ピアノの先祖・フォルテピアノ奏者の加藤美季と、ノルウェーの民族楽器・ハルダンゲルヴァイオン奏者の山瀬理桜。2人が初めて共演する音楽イベントが、8月27日(日)、COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで開催されます。MCを務めるのはコットン(西村真二、きょん)。このイベントを前に、じつはピアノ歴12年という西村と、「フォルテピアノの魅力を多くの人に伝えたい」と今年4月に吉本興業に所属した加藤の対談が実現しました。加藤の“天才伝説”やフォルテピアノのこと、イベントのこと……西村が興味のままに根掘り葉掘り聞いてきました!
『体感してみよう! 子供から大人までみんなで楽しむ ピアノの先祖【フォルテピアノ】×北欧から幸せを運ぶ【ハルダンゲルヴァイオリン】の世界』と題された今回のイベントは、8月25日(金)~27日(日)に大阪城公園内の各会場で開かれる大型イベント『Warai Mirai Fes 2023』の一環。ゲストにカベポスター(永見大吾、浜田順平)を招いて、フォルテピアノとハルダンゲルヴァイオンの知られざる世界を紹介します。
フォルテピアノ奏者の加藤は神童!?
西村&加藤 よろしくお願いします!
西村 オレらのこと知ってくださっていますか?
加藤 もちろんです。もともとお笑いが好きで、高校生のときにはヨシモト∞ホールに通っていました。
西村 えー!
加藤 西村さんたちの上の世代の『AGE AGE LIVE』(2007年~2010年に開催されていたライブイベント)に行っていました。
西村 まさか、ピアニストの第一声が『AGE AGE LIVE』とは……ちょっと衝撃です。
加藤 (笑)。大学のころには、(コットンの前コンビ名)ラフレクランという名前も存じ上げていました。
西村 嬉しい! 加藤さんは、ピアノを中心に演奏されているんですよね?
加藤 そうですね。ピアノの前身となる「フォルテピアノ」、もっと古い「チェンバロ」を専門にやっています。
西村 ピアノは何歳からやられていたんですか?
加藤 4歳のころから音楽教室に通い始めました。2人の兄が先に通っていたんですけど、3人兄妹のなかで、私だけ反応が違ったみたいで。当時、4歳で初めて弾けるようになった曲があって、母の前で「これを悲しい曲にしてあげる」と短調(暗いイメージ)で弾き始めたそうです。
西村 加藤さん、神童じゃない!
加藤 確かに天才だったんですけど……。
西村 天才だった? いいですね~、化けの皮が剥がれてきましたね(笑)。『激レアさんを連れてきた。』タイプの人だ!
加藤 (笑)
西村 鍵盤に触れた瞬間からロケットスタートだったわけでしょ? 4歳から始めたピアノ人生で、どんな賞を獲られたんですか?
加藤 小1~小3部門のコンクールに小学1年生で出場し、金賞をいただいたのが最初の成功体験でした。
西村 「小1~小3までの部門」と先に喋っておいて、「私は小1で優勝した」とまとめる……お話し上手だね。やっぱり、吉本に来た以上はフリを作っとかなきゃだもん(笑) あとは、どんな方に教えてもらっていたんですか?
加藤 音楽教室を辞めたあと、日本人で初めて国際コンクールで優勝した現役ピアニストの方に教えてもらっていました。
西村 えー! やっぱり成長率はぐんと上がったんですか?
加藤 そうですね。のびのびと育てていただきました。
西村 そうか~。じつはオレも12年、ピアノやってたんですよ。当時は、加藤さんと対極の生活をしていたんで、嫌で嫌でしょうがなかった!
加藤 私も練習は嫌でしたよ?
西村 何が違ったんだろう……(顔をうずめつつ)あんなに頑張ったのに。そんなにロケで弾く場面もないし!
加藤 (笑)
西村 でも、ほかの習い事の誘惑もあったでしょ?
加藤 プールやったり、そろばんやったり、バレエをやったり、ひと通りやったなかで、ピアノ1本に絞っていきました。
西村 ほかに結果は出たんですか?
加藤 全然です。そろばんくらいですかね。
西村 よかった~。ほかにも結果が出てたら、鼻についてました(笑)。
これまで歩んできた人生が繋がる
西村 ぶっちゃけ、加藤少女はそれからどんどん伸びていくわけですよね?
加藤 山あり谷ありでしたけどね。
西村 あなたの谷は小さそう!
加藤 (笑)。じつは、音楽高校の受験に失敗して、それがすごく大きい出来事でした。進学した高校では、何をしたらいいのかわからなくて、ピアノも触らない時期もあったぐらい拒絶反応が出ちゃって……。しばらく勉強を頑張っていました。
西村 音楽関係ではない高校を受験したんですか?
加藤 中高一貫だったので、そのまま進学しました。
西村 高校時代、ピアノを弾く時間はどれくらいになったんですか?
加藤 中学生までは、学校から帰ったら毎日、4、5時間弾いていたんですけど、高校では週に2、3回になりました。でも、嫌いになったわけではなかったので、大学は「音楽ができる」「まわりに音楽をやっている人がいる環境」で探して、東京藝術大学の音楽学部楽理科に入りました。
西村 どういう試験だったんですか?
加藤 国語や英語の試験があったり、小論文、聴音、楽典(音楽の基礎知識)、ピアノなど、ありとあらゆる試験がありましたね。
西村 すごい! 一般教養も、素養も、ピアノの知識も、演奏も、学術的なこともあって……陸上の十種競技みたいな感じだ。長年ピアノをやってきて、しっかり勉強できる環境にいた加藤さんが生きてきた轍と、音楽学部楽理科が、ぴったり一致するような感じがしますね。
フォルテピアノの魅力とは
西村 オレも知らなかったんですけど、その大学で「フォルテピアノ」に出会うわけですね。どういったものなんですか?
加藤 じつは、ピアノという構造ができたのが1700年代で約300年前。約100年前に、いまのピアノの形になったんですが、この200年の間には、さまざまな変遷があって、それが「フォルテピアノ」と呼ばれるものなんです。
西村 フォルテピアノの魅力を教えてください。
加藤 本当に音色が違うし、ピアノの形もまったく違うんです。
西村 (フォルテピアノの資料を見つつ)わー、ぜんぜん違うな! あれ? 鍵盤の配置が違いませんか? 黒鍵が下なんだ。
加藤 そうですね。いろいろなタイプがあるんですけど、黒鍵は木で、白鍵は象牙でできていて、「女性の指が綺麗に見えるように」という説もあるそうです。
西村 弾き方も違うものなんですか? やっぱり(基本の弾き方である)「卵を持つように」「手首で弾かないように」「小指を立てないように」とかでしょ?
加藤 そうです(笑)。ただ、いまのピアノってゴツいし、体を使って弾くようなところがあるんですけど、フォルテピアノは、鍵盤も浅いし軽いので、体を入れちゃうと、楽器に対してトゥーマッチというか。楽器が耐えられないんです。いい音も出なくなるので、第1関節だけで弾くイメージですかね。
西村 どんな音なんですか?
加藤 わりと軽いです。チェンバロを知っている方なら、それに近いイメージですね。チェンバロも形はほとんど一緒で、中身の構造が少し違う。ピアノはハンマーで弦を叩く装置ですが、チェンバロは、弦を爪みたいなもので弾くギターのようなイメージです。
西村 モーツァルトやベートーヴェンとか、オレらが知っているような曲も、当時はフォルテピアノで弾いていたわけですよね。今回のイベントでは、その当時の楽曲をフォルテピアノの音で聴けると。
加藤 そうですね。
西村 ゲストはカベポスター。(2人は)ちゃんと興味を持って、いいコメントをしてくれるゲストなんで、当たりです! いるんですよ、自分だけ爪痕残そうとするはっちゃけ芸人が! カベポスター、ちょうどいいわ~。さすが吉本さん!(笑) 今回のイベントには、どんな思いが?
加藤 私自身も大学に入って初めてフォルテピアノを知ったので、この楽器をもっとたくさんの方に知っていただく機会になればいいなと思っています。楽器の成り立ちを説明しつつ、みなさんが知っているような曲を参考に、いかにピアノとフォルテピアノで音色が違うのか、実際に聴いていただけたらなと思っています。
西村 クラシックが好きなので楽しみです! 現存するフォルテピアノってもうほとんどないですよね?
加藤 現存するものはなかなかなくて。修理しながら使わないといけないし、職人さんも限られていますし、弾き手もまだまだ少ないですね。
西村 今後、フォルテピアノが残るかどうか、加藤さんが後世に語り継ぐキーマンの1人ですからね。あなたがトリガーですよ? 自覚してくださいね?
加藤 はい(笑)。
西村 このイベントで何か繋がればいいですよね~。あと今後、吉本で何か不満があったら、オレに言ってください。聞くことはできますので(笑)。最後に……ようこそ吉本へ!
加藤 ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします(笑)。
公演概要
『ピアノの先祖【フォルテピアノ】×北欧から幸せを運ぶ【ハルダンゲルヴァイオリン】の世界』
日時:8月27日(日) 開場12:00 開演12:30
場所:COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
出演者:加藤美季、山瀬理桜、MC・コットン、ゲスト・カベポスター
チケット:前売1,500円
FANYチケットはこちらから。
イベント概要
『Warai Mirai Fes 2023』
日程:8月25日(金)~27日(日)
場所:大阪城公園内 各会場
詳細はこちらから。