お笑いコンビ・ビスケットブラザーズ(きん、原田泰雅)が、昨年10月のキングオブコント優勝後初となる単独ライブ『ポカンと1号&チクアナお兄ちゃん研究者』を、6月25日(日)に大阪・なんばグランド花月(NGK)で開催しました。コントで大阪を盛り上げようと立ち上げた「ビスブランドプロジェクト」で、コント中心のさまざまなイベントを打ち出している2人。今回のライブでも、全8本にわたる怒涛のコントワールドを炸裂させました。
「チャンピオン年を大阪で」と意気込む2人は、「ビスブランドプロジェクト」を立ち上げて奮闘中。同じくキングオブコント王者で同期のコロコロチキチキペッパーズ、ハナコとタッグを組んだ「ハナビッコ」のほか、YouTubeラジオ発の「バースデースーツライブ」、注目のコント師たちが集結する「ビスケットブラザーズのコントライブ」といった企画が目白押しです。
濃すぎるキャラクターが続々登場!
オープニングコントは、ラジカセから流れる音声で幕開け。大きな賞を受賞した科学者のインタビューのようですが、舞台が明転すると、その兄で同じく科学者の原田がポツンとひとり。
亡くなってしまった弟を、なんとかロボットとして復活させようと研究を続ける原田ですが、そこに「1号」と呼ばれるロボット・きんが現れ、謎めいたライブタイトルの真実が明らかに……。失敗作とされる「1号」、世界に放たれたという2〜7号、そして完成に近づきつつある8号と原田の運命やいかに!?
本編のコントは、それぞれが奇想天外な設定と展開で、驚きと爆笑の連続! 離島の住人に秘密結社、刺青師や小学生、謎の生物、大物政治家、初心な高校生などなど、濃すぎる異形のキャラクターたちが入り乱れ、笑いをどんどん増幅させていきます。
またネタ間のブリッジVTRには、kento fukayaやダブルヒガシ・東良介ら大阪・よしもと漫才劇場の芸人たちが出演。ビスケットブラザーズの2人に劣らぬ怪演を見せつつ、各コントの後日談や種明かしで、一つひとつのネタをつないでいきました。
締めくくりは、原田がついに8号を完成させるものの、実は……というエンディングコント。これまでに登場したキャラクターや設定があちこちに見え隠れし、タイトルの「チクアナ」も大フィーチャーされる完結編に、大笑いしながら気づけばほっこり。“らしさ”全開、ノンストップの90分超で、観客を最後まで圧倒しました。
“チクアナお兄ちゃん”の由来に大爆笑
終演後の2人に、この日のライブの感想と「ビスブランドプロジェクト」について聞きました。
──『キングオブコント』優勝後の初単独を終えた、いまの心境から聞かせてください。
原田 なんか「もう二度とやりたくないな」と「すぐやりたいな」が押し寄せてきてる“ハンバーガー状態”っていうんですかね。
きん 知らんなあ。いやでも、楽しかったですね。このコントは2階席の最後列しか笑ってないなとか。
原田 うん(笑)。
きん なんか、いろんなことを思いながらやれました。
原田 あとは、前にNGKの単独をやったときに、僕が胸毛生えていて、かつ汗をかきすぎるので、(貼り付けた)マイクが取れるっていう問題があって……。(肌に直接貼り付けるのではなく)布やったらいけるってことで、今回はユニクロでインナーを買って、乳首が出るように穴開けてやったんですけど、1本目で汗かきすぎて付かなくなっちゃって。
きん 僕は始めに付けたまんま90分いけたんですよ。こんな汗かかへんデブやったんやなと思いました。
原田 (きんは)ロボットの役やったから。僕はやっぱお兄ちゃんとして「開発せなあかん」とずっと焦ってるんでね。これは演者として、もしかしたら格が上がったかもしれないです。
きん 憑依してたね、お互い。
原田 『ポカンと1号&チクアナお兄ちゃん研究者』というタイトルは、実はギリギリまで『ポカンと1号&パワフルお兄ちゃん研究者』だったんです。でも、「このお兄ちゃん、パワフルかな?」という話になって、そこでいろいろ2人で出し合うなかで、僕が「乳首の穴でチクアナは?」と言ったらきんが爆笑したんですよ。
その瞬間にマネージャーが来て「あと2分で決めてください」って言われたんで、パワフルのところをチクアナに変えて。そうなると今度は“チクアナエネルギー”とか、なんか新しいことにせなあかんくなって……タイトルって、ふざけたら大変やなあと思いながら準備してました。
──そんなウラ話があったんですね!
原田 乳首に管を付けてキュイーンキュイーン、ラブラブラブラブって音がする場面があるんですけど、そこまでウケなかったんで……。
きん あそこ、いちばんウケると思ってた(笑)。
原田 ウケると思ったところが全然ウケなかったんで、それやったら“チクアナエネルギー”の意味ないやんっていう。「それや!」みたいな感じで作家さんとみんなで指を上げて言ってたのに、ぜんぜんパワフルお兄ちゃん研究者でよかった。それで僕は白目むいてました。
きん (笑)
原田 見てられへんから、お客さんを。白目でも、ちょっと見えてまいそうやったんで、目ん玉裏返してチクアナを思いついたときの自分の脳みそ見てました。
きんがなに言っているかわからん
──昨年5月のNGK初単独と今回を比べて、変化した点は?
原田 いままでは僕らの(ネタの)尺って5分、6分やったと思うんですよ。でも、今回はほぼ8分、9分のネタになって。知らんうちにいろいろ伸ばしてて、『キングオブコント』の5分っていうルールじゃなくなってるんやっていう。
のびのびやってるっていうのもありつつ、もっと逆にギュッと詰まった5分のもつくらなあかんねんなっていう変化はありましたね。結局やっぱ、そういうこともせなあかんなっていう。
きん 前回までは、こっからこれを5分にしようとしてたんですけど、たぶん今回のコントはそうすると、いい部分を落とさないといけないから、ちょうどいいぐらいやった。
原田 そうですね。
──気が早いかもしれませんが、次にNGKで単独ライブを開催するときにやってみたいことは出てきましたか?
原田 できたらいろんなところを回って、最後にNGKやルミネに帰ってこれるように……するっていう可能性も……あるんですけど。
きん いや、断定せえへんな! でも、はかなすぎるよな、(舞台装置の)ボードとかさ。
原田 そう。けど1年に1回やるって考えても、やっぱけっこう大変なんで、来年は太って眠っておきたいという気持ちがすごい。
きん 太りたくはないやろ。
原田 太って眠っておきたいという気持ちもめっちゃあるんで、複雑です。なんかみんなの意見とか聞いたら、「またやろうかな」みたいなんもありつつ(笑)。
きん 単独まで太って眠って単独をするか、単独せずに太って眠って、単独の期間も太って眠るかやな。だから日常を太り眠りに使うか……。
原田 13年か14年一緒におって、初めてなに言ってるかわからんかった。
きん 僕も言ってて、途中でおかしいなと思ってました(笑)。
これから続くプロジェクトに振り落とされるな!
──「ビスブランドプロジェクト」について聞きたいのですが、さっそくいろんなイベントが目白押しで進んでいます。まわりの反応はどうですか?
原田 「どういう動きをするんですか?」とか聞かれるんですけど、いまはまだ僕らのことしかやれてなくて、「大阪のコントをもっとみんなで盛り上げて楽しめたら」みたいな段階にはないんですよ。6月27日に、大阪コントのメンバーを集めて、空気階段にゲストで来てもらって、みたいなイベント(よしもと漫才劇場『ビスケットブラザーズのコントライブ』)があるんで、そっからいろんな人の反応があるんかなと思います。
きん いまはギュッと1回見てもらって、次はベーンって……。
原田 そうですね、いまはグググって感じなんで、こっからベーン!
きん で、ポインポインポインとなればいいなと思ってます。単独で新たに好きになってもらう人もたぶんいるんで、そこもまとめて、みんなと一緒にガサーっとね。
──(笑)。最後に、読者にメッセージをお願いします!
きん ちょっと肌に合わないなって思ってても、単独に1回飛び込んでみてもらって、なんか気持ちよかった場合はこのままプロジェクトに……という波で一緒に泳ごうぜ!
原田 「ビスブランドプロジェクト」は、これから第2部、第3部と続くんですけど、振り落とされんなよっていう。
きん そんなスピードでやってへんやろ。全然大丈夫。全然いける。
原田 どんどんいろいろやっていって、ちょっと巻き込んで、そういうのやってるんやっていうことを、もっと注目されるように頑張ります!
このライブの模様は7月2日(日)20:00までオンラインで見逃し視聴できます(チケット販売は同日正午まで)。
FANYオンラインチケット(配信)はこちらから。
公演概要
■『きんのだまらっしゃい』
日時:7月12日(水) 開場20:15 開演20:30
場所:道頓堀ZAZA HOUSE
出演者:ビスケットブラザーズ・きん
チケット:前売1500円 配信1500円
※見逃し視聴は7月14日(金)20:30まで(チケット販売は同日正午まで)。
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FANYオンラインチケット(配信)はこちらから。
■『ビスケットブラザーズのコントライブ』
日時:7月17日(月) 開場19:15 開演19:30
場所:よしもと漫才劇場
出演者:ビスケットブラザーズ、隣人
チケット:前売1500円 配信1200円
※見逃し視聴は7月19日(水)19:30まで(チケット販売は同日正午まで)。
FANYチケット(会場)はこちらから。
FANYオンラインチケット(配信)はこちらから。