1万人以上の芸人を指導した“NSCの本多先生”がポッドキャスト始動! ディープネタ満載も「まったく話を盛ってない」

漫才作家でNSC(吉本総合芸能学院)講師の本多正識氏が、お笑い界のオモテもウラも語り尽くすABCラジオのポッドキャスト番組「実録! お笑い考察番組 本多正識のちょっと聞いたぁ?」(毎週水曜8:00配信)。この7月からスタートし、そのディープな内容からお笑いファンたちの大きな注目を集めています。今回は、収録現場にお邪魔して、番組について根掘り葉掘り聞いてきました!

出典: FANY マガジン
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上岡龍太郎さんとの思い出にキングオブコントの話題…

本多氏は、これまでオール阪神・巨人など大御所漫才師の台本を多数手がけ、1990年からNSC講師に就任。ナインティナインや宮川大輔、矢野・兵動を輩出した大阪9期生以降、1万人以上の芸人を指導してきました。

「本多正識のちょっと聞いたぁ?」は、さまざまなお笑い芸人やその周辺のエピソードを、知りうる限りの情報と経験をもって、ゆったりとした語り口で考察してゆくというもの。賞レースの話題から人気芸人の知られざる一面、往年の漫才師との思い出話まで、お笑いファンにはたまらない30分です。

8月某日、収録のためにラジオブース内でスタンバイする本多氏と、聞き手のABCラジオプロデューサー・上ノ薗公秀氏。この日は3本録りで、上ノ薗氏が聞きたいテーマに沿って会話は進んでいきます。

1本目は、今年5月に逝去した上岡龍太郎さんとの思い出話。テレビでの活躍が際立った上岡さんですが、実は本人がその本領を存分に発揮していたのはラジオだったのだとか。その理由と、唯一無二の巧みな話術、そして引退間際の新事実など、実際に上岡さんの存在の大きさをそばで実感してきた本多氏の口から語られます。

出典: FANY マガジン
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2本目は、「キングオブコント2023」(KOC)予選の話題を。賞レースとして立ち上がった当時から審査員を務め、現在も大阪大会2回戦の審査員である本多氏によるコント論や、昨年のKOCで話題になった“暗転・明転”の考察など、今年のKOCがますます楽しみになる内容に。

3本目は、本多氏が講師を務めるNSCの話題になりました。まだ生徒だった時代、すでに才能の片鱗を見せていたというフットボールアワー・岩尾望やダイアン・ユースケ、ブラックマヨネーズ(小杉竜一、吉田敬)の思い出を振り返りつつ、「(業界で名前が)残っていく子は、なんか覚えている」と明かします。そして現在の芸人志願者の特徴にも言及しました。

1本30分、収録は3本ぶっ通しで行われましたが、話し始めると止まらない、聴き始めるともっと聴きたくなる、大盛り上がりのひとときとなりました。

出典: FANY マガジン
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「ホテル住まいと聞いてヤバい人かと」

収録終了後、本多氏とABCラジオプロデューサー・上ノ薗氏の2人に、話を聞きました。

——本多先生と上之園さんの出会いはいつごろなんですか?

本多 ラジオ大阪の特番やったね。

上ノ薗 2000年くらいでしたかね? 本多先生は当時から有名でしたから、もちろん僕は一方的に知っていましたけど。

本多 (オール)阪神・巨人が総合司会で、4~5時間の番組やったね。そのときにディレクターをやってくれたのが、初めて一緒にやった仕事かな。

上ノ薗 当時、本多先生は関西テレビの専属みたいに仕事をやってはったんですよ。ご自宅は倉敷で、平日は難波でホテル住まいをされていると聞いて、「えげつない方やなぁ……!」って。

本多 あのころは景気がよかったんやね。『痛快!エブリデイ』(関西テレビ)を立ち上げから担当することになって、でも倉敷からは通われへんから、ホテル代を番組が持ってくれると言うたんです。いや、驚きましたよ。ものすごいおカネがかかるでしょう。「マジですか!?」ってほんまにびっくりした(笑)。

上ノ薗 まれにホテル住まいの人っていますけど、実際には聞いたことがなかったので、僕のなかでは「ヤバい人ちゃうんか……?」ってどんどん想像だけ大きなっていました(笑)。

出典: FANY マガジン
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「知ってることを何とか残したいねん」という思い

——いまでは、おしゃべりが止まらないほど意気投合です。上ノ薗さんは、なぜ本多先生に声をかけたのですか?

上ノ薗 本多先生は、いまでも日刊ゲンダイなどいろんな媒体でコラムを執筆されたり、著書の「『1秒で答えをつくる力』~お笑い芸人が学ぶ「切り返し」のプロになる48の技術~」(ダイヤモンド社)を発売されたり、活字はたくさん書かれているんです。でもあるとき、本多先生と雑談していたら、「音で残したいな」という話になりまして、「じゃあ、やりましょうよ」とまとまりました。活字で読むのと、強弱が付いた言葉で聴くのとでは、ニュアンスが全然変わってくるんですよね。

本多 全然ちゃうね。

上ノ薗 かたや僕も、自分がずっと音声畑の人間なので、ラジオのことを考えたとき、音楽番組とかいろいろあるけど、「ラジオの原点って、やっぱりインタビューちゃうかな」という考えがあって。“人の話を聞く”というのも楽しいし、聞きたがりなんでね。

本多 僕も65歳を超えましたんで、あと何年一線で仕事ができるかわかりません。だから、米朝師匠と比べるなんておこがましいんですが、「米朝よもやま噺」みたいに「知ってることだけでも何とか残したいねんわ」という話はしてた。そしたら、ポッドキャストの話が出まして、聞いてくれる人がいるねんから、知ってることは何でもしゃべろうと思いました。

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上ノ薗 この番組のもとの発想は、いま話に出た「米朝よもやま噺」という番組が以前、ABCラジオでありまして、僕がそのディレクターをやっていたんです。そのときから「こんなんできたらいいな」というイメージがありました。偉い先生や芸人さんと話したら、いろいろ聞き出せるから楽しいというのもあって、本多先生となら番組として成立するな、と思いました。

“裏方”2人による賞レース考察は必聴!

——トークテーマも、むかしの芸人さんとの思い出話から話題の賞レースの考察まで、幅広いですね。

上ノ薗 芸談の雑談ですね。誰がこれを聞いて得するのか、ようわからないですけど(笑)。いつも、本多先生には見せないんですけど、僕なりにトークテーマを練って、なんとなく構成はつくってくるんです。

本多 打ち合わせも何もなしやね。僕はラジオブースに入って、(上ノ薗氏に)聞かれていることに答えてるだけやから。「はいはい、何でも聞いて」って。仕事のことに関してはほんまによう覚えてるもんやねぇ~。ほかのことは覚えてないけど(笑)。

——とくに賞レースの考察は、お笑いファンの人たちにとって、とても興味深いだろうと思いました。

上ノ薗 サムネ(サムネイル画像)に「実録!」と書いてるように、本当にあったことを、という意識でやってます。本多先生と僕のフィルターを通してだけど、「こんな気持ちで芸人さんはやってたんかなあ」みたいなことで。

出典: FANY マガジン
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本多 それに、2人ともまったく話を盛ってないもんね。だから極力、あったことをそのままお伝えして、それを残してもらって、何十年後にも残ってくれていたらうれしいなと思う。だから、いまの若い子たちのことも、知ってることは何でもしゃべるし、しゃべって悪いことはない。マイナスはないしね。

上ノ薗 テレビ番組でもYouTubeでも、表方に出ている方々の考察番組ってよう流行ってるじゃないですか。それなら裏方が、ほのぼのとやっているのもええかな、と思って。

——「本多正識のちょっと聞いたぁ?」は今後、どんな展開がありそうですか?

上ノ薗 ABCラジオがやっているということで、「じゃあ、これを皆さんの前で収録してみようか」ということも可能ですしね。学祭とか、どこかお笑い研究会の前でやるとかね。100人くらい入る教室でやって、質問コーナーも入れたり。

本多 落語研究会の子たちの前でやったら喜んでくれるかも知れへんなぁ。

上ノ薗 あと番組として考えたら、伝説レベルのウワサの真相を大御所の芸人さんに聞いて、謎解きをしてみたいですよね。あとは、芸人さんに限らず、本多先生の教え子を呼んで、「実際、どうやった?」と聞いたりね。いろんな芸人さんから話を聞くと、やっぱり本多先生はものすごい影響を与えてはるんですよね。スポンジがカラカラの状態のときに水をくべてはったわけやから、単純なことでも本多先生に教えてもらったことをきちんと守ってたりするんですよ。

本多 それは聞きたい。「僕の話を、どない思て聞いてたんやろ?」って。


番組概要

ABCラジオ ポッドキャスト番組
『実録!お笑い考察番組 本多正識のちょっと聞いたぁ?』
配信日:毎週水曜 8:00配信

『ラジオ参観』
内容:関西で話題のライブイベント「漫才参観」がABCラジオポッドキャストとコラボ! 近い将来、賞レースでも活躍必須の若手芸人(ぎょうぶ/三遊間/空前メテオ)が、リレー形式で三者三様の番組をお届け! 配信に加えて、話題となったコンビ1組には、ミルクボーイや霜降り明星も通った出世枠で地上波特番も!
配信日:毎週木曜 18:00配信
出演者:空前メテオ(8/3、8/10、8/17)・ぎょうぶ(8/25、9/1、9/8)・三遊間(9/15、9/22、9/29)

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