【EXITロングインタビュー】初めて明かす胸の内「コンビとしてはまだ何も成しとげていない」

現在、47都道府県ツアー中のEXIT(りんたろー。、兼近大樹)が、ツアー最終日の翌日、12月10日(日)に東京ガーデンシアターで過去最大となる単独ライブを開催します。いったいなぜ、このタイミングで大規模ライブを開催するのか――実はそこには、結成6年目を迎えたEXITが「自分たちの現在地」を見つめた、深い理由があったのです。今回は、そんな2人の話を6000文字オーバーのロングインタビューでお届けします!

出典: FANY マガジン
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過去には、吉本所属芸人で最速となる結成11カ月での東京・ルミネtheよしもと単独ライブ(2018年)や、パシフィコ横浜での5000人単独ライブ(2019年)などを成功させてきた2人ですが、今回の会場は過去最大となる6000人キャパ。しかも、「コントライブ」での挑戦です! 題して、『チャランの園 1億年と2千年たっても笑わせる~カネチ&リンと林檎かじり散らかしてアチャーな新人類創生計画ブッカマ!!~』。気になるその内容など、2人のライブへの思いを根掘り葉掘り聞いてきました。

兼近「本当は、もうテレビには…」

――まずは、47都道府県ツアーの真っ最中に、この単独ライブの開催を決めた理由を教えていただけますか?

りんたろー。 どうしてっすかね。(兼近のほうを見る)

兼近 何かやらないと芸人やってる意味がねえなと思っちゃうんです。マグロというか。もうずっと泳いでないと死んじゃうので。

――テレビやラジオでもレギュラー番組を持っていて、すでに十分、泳いでいませんか?

りんたろー。 それは泳いでることにならないみたいなんですよ(笑)。

兼近 淡水じゃダメなんです。

――淡水?

兼近 はい(笑)。海水を泳ぎたい。水族館の中で泳ぐのは、それはただ、捕らわれて泳がされているだけなんです。自分から海に出て泳いでエサを探しに行かないと、ちょっと芸人の意味ねえなと思っちゃって。それで、単独をやりたいって思いました。

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――りんたろー。さんも同じですか?

りんたろー。 僕はどこでも泳げていれば大丈夫なタイプなんで(笑)。

兼近 僕が勝手に(開催を)決めました(笑)。

りんたろー。 でも兼近もやりたいことができないと、楽しくないじゃないですか。それは相方として楽しいほうがいいなって。

――兼近さんが楽しんでいるほうが自分も楽しい、ということですか?

りんたろー。 そうですね。オレが楽しいことばっかりやってもしょうがないんで。実際、ライブは僕も楽しいですし。

兼近 だからライブをやってもらうために、ふだんテレビに出てあげているんです(笑)。りんたろー。さんはテレビが好きなんで。僕は、本当はもうテレビには出なくてもいいかと思っているんですけど。

――え、そうなんですか?

りんたろー。 (笑)。そうみたいですね。

兼近 バランスをもうちょっとね。

――兼近さんはどうしてライブがそんなに好きなのでしょう?

兼近 もともと芸人になることがどういうものか、あまりわかんないまま、「面白い人になりたい」って始めたんですけど、入って最初に見たものが劇場で。それから、ひたすらいろんなライブを見学に行ったり、お手伝いをしているうちに、「芸人さんって、これ(舞台)なんだ」と思って。そうなりたいと思って僕もがむしゃらにやってたら、急にテレビのほうで跳ねたみたいな感じなんです。そこから、テレビしかなくなったみたいな。

――では兼近さんの理想の芸人像というのは、ステージに立って目の前のお客さんを笑わせること?

兼近 かもしれないですね。だから、いまもライブをやりたいのかなと思います。

出典: FANY マガジン
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――一方のりんたろー。さんにとって、ライブへのモチベーションはどういったところにあるんですか?

りんたろー。 テレビみたいな仕事は、いろんな人たちがつくり上げている場に、僕らが1つのピースとして出させていただいてるんです。だから自分たちの立ち位置も、場によってすごく変わる。でも、劇場は本当に自分たちが面白いと思うことを、まっすぐに誰にも邪魔されない空間でできるじゃないですか。それはすごく楽しいし、いちばん表現できる場所はここだなという思いはありますね。

脳の中にダイブするような…

――コント単独ライブの具体的な内容についても教えてください。事前コメントで兼近さんは、「視覚や聴覚や嗅覚、感覚までトリップしてシックスセンス大解放。全てを物語の中に引き込む5次元のお笑い」と言ってますが……。

兼近 壮大ですよね(笑)。まあ具体的に言うと、地球から3つ離れた星あたりで行われているライブの内容を行いたい。

りんたろー。 (苦笑い)……っていう発注が来ているんで、まだ僕のペンは進んでないです。そういうのっぽいのって言われているんですけど、ちょっと理解はまだできてないんで。

――兼近さんがやりたいことのイメージを出して、それをもとにりんたろー。さんがネタを書いていくんですか?

りんたろー。 逆のパターンもありますけど、基本はそうですね。いまはまだイメージだけ兼近くんの中にあって、これからそれを具現化するために動いていきます。

――すべて新ネタでのぞむのでしょうか?

兼近 ぜんぶ新ネタです。というか、なんならすべて、ここでしかやらないネタです。僕のイメージでは、ぜんぶで1つのお芝居というか、2時間のコントがつながって、まとめて1つの物語になってるという。

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――オムニバス形式ですね。2019年12月にパシフィコ横浜で行った単独ライブでは、特殊効果で炎が出たり、飛んだり跳ねたり歌ったりもありましたが、今回もそういう演出はあるのでしょうか?

兼近 いや、そういうのはないですね。それよりも、もっと感覚で楽しめるようなもの。パシフィコは、わりと視覚や聴覚で楽しんでもらいましたけど、それよりかはもっと奥に。イメージダイブというか。

りんたろー。 (頭を抱える)

――発注が難しくて、りんたろー。さんが頭を抱えています(笑)。

りんたろー。 脳の中にダイブするの??

兼近 はい、脳の中にダイブするような。みんながオレらの脳に。オレらの脳がみんなの脳にダイブする。そういうイメージ。

――テレパシーみたいなことですか?

兼近 はい。だから実はずっと立ってるだけかもしれないです。2時間。

一同 (笑)

兼近 2時間ずっと無音で立ち尽くして終わるライブかもしれないですし、それは来てからわかります。

――本当にそうだったら、「カネ返せ」となりそうですね(笑)。

りんたろー。 5万円の席(SS席)もありますからね(笑)。

兼近 でも、全部の感覚で楽しんでほしい。カネ返せと言われても、「あなたが見たいと思ってるものが見られると思うなよ」っていうか。こっちが見せたいものを見せます。

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――どんなものになるのか、楽しみになってきました(笑)。コントとなると、大きな会場では、後ろの人まで届けるのが難しいのではないかと思ったのですが。

兼近 はい。距離があると難しいですね。

――ですが、今回は6000人キャパです。

兼近 パシフィコ横浜の5000人キャパでネタをやったときに、漫才のほうが難しいことに気づいたんですよ。漫才ってお客さんの笑い声を待ったり、タイミングが大事なんですけど、大きい会場でウワンウワンしている状態での掛け合いがなかなかできなくて。その点は、コントのほうがいいなって感じましたね。

――東京ガーデンシアターでは昨年4月、ミュージシャンとしてのワンマンライブをしていますが、そういう意味での慣れはありそうですね。

兼近 そうです。そこでも実は歌の前にコントをやったんですけど、その時も大丈夫そうだなと思いました。

りんたろー。 確かにすり鉢状になっていて、観劇はしやすいのかな。縦長とかではないんで。

兼近 ただ一応、奥のほうの席は100円(ワンコイン席)にしてます。知らんぞっていう。それは自信のなさの表れというか。

りんたろー。 (笑)

――確かに、チケット金額も5万円超えのものから100円までと、お笑いライブでなかなか聞いたことがない設定で驚きました。

りんたろー。 この金額設定は、ツアーで手売りをしたときに、高校生や主婦の方が「おカネが足りなくて……」みたいに言うのを目にして。なんか、お笑いって安く楽しめるものだったのに、そうじゃなくなっちゃってるなって……。
どうすればいいか考えたときに、すごく応援してくれる人たちがいて、その人たちが満足できる額を払ってもらえれば、後ろのほうで安く見られる席もつくれるんじゃないかなって。

兼近 だからSS席を払った人が、100円席のぶんをまかなうみたいな感じですね。クラウドファンディング的な意味があります。

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――自分たちが儲けたいからではなく、たくさんの層の人を楽しませるためにこういう金額設定にしているということですね。その代わり、SS席には豪華特典をつけています。

兼近 直接会って、触れ合う時間もありますね。でもSS席は、無理しないで本当に好きな人だけ買ってもらえれば。いちばん買ってほしい席は、縁起のいい7777円の席です。それぐらいが適正金額かなって思います。

漫才ではあらわせないEXITを出す

――もう少し中身の話を聞きたいのですが、単独ライブで行うコントは、チャラ男コントのような、これまでのキャラを生かしたものをやるのか、あるいは、違うキャラになりきるのか、どちらでしょうか。

兼近 それは違う人になりますね。いま全国ツアーでやっているコントも、子どもを演じてみたり、怪物になってみたり、わりと別の人になってます。

りんたろー。 それがやっぱ、漫才とコントのいちばんの違いだと思いますね。コントはチャラ男以外になりきれるんで。

兼近 漫才だと、どうしてもオレらはチャラ男でやんなきゃいけないんですよ。チャラいとは別の性質がそれぞれあるんだけど、どうしてもチャラいが前面に出ちゃうので。

――コントのほうが、「チャラい」以外の側面を自然と見せられるということですか?

りんたろー。 そうっすね。そういうことができるのがコントなんだなっていうのを全国ツアーでやってみて気づきました。

兼近 うん。

――たとえば現在の全国ツアーでは、「チャラい」以外のどんな側面を見せていますか?

りんたろー。 EXITはシュッとしているもんだと思ってたんで、僕は「キモい自分」というのは受け入れてこなかったんですけど。なんか最近、「オレ、キモいんだ」って思っています。

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――そんな悲しい気づきがあったんですか(笑)。

りんたろー。 (笑)。いや、でも、みんなすごい喜んでくれるんですよ。僕自身はキモくしてるつもりがないんですけど、「それ、いいですよ」って言われる。

兼近 自分から出そうとしてないですけど、めっちゃキモいんですよ(笑)。女子高生を演じたときとか、本人がキモいと思ってない部分もまとめてキモかったりするんで。

りんたろー。 僕はキャラクターを演じてるつもりなんですけど、ひとつ蛇口をひねると、めちゃめちゃあふれてくるときがあって。

――キモさが?

りんたろー。 キモが(笑)。やばい、止まんない、みたいなときがありますね。兼近とかお客さんがめっちゃ笑ってるんで、「笑うな」と思ってます。

兼近 でも「キモい」は、りんたろー。さんの子どもが5、6歳を超えたあたりで、やめようと思ってます。

一同 (笑)

りんたろー。 じゃあ、期間限定のキモなんだ?

兼近 オレはそういう考え。

りんたろー。 大丈夫かな。定着しないかな? 5年もやったら。

兼近 そのへんは、オレも考えながら一応やってる。相方は、子どもの人生も背負ってるんで(笑)。

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――では今回の単独では「チャラい」に加えて、「キモい」もですし、ほかにも新たな側面のEXITが見られるかもしれないですね。

兼近 いろんな面を見せたいっすよね。もしかしたら、感動させちゃうコントが1本あるかもしれないですし。

りんたろー。 あ、やりたいわ。それ!

兼近 「何がオモロいの?」っていうコントでも、それ1本で見たら感動する話かもしれないけど、その次のコントでそれがフリになっていたりとか。そうやっていろんなモノをつくれるよなと思ってます。

りんたろー。 いや、いますごくオレの中で来ました。これはやりたい。

兼近 まだ、わかんないからね(笑)。一応、25個ぐらい設定を考えて、その中で良さげのものを選んでいくんで。でも組み合わせで1個、感動系があるかもって感じですね。

りんたろー。「EXITがどこまでやれるかを見てみたい」

――最後におふたりのキャリアを振り返った話も聞かせてください。史上最速でのルミネ単独や、パシフィコ横浜での5000人ライブ、そして今回のコント単独とものすごいスピードで駆け抜けていますが、この6年間を自分たちではどう考えていますか?

りんたろー。 うーん。どうなんですか。

兼近 何も変わってないかなと思いますね。

りんたろー。 (笑)

兼近 特に僕自身は何も変わっちゃいない。あ、家がちょっと良くなった。住んでる家が良くなったっていうくらい……。

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――できることの規模や環境は変わっているけど、自分たちは何も変わってないという感覚ですか?

りんたろー。 そうですねえ。でも、振り返ると「あ、早いな」とは思います。このスピード感で続ける人もなかなかいないので、それはありがたいとは思います。本当に。

――でも、別に「これ成しとげたぞ」とか「やったー!」みたいな感覚でもない?

兼近 まだ何も成しとげてないんですよ。実は。

――ええ?

りんたろー。 そうですね。マジで成しとげてないっすよ。

兼近 芸人のコンビとしてはまだ何も成しとげてなくて。(りんたろー。が)結婚したりとか、僕も夢だった本を書いたりとかはあるけど、コンビとして何かを成しとげたかって言われたら、実はまだ「SDGs-1グランプリ」を優勝したくらいです。

りんたろー。 (笑)

兼近 それぐらいしかまだないので。

りんたろー。 でも、あれのおかげで売れたもんね。

兼近 そうっす、そうっす。

――「何も成しとげていない」という認識は驚きました。では逆に、今後の目標はありますか? 10年後、20年後にどうなっていたいかとか。

兼近 いやー、本当にないけど、「面白くありたい」っていうのだけは、やっぱあるんで。人からも思われたいし、自分自身も面白いことはしたいなあって感じですね。いまは、やりたいこと探し中ですかね。10年後、20年後に見つかっていたらいいなぐらいの感覚です。

りんたろー。 僕はEXITがどこまでやれるかを見てみたいですかね。テレビでもそうだし、ネタでもそうだし。まだまだやれるはずだと思っちゃってるんで。

――EXITは、ロールモデルとなる先輩芸人がいない道を歩んでいる感じがありますよね。

りんたろー。 ああ確かに。

兼近 そうですよね。

りんたろー。 いろいろと先輩に教えてもらうことはもちろんあるんですけど、総合したときに僕らと同じような人たちはあんまりいないので。だから2人でよく喋っているのかもしんないっすね。

出典: FANY マガジン
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――2人の中にしか答えがないから?

りんたろー。 そうですね。

兼近 吉本でもざっくりとした系譜というか、「誰々ルート」みたいな言い方があって、ダウンタウンさんルートに千鳥さんが乗ったなとか、かまいたちさんが千鳥さんぽいなとか。誰々が誰々っぽいっていう系譜があると思うんですけど。

りんたろー。 そこにはなれないってのもあるんで、自分たちは。

兼近 なれない。

――自分たちは走り続けて、自分たちの道をつくっていくしかない?

兼近 そうっすね。泳ぎ続けるマグロになるしかない。芸人やめたら本当に何にも残るもんがなくなっちゃいますもん。ゴミみたいな(笑)。そうなったら、いちばんヤバイ状態なんで。

りんたろー。 ネタをやり続けることも同じ理由だよね。最後に自分たちに残るのは結局、ネタなんだって思ってますからね。

――そういう2人の思いが今回の単独ライブ開催につながっていることが、すごくよくわかりました。それでは最後に読者に向けて、この単独ライブ『チャランの園~』のアピールを一言ずつお願いします!

りんたろー。 本当にEXITらしくたくさんの年代、層に楽しんでもらえるものを用意するんで、いろんな地域から友だち、家族を誘ってきてほしいです!

兼近 タレントさんだったり、俳優さんだったり、アイドルさんだったりを客席に無料で招待するんで、近くで芸能人を見られるかもしれないんで、来てほしいです!

りんたろー。 いやいやいや。最後の一言、それ?

兼近 もしかしたら、あなたの好きなタレントが近くに座っているかもしれないんで、それも加味した上で。7777円の席あたりは、ラッキーの可能性があります。

りんたろー。 そういう意味の7777だったんだ(笑)。

兼近 はい、大当たりする可能性あるよってことなんで。ぜひとも楽しんでほしいですね。

一同 (笑)

取材・文:前多勇太

公演概要

『チャランの園 1億年と2千年たっても笑わせる~カネチ&リンと林檎かじり散らかしてアチャーな新人類創生計画ブッカマ!!~』
日時:12月10日(日)開場 16:00/開演 17:00(約90分公演)
会場:東京ガーデンシアター
チケット:
・SS席 51,136円【特典内容】メッセージカード、グッズプレゼント、終演後ハイタッチ会あり
・S席 12,220円【特典内容】グッズプレゼントあり
・A席 7,777円【特典内容】全員にプレゼントあり
・親子席 3,000円
・にわか席 3,000円
・ワンコイン席 100円 ※後日販売予定

詳細はこちらから。
EXIT公式サイトはこちらから。

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