモデルとは違い、社会が抱える課題を解決するための取り組みをビジネス化し、慈善事業ではなく、経済的に自立することで持続的に事業を展開することを目的としています。

吉本興業は、ユヌス博士とともに2018年に「ユヌス・よしもとソーシャルアクション(yySA)」を立ち上げるなど、国内の身近な社会問題をエンターテインメントの力で解決するさまざまな取り組みを行ってきました。

出典: FANY マガジン

今回、発表されたインキュベーション推進事業「島ぜんぶでうむさんラブ」は、沖縄県におけるソーシャルビジネスの起業支援・普及啓発を目的としていて、10年以上取引のない「休眠預金」などを社会事業に活用する「ソーシャルビジネス循環モデル地域形成事業」として、九州地域ソーシャルビジネス・コンソーシアムから助成を受けて実施されます。

沖縄国際映画祭でビジネスコンテストも

事業名である「島ぜんぶでうむさんラブ」とは、“沖縄全体にワクワクするプロジェクトを”との思いから、沖縄の言葉で「面白い、ワクワクする」を意味する「うむさん」に、「産む」「SUN(太陽)」の意味も込め、また「ラブ」にも「LOVE」と「LABO(研究所)」の2つの意味が込められています。

具体的な計画としては、沖縄県内各地で「出張インキュベーション」による講習会やワークショップを実施するほか、2009年から毎年開催されている「島ぜんぶでおーきな祭 沖縄国際映画祭」でビジネスコンテストを行うこと、2022年3月に吉本興業グループが開局予定のBS放送局でソーシャルビジネスをテーマにした番組を制作・放送すること、さらには株式会社うむさんラボと連携して、沖縄の貧困問題の解決策として、沖縄県41市町村におけるソーシャルビジネスの普及啓発を目的としたインキュベーション事業を展開していくことなどが発表されました。

出典: FANY マガジン

笑いの力で「3つのゼロの社会」を

「社会問題という難しくなりがちな課題を、人を笑顔にする笑いの力で解決できないかと考えてきました」

会見で吉本興業ホールディングスの大﨑会長は、「島ぜんぶでうむさんラブ」事業をスタートさせる思いをこう語りました。

吉本興業は、これまでも地方創生の取り組みとして、2011年に「あなたの町に住みますプロジェクト」をスタートさせ、47都道府県に“住みます芸人”を派遣して地域の活性化に取り組んできました。

その結果、いまや住みます芸人は全国各地の547件の観光大使に任命され、地方のラジオ・テレビのレギュラー番組を担当したり、特産品の開発・販売などを手掛けたり、ひとつのソーシャルビジネスとして形になりつつあります。

出典: FANY マガジン

沖縄をソーシャルビジネスアイランドしようという今回の構想も、その延長線上にあります。

「ユヌス・ソーシャル・ビジネスの理念のもと、沖縄の41市町村全体でさまざまなビジネスが立ち上がり、それらが持続可能なビジネスとなることで、笑顔があふれる『貧困ゼロ』『失業ゼロ』『二酸化炭素排出ゼロ』の『3つのゼロの社会』を目指します」

そう語る大﨑会長は、「来年3月に開局予定の、ソーシャルビジネスをテーマにした番組を制作・放送するBSよしもとをはじめ、弊社の持つ多様なプロモーションツールを活用し、沖縄県に存在する社会課題とその解決方法を広く全国に発信し、ポジティブな影響を与える社会の構築を目指します」と高らかに宣言しました。

まずは沖縄を世界のお手本に!

こうした取り組みに、ユヌス博士も大きな期待を寄せています。

「人類はいま、絶滅の危機に直面しています。レッドゾーンに入る前に、『3つのゼロ』を実現しないといけません。そのためにも、本事業は重要なポイントとなります」

沖縄で始まるこの事業が、日本だけでなく世界の目標でもある――ユヌス博士はそう話します。

「まずは沖縄で実現することで、すべての人が楽しめる世界にシフトしていく。沖縄が世界の見本となることで、人類は最後に向かうのでなく、大きな転換に向かっていくのです。沖縄をスーパーハピネスな島にしていくこと、これが大事だと考えています」

出典: FANY マガジン

会見では、株式会社よしもとラフ&ピース の和泉かな社長がこれらの事業の概要を発表したほか、休眠預金の活用団体である一般財団法人「日本民間公益活動連携機構(JANPIA)」の鈴木均事務局長がオンラインで登壇し、2019年にスタートした、休眠預金などを社会課題の解決や民間公益活動の促進のために活用する制度(休眠預金等活動)について説明しました。

出典: FANY マガジン

さらに昨年度、JANPIAから資金分配団体に採択された「九州地域ソーシャルビジネス・コンソーシアム」のメンバーである一般社団法人ユヌス・ジャパン 代表理事の岡田昌治氏が、株式会社よしもとラフ&ピースとともにユヌス・ソーシャル・ビジネスの理念を推し進めていくことを宣言しました。