ライセンスが9年ぶりの全国ツアー「やっぱり面白いやん、となることが僕らの正解」

2021年で結成25周年を迎えるお笑いコンビ・ライセンス(藤原一裕、井本貴史)が、実に9年ぶりの全国ツアー『25周年!ライセンス漫才トークツアー~新作3本+トーク30分の60分公演~』を開催します。新作漫才を引っさげて全国4カ所(福岡、静岡、東京、京都)、そしてツアーファイナルとして2人の地元である奈良を巡ります。久々のツアーを前に、意気込みを聞きました!

出典: FANY マガジン

変わったところと変わらないところ

――6月から始まる『ライセンス漫才トークツアー』は約9年ぶりの単独ライブツアーとなりますが、やろうとしたきっかけは?

井本 ほんまは去年やろうとしてたんですが、コロナになってしまって。だから今回、「25周年」とうたってるのは、じつは後付けなんですよ。

藤原 これまで別に周年でなにかやってきたこともなくて、こだわりもなかったんです。だから、「去年できなくなっちゃったね。じゃあ、せっかくだから25周年と冠につけようか」くらいの感じで。もともとのきっかけは、マネージャーがケツを叩いてくれたことですね。「久しぶりに単独ライブやりましょうよ!」と熱を持って言ってくれて、「そうやなあ」と腰をあげました。

――単独ライブに向けて新ネタを作ること自体が久々だと思いますが、芸歴を重ねてネタ作りに変化はありますか?

藤原 年齢にともなう変化はやっぱりありますね。いま僕ら43歳になって、20代のころと同じようなネタの入りはやっぱりちょっと気持ち悪い。たとえば、「学校の先生になりたいんやけど」みたいなことも、40代が言うと、ちょっと「いまさらなに言うてるん?」という違和感がありますよね。でも一見、ネタにする題材の幅が狭まっているようで、それを逆手にとったら広がっているとも言える。そこを攻めていけたらなと思ってます。

出典: FANY マガジン

――井本さんは単独に向けてどんな思いですか?

井本 コロナ以降、やっぱりなんかしんどくないですか? みんなどっかしらストレス抱えて、しんどい気持ちを感じてると思うんですよ。だから、その緩和剤になれたらというのがいちばんですね。来てくれる人も、自分たちも、楽しくできたらいい。それがいま、いちばん世の中に欠けてることだと思うんで。

藤原 あったかい空気のなかで、同窓会的な感じになったらいいなあと思いますね。「ああ、こんなんやったなあ、ライセンス」って、僕らの変わったところと変わらないところを見ていただけたらいいなと思います。

――変わったところと変わらないところは具体的にどんな部分でしょう?

井本 ジジイになったことじゃないですか。歳はかなり感じますね。よく五角形のチャートってあるじゃないですか。その一つひとつの項目がなにかはわからないですけど、その五角形が確実に小さくなってるな、とは思います。ただ、ハートはそんなに変わってないので、そこのギャップをうまく出せれば。

藤原 うーん、変わったところといったら、センターマイクまで行く速度ですね。

――そんなにですか(笑)?

藤原 はい。だから、出囃子をちょっと長めに流していただかないと。ネタは、さっき言ったように年齢による変化があるし。で、トークはいざしゃべり出したら、なにも変わってないとは思いますね。トークで「なにも変わってないな」って思わせることがいいことなのか悪いことなのか……とは思いますけど(笑)。

出典: FANY マガジン

トークは「お客さんよりワクワクしてる」

――今回のツアーでは、おふたりの出身地である奈良でのライブも予定されています。

藤原 奈良の会場は僕が成人式をしたところでもあるので、故郷に錦を飾るではないですけども、凱旋の気持ちはやっぱり多少ありますね。これまで奈良でなにかやったことは一度もなくて。この歳になって、ようやく奈良でやることに抵抗とか照れとかがなくなった感じはあります。

井本 本当、地元でできるのは嬉しいですよね。

――ほかの会場は新ネタ3本とトークという構成ですが、奈良は新ネタ6本とトークというスペシャル版ですね。

藤原 はっきりしたことはまだ決めていないんですが、僕のなかでは一応、ほかの会場も同じ3本を持って回るつもりはなくて。途中で入れ替えたり、新しいのを足したりして、そのなかで総合的によかったもの6本を奈良でやろうと思ってます。

――では、かなりの本数のネタを作ることになりますね。

藤原 そうですね。尺も1本何分と決めず、5分のもあれば、15分のもあるという感じで作りはじめてます。そこは、賞レースというもののプレッシャーがなくなったいい面でもあるのかもしれないですね。M-1のなかった、自分の若手のころに戻れたくらい、自由に考えられている感覚があります。

井本 だから、ネタの“全飛び”もあり得るかもしれないですよ。そうなったら、そこも楽しんでもらうしかないですけど(笑)。

出典: FANY マガジン

――トークがあるのがライセンスらしいですね。

藤原 時間いっぱい新ネタで固めてしまうと、見るほうも、やるほうもリラックス感がなくなってしまうので。40歳超えて、あんまりガチガチの緊張感のなかでやっても喜ばれないかもしれないな、と。せっかくなら僕らがZeppツアー(2008~2012年に開催していた全国のライブハウス「Zepp」を巡るツアー)をまわっていたころのお客さんが久しぶりに来てくれたときに、トークをしているライセンスを観られるのもいいのかなと思ったんですよ。

――ライセンスはトークライブも大切にしてきたコンビという印象がありますが、おふたりにとって、トークはどういう位置づけですか?

藤原 そうですね……。トークって、難しく考えればいくらでも難しく考えられることだと思うんです。でも、基本はお互いあったことを「こんなんやってん、腹立てへん?」と発表し合う場だと思ってるので、僕はそこまで深く考えず、どうなるかを楽しみにしゃべってますね。突発的に起こるなにかに期待して、ある意味、お客さんよりもワクワクしているかもしれない。

井本 振り返ってみれば、結局、25年それしかやってないんかなとも思います。よく「トークのためにアンテナを張る」とかいいますけど、無意識でもアンテナを張った状態で生活するのをクセ付ける、それを日常にしてきた25年というか。そうやって貯めたものを言語化するのがトークライブで。

――それはかなりすごいことじゃないですか?

井本 いや、野球選手が野球やるのと一緒です。だから特別なことではないんですよ、きっと。でも去年、コロナで相方と会う機会がぐっと減って、トークライブもなかなかできなくて。そしたら初めて、「これ話そう」と思ってたことを忘れちゃって。年齢感じましたねー。初めてメモをとるようになりました。

――芸歴24年で初めて! それまではメモなしでトークをしていたということですか?

井本 そうですね。メモってへんから、過去に自分が何をしゃべったかも、ぜんぜん覚えてない。

藤原 いや、でも本当、去年はデビューしたころよりも会う回数が少なくて。久々に2人で舞台に立ったとき、コロナ前の状況って本当にありがたかったんだなと思いましたね。いまは一つひとつの舞台が嬉しいですし、こうやってツアーがあることも嬉しいです。

出典: FANY マガジン

Zeppツアー以来の転機となる単独ライブに

――この25年を振り返って、いちばんの転機はどこだったと思いますか?

井本 これきっかけで仕事が増えたということでいえば、やっぱり決勝に行った『M-1グランプリ2006』ですかねえ。でも、あれが転機かと言われると悩むな。むしろ、これから先にあったらいいですね。

藤原 2008年からやっていた全国Zeppツアーはやっぱり転機だったと思います。2012年にそれを閉じたことを、今回のツアーで正解だと思わせることができたら、いい転機になるでしょうね。

――各地のZeppにお客さんが詰めかける状態のツアーを終了させるのは、かなり大きな決断だったと思います。

藤原 そうですね。お偉いさんには「毎年やったらええがな」と言われてましたけど、何組か出てもらうという大所帯で、あのサイズ感の会場を毎年まわるというのをずっと続ける自信もなかったし、「これ以上のことはできひんな」と思っていたので。今年、完全に2人だけでツアーを回ることで、「やっぱり面白いやん」となることが僕らの正解だと思うんですよね。

出典: FANY マガジン

――後にも先にも全国のZeppをソールドアウトさせるお笑いコンビは、ちょっと聞かないです。

井本 ツアーももちろんですけど、僕らDVDの発売イベントもZeppでやったんですよ。ライブじゃなくて発売イベントをそんな規模でやる、それは本当に自分らのことながらすごいなと思いましたね。いまでも前を通ると「ああ、Zeppや」と思いますよ(笑)。いまの若い子らも、誰かやったらいいのにね。

――いまでも全国のZeppを埋められる芸人さんは、なかなかいないのでは?

井本 やってないだけで、山ほどいると思いますよ! まあ僕らがやってたころは、発信できる媒体がいまみたいに多くなかったんで、そういう時代背景もあったと思います。

――そんなZepp以来となる今回の全国ツアーを終えたとき、どうなっていたいですか?

井本 まあ、この状況ですから、ライブができるかどうかも含めて、どうなるかわからない。どんな気持ちになっているかも想像できないですね。だからそのぶん、楽しみでもあります。

藤原 やった後、お客さんがまた来年もやってほしいって思ってくださったら成功なのかなと思います。

出典: FANY マガジン

――最後に、来てくださる人たちに向けて一言お願いします。

井本 こんな時期ですけれども、ぜひ劇場に来て、生で観ていただきたいですね。感染対策はバッチリしますんで、直接お会いして、楽しい時間を共有できたらなと思います。

藤原 当時、Zeppツアーに来てくれていた皆さんは、もうママになってる子も多いと思うんですよ。どうか、子どもを預けて1人の時間をライセンスにください。

公演概要

『25周年!ライセンス漫才トークツアー~新作3本+トーク30分の60分公演~』

出典: FANY マガジン

【ツアースケジュール】
福岡:6月26日(土) よしもと福岡 大和証券/CONNECT 劇場
静岡:7月17日(土) 沼津ラクーンよしもと劇場
東京:8月14日(土) よしもと有楽町シアター
京都:9月4日(土) よしもと祇園花月

出演:ライセンス

【チケット情報】
チケット:前売2,500円 当日3,000円
※5月8日(土)から一般発売

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