シソンヌじろうが脚本参加! 芝居にコントに歌に…ホンモノが集えば「こんなにもバカバカしくなるのか」という面白さ

コント師のシソンヌ(じろう、長谷川忍)と、ミュージカルなどで活躍する俳優の三浦宏規、原田優一、鈴木拡樹が出演する舞台『Why don’t you SWING BY?』が7月21日(金)~31日(月)まで、東京・恵比寿のザ・ガーデンホールで開催されています。芝居あり、コントあり、歌あり、生演奏ありのショートストーリーで構成されたこの作品。今回は、本番を控えた出演者の5人に直撃し、舞台の見どころや稽古の様子などを聞きました。

出典: FANY マガジン
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自分が観に行っても「面白い」

――芝居、コント、歌となんでもありの舞台ですが、この作品にどんな印象を持ちましたか?

原田 じろうさんの脚本を見たときに、シュールな世界でエンタメ性もあって、面白いなと思いました。(脚本の時点で)すでにキャラクターを乗せてくださっていたので、じろうさんの期待に応えられたらなと。ただ、そこで上限を決めるのではなく、自由に面白い立場としていられたらいいなと考えていますね。

鈴木 稽古をしていて生まれるものがたくさんある中で、みなさんのお芝居や、その場の瞬発力を目の当たりにして、すごく刺激がありました。原作ものと違って、キャラクターの方向性を自分で決めていいし、お客さんのなかに答えがないというのが新鮮で、やっていて楽しいですね。膨らませる作業の面白さを感じました。

三浦 僕、「シソンヌライブ」には毎年行かせてもらっているんですけど、その「シソンヌライブ」の世界観に入り込んだ感覚を味わえて、すごく嬉しいです。シソンヌさんとは、2年前に舞台「モンティ・パイソンのSPAMALOT」で共演させていただいて、(その時に)「このコントが面白かったです!」とお伝えしましたが、まさかこういう形でじろうさんが書くコントに出られるとは……。あとは、試行錯誤しながら「自分たちで作り上げている感」が刺激的で楽しい毎日を送っています。

長谷川 (舞台の内容が)いろいろと決まらず、決まりかけては頓挫し……の連続だったので、逆にワクワクしましたね。

じろう はちゃめちゃなライブな感じがしますよね。毛色が違うものをごちゃ混ぜにした感じなんで、自分が観に行ったら「面白いな」と思える舞台だと思いました。

出典: FANY マガジン
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――じろうさんは何本目の脚本を担当しているんですか?

じろう 1本目と3本目は僕が書いています。1本目に関しては、コントが終わったあとにいきなり三浦くんが歌いだすんですよ。この1本目の終わりが、いちばん意味がわからないと思います(笑)。(俳優陣は)ちゃんと歌を歌われる3人なんで、やっぱり(このスタイルは)僕ら自身のライブじゃできないことですね。
(シソンヌで)歌を使うネタもあるんですけど、そのときは、仕方なく歌が下手な僕と長谷川さんが歌うんですよ。でも、ちゃんと歌が上手い人が締めるだけで「こんなにもバカバカしくなるのか」という面白さを感じました。

シソンヌの歌の実力は…

――稽古場の雰囲気はいかがですか?

長谷川 稽古の雰囲気はとてもいいですね。みんなで意見を出しあって、ノリで決まる部分もありますし。

鈴木 通し稽古もそうですけど、基本的に一発勝負の空気感がありましたよね。次の稽古までにいろいろと想像しておいて、当日に(ほかの演者に)ぶつけるみたいな、それぞれのバトル感が面白いです。シソンヌのおふたりは、“(相手が)出したら答える”というやりとりが当たり前になっていて、あうんの呼吸、反応力がすごすぎるなと思いますし、そこに入っていくために「ここだったら入れるかな」と考えるのが日々楽しいです。

三浦 今回、みなさんと相談しながらですけど、振り付けをやらせてもらえることになって。「ここで振り付けデビューなんだ!」と思いました(笑)。

じろう 初めてなんだ!

三浦 自分が踊るものはやったことがあるんですけど、フォーメーションを組んでの振り付けはやったことがなくて、ヒリヒリしました。新たなチャレンジという意味でも楽しかったです。あと、こんなにも早く稽古が終わる現場ってなかなかないんですよ(笑)。その限られた数時間のなかでギュッとやるのが、すごく気持ちいいなと思っています。今回は、とにかく原田さんがまとめてくださっていますね。

――原田さんは、出演はもちろん演出も任されているそうですね。

じろう 原田さんがいちばん大変。今日、稽古時間が1時間遅くなったんですけど、やることないし早めに来たら、すでに原田さんがテーブルを囲んでスタッフの方と打ち合わせをしていたんですよ。僕らが来る前と帰った後で毎日いろいろやってんだろうなと思うと、すごく大変だと思います。

原田 もちろん最低限の打ち合わせはしますけど、パフォーマンスに関しては毛色の違うみんなが自由に動いてくださったほうが絶対に面白いなと思ったので、今回はそんなに指示を出していないんです。鍋に食材をバンって入れて「それぞれ働いてくれるでしょ?」みたいな(笑)。僕も楽しみながら稽古をしていました。

出典: FANY マガジン
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――シソンヌの2人は歌にも挑戦しますが、「お芝居のなかで歌う」ことについてどう感じていますか?

長谷川 (俳優陣の)みなさんお上手で本当に素晴らしいです。自分は……。

じろう もう「無(む)」ですね。 なにも自分に期待しないですし、お客さんにも「なにも期待しないでくれ」って思っています。完全に土俵外のことをやっているので、そこは割り切っていますね。
三浦くんとやった「モンティ・パイソンのSPAMALOT」でも歌うシーンがあったんですけど、1回、(俳優の)新妻聖子さんのソロの後に、僕のソロが始まるっていうシーンがあったんですよ。あれは、お客さんからしたら地獄。「なんで日本のトップクラスの新妻聖子の歌を聴いたあとに、よくわからない芸人の歌を聴かなきゃいけねえんだ!」って(笑)。あれを経験してから、僕は人前で歌うことに何も感じなくなりました。あれ以上キツいことないんで、心臓が強くなりましたね。

「また観たい!」と思える舞台

――俳優のみなさんは、コント的な「笑い」に挑んでみて、どんなことを感じましたか?

原田 いまミュージカル系のなかでも、あまり真面目な役が回ってこない状態にいるので(笑)、抵抗がないと言いますか。むしろ乗り気でやっている感じではありますね。(笑いは)お芝居の要素の 1つでもあると思うので、すごく勉強になっています。(笑い声の)反応がダイレクトにきますし、お客さんとともに生で空気を作れる感じが好きです。

鈴木 これまで舞台1本を通して、全体で作り上げるエンターテインメントのお笑いというのは経験があったんですけど、それって設定を生かして笑いに昇華していく形じゃないですか。今回のように数キャラ演じさせていただいて、しかもお笑いも作っていくのが、自分としては珍しいほうなんです。
(本作は)ショートストーリーなので、短い時間のなかでワンワードをポンと出して笑いをとるのですが、自分は怖くて、そういうものが投げられないんだな、と改めて感じました。「(ワードを出して)任せるのは無責任か」と考えちゃうから、出さないようにしてる思考があって……それを数日考えましたかね。でも、稽古のなかで、いざ出してみると、面白く転がっていったから「こういう笑いがあるんだな」と改めて思いました。

三浦 「お笑い芸人さんって、なんでお芝居上手な人が多いのかな」とずっと思っていたんですけど、コントやコメディって、話の本筋を理解したうえで、そこから外すから面白いというか。いざ自分がやってみて、「この台詞がこういう意味を持っている」と理解していないと、外すことができないんだなと思いました。コントって頭の回転がいるし、最上級に難しいお芝居。「だから芸人さんってすごいんだ」と思いました。

――俳優の3人がコント的な「笑い」に挑んでいる姿を見て、シソンヌのおふたりは、どんなことを感じましたか?

長谷川 3人とも間(ま)やテンポが気持ちよくて、笑いやすいところにピタっとくるので、やりやすいですね。各々キャラを持っていて使い分けも面白いです。

じろう 僕のイメージした笑いのテンポや間でやってくださっていて、「もっとこうしてください」というのがないぐらい、わりとイメージ通りです。やっぱり笑いって、センスというか、教えようと思っても、たぶんできないんですよね。舞台が始まったら「ここウケるんだ」とか感じてもらえると、すごく嬉しいです。

出典: FANY マガジン
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――最後に本作の見どころと、読者へのメッセージをお願いします。

原田 「どうだ! 面白いでしょ!」「僕、こんなにも声が出せるんです!」とパフォーマンスを前面に押し出さない“腹八分目”なところがシュールで面白い舞台だなと思っています。僕は、お客さんの前に立つと調子に乗って、力技でいっちゃうときもあるんですけど(笑)、そこは今回しないし、ちゃんとじろうさんの(脚本で書かれている)言葉で、プレイヤーとしてやるよ、という感じですね。

鈴木 「もっとほしいな」「もっと見たいな」と思っている、ちょうどその時にやめてやろうかな、という作品ですので(笑)、一度ご覧になったら、「また観たい!」と思ってくださると思うんですね。17公演ありますが、毎回、チケット争奪戦になるかもしれません。ぜひ、ご覧いただきたいです。

三浦 本当に何が起こるかわからないし、こんなにも17公演すべてが違う感じになる作品も、そうそうないと思うんですよ。観れば観るほど日々違うコントがあって、最後は「待ってました!」とリピートしたくなるような歌の要素もあるので、「全公演来たほうがいいんじゃない?」とは思います(笑)。

長谷川 すべてが見どころです、お待ちしております!

じろう 今日、開演前のアナウンスを全員バージョンを録ったんですけど、僕が死ぬほどスベって……。

原田 いやいや、録音してたから笑えない状態だったんですよ!(笑)

じろう 僕の日のアナウンスに当たった人、本当に外れだと思います。みんなちゃんとやったのに僕だけ変になっちゃって(笑)。僕の開演アナウンスの回は、大マイナスからのスタートになるんで、いつもよりも頑張るかもしれないです。

公演概要

『Why don’t you SWING BY?』

開催期間:7月21日(金)~31日(月)
出演者:シソンヌ、三浦宏規、原田優一、鈴木拡樹
企画:シソンヌ&みうらひろき
チケット:全席指定11,000円
※未就学児入場不可

詳細はこちらから。

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