全国的に実施されている新型コロナウイルスワクチンの職域接種が、吉本興業でも実施されています。
ワクチン接種の対象は、所属タレント、従業員とそれぞれの家族で、東京本部で計1,500人、大阪本部で計1,000人を予定。期間は1回目の接種が7月2日(金)まで、2回目が26日(月)から30日(金)までです。
6月29日(火)は、医師免許を持ち、病院に勤務しながら芸人の仕事もこなす、しゅんしゅんクリニックPが、なだぎ武ら、芸人やタレントのワクチン接種前の問診を担当しました。
吉本興業の職域接種は、感染対策を徹底したうえで実施中です。
接種を受ける芸人や社員は、問診票を書いたのち、接種会場へ移動。ソーシャルディスタンスを保ちながら、順番を待ちます。問診を受けて接種した後は、医療従事者から当日の過ごし方などのアドバイスを受け、待機室で15分ほど待機して終了となります。
しゅんPの問診に「本当に医者だったんだな」
この日、なだぎはワクチン接種をするため、吉本興業東京本部へ。体温チェックと問診票を書き、接種会場へと向かいます。まさか、問診室にしゅんPがいると思わなかったのか「来る場所間違えた?」となだぎ。
しゅんPは「医者として来ていますから」とツッコミを入れた後、医師として、当日の体調、通院履歴、注射でのアレルギー反応の有無など、問診票を確認しつつ、“患者”としてなだぎの体調をチェックしていました。
問診のあと、ワクチン接種を受けたなだぎに話を聞きました。芸人の後輩であり、吉本坂46の仲間でもあるしゅんPについて、どんなことを感じたのでしょうか?
――しゅんPさんの問診を受けられましたが、いかがでしたか?
“本当に医者だったんだな”って思いました。今までずっとウソやと思ってたんで(笑)。でも、安心感はありましたね。
――医者として実直に取り組んでいらっしゃいましたよね。
そうですね。芸人のときより、噛むことなくスラスラ喋っていましたね。
――(笑)。ワクチン接種の話が来たときは、すぐに“打とう”と決心がついたんですか?
そうですね。ぜひやってほしいなって思いました。僕は舞台の仕事をやっているんですけど、稽古期間が1ヵ月ほどあったりしますし、人も集まるので、“これから先のためにも接種しておかないとな”という思いでした。
――実際にワクチンを接種してみていかがですか?
“すぐに副反応が出て気分が悪くなる”と聞くこともあるので、ちょっとドキドキするところもありましたね。でもこれは避けて通れないところなので、いろいろ悩んでいてもしょうがないし、打たせてもらいました。今は(ワクチン接種後、20~30分程度)特に問題なく、思っていたよりもスッと終わった感じでした。
ーー貴重なお話ありがとうございました!
しゅんPが問診したことで生まれる“安心感”
Twitterで吉本興業に医師として派遣されることになったと報告し、話題を集めたしゅんP。職域接種に参加した直後の彼にインタビューを行いました。
――吉本興業の職域接種に参加した経緯から教えてください。
じつは吉本とは関係ない(依頼ではない)んですよ。医者だけが登録できる医師派遣サイトに何社か登録しているんですけど、最近は大規模接種を行っているところも多くて……。いろいろ案内がある中『吉本興業株式会社』の名前を見つけました。ちょっと悩んだんですけど、“エピソードができるかな?”という気持ちで募集してみました。
――問診は何人くらい担当されたんですか?
今日は460人ほど来たみたいで、約250人担当しました。
――問診をしていく中で、どんなことを思いましたか?
特に20~30代の女性の方は、副反応のことや、熱が出た場合、解熱剤を飲んでいいのかなど、質問をされる方が多い印象を受けました。
――芸人の先輩であり、アイドル仲間(吉本坂46)のなだぎさんをはじめ、タレントさんに問診をすることも多かったと思います。
芸人の先輩なので、普段はボケたりツッコんだりなんですけど、医者として接するとトーンが変わっちゃいますね。今日は“なだぎ武”という患者として診させていただいたので、不思議な感じです。
あと、ほかの先輩芸人さんもいらっしゃったんですけど、「しゅんPかい!」ってビックリされていましたね。最後に必ず「不安なことや気になることはありますか?」と問うんですけど「お前に診察されていることや」って(笑)。もちろん問診はしっかりさせていただきました。
――しゅんPさんだからこそ、気になっていることや不安なことも言えるのかもしれませんね。
社員さんの中には「質問がしやすい。ワクチン接種怖かったけど、しゅんPと話して安心したわ」など、おっしゃってくださる方もいました。
――Twitterに『弊社に貢献できるように頑張ります』と書かれていました。目標は達成できましたか?
できたと思います。あれ、じつはマネージャーさんに報告しないでツイートしちゃったんですよ。そのあとネットニュースになったり、たくさん反応があったりして、“そんなつもりでツイートしたわけじゃないのに”って震えていたんですけど(笑)、あとから「総務の方が喜んでいたよ」と教えていただいたので安心しました。
ワクチンを「打つ」「打たない」は自由
――医師の目線として、ワクチン接種についてどうお考えですか?
大前提として任意接種なので、打ちたくない人は打たなくていいと思っています。
ただ、ワクチンは、感染予防、発症予防など、データとして高い効果が出ているので、医師目線としては、打った方がいいかなという判断にはなります。自分が感染しないということは、周りに感染させないということなので、ワクチンを接種する意味もあると思いますし、職域接種で打つ方が増えれば、感染を収束させるというプラスに働くので、いいことだとは思いますね。
もちろん、最近承認されたワクチンなので、たとえば“5年後、絶対に体に何も起こらない”とは言えません。その面で怖がるのは当然だし、それで打たないと判断するのはありかなと思います。
――まだワクチンを接種していない方に、何かアドバイスはございますか?
打つか打たないかの判断をする際、厚生労働省の公式サイトなど、ご自身で正しい情報を取捨選択してほしいです。
YouTubeでは“正しいと思うこと”を発信
――パーソナルについてもお聞かせください。非常勤として病院に勤務されているそうですが、芸人とのお仕事の比率は?
コロナの関係で、劇場や営業など芸人の仕事が少なくなっていて……。いまは、週3、4日病院に勤務しているので、ほぼ医者ですね。“医者芸人”じゃなくて、ただの“医者”です。
――それにプラスして医師の派遣サイトも登録されているんですね。
そうですね。あと、“貢献できたらいいな”という思いもあって、厚労省が募集している新型コロナワクチン接種の医師登録もしています。
――芸人の活動としては、7月19日にコマンダンテさんを迎えて、単独ライブが行われますが、どんなことをされますか?
新ネタをやりたいです。あと、僕のネタって、『ヘイヘイドクター』とか、投げっぱなしのネタが多いので、そういったネタに、コマンダンテさんにツッコミを入れていただく企画を考えています。
もうひとつは、少し笑いを含めて、熱中症やコロナワクチンについて教える講義もできたらなと。「しゅんPの単独ライブに行ったら、なぜか熱中症について詳しくなったけど、あの時間なに?」みたいな……。笑えてタメになる時間も作れたらなって。
――しゅんPさんのYouTubeチャンネルでは、医師芸人として、さまざまなアドバイスなどを発信されています。
中でも、コロナウイルスワクチンの動画については、医師目線で“正しい情報を発信したほうがいい”という気持ちでやっています。芸人としては、医者あるあるや、今回の職域接種のエピソードを交えてトークしていけば、若い方にも興味持っていただけるかなと考えていますね。僕は僕の正しいと思うことを発信するので、YouTubeを見て判断してほしいです。
コロナ関係の動画はよく見ていただけるので、みなさんが正しい知識を得て、僕のYouTubeの登録者数も増えれば、ウインウインの関係ですね(笑)。
しゅんしゅんクリニックPの医師としての顔が見られた現場でした。
本記事の問診の様子やインタビューはYouTubeチャンネルでも配信予定です。