ノンスタ石田の「論理的に笑いを取る方法」に東大生が衝撃! 東大×吉本「漫才ワークショップ」開催

NON STYLE・石田明による東大生に向けた「漫才ワークショップ」が、9月20日(水)に吉本興業東京本部で開催されました。吉本興業と東京大学がコラボした「笑う東大、学ぶ吉本プロジェクト」の一環で、この日は現役東大生11人と現役NSC(吉本総合芸能学院)生1人が参加。漫才の体験を通じてコミュニュケーションに関する新しい知見を得てもらうことを目的に、「漫才のつくり方」「ボケ・ツッコミとは」「発想の飛ばし方」などをテーマに石田が講義をしたほか、実際に東大生に漫才のネタづくりからネタ合わせ、ネタ披露までを体験してもらいました。

出典: FANY マガジン
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天才でなくても「意外な発想」にたどりつける

会場に集まったのは、学年も学部・研究科もバラバラで全員ほぼ初対面の11人の東大生と現役NSC生1人。自己紹介のあとは、さっそく石田による講義が始まります。

本人いわく、芸人のなかでは珍しく、感覚ではなくすべて頭で考えて、「こうすれば笑いが取れるんだ」という知識だけでやっているという石田は、「だから誰でも笑いはとれます」と断言します。すると、それを横で聞いていた、MCのてんぐ・横山ミルが「それがマジすごいけどなぁ……」とポツリ。

「僕は“面白さ”とか、“アイデアを出す”とかについては、芸人のなかでは最下層。でも、その最下層をミルフィーユ状に積み上げていって面白い答えに勝っていく、というやり方をやってます」

大マジメにこう語る石田は、東大生たちを前にしながら、「というか、そもそもこの状況がボケですよね。かしこなやつが、ほぼ中卒のやつの講義を受けるというこの状況が(笑)」と場を和ませつつ、「ボケとは」「ツッコミとは」についての講義が始まります。

出典: FANY マガジン
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まずは、ボケとツッコミについて「いちばん大事なのは『常識』。まず、ここを世間と合わせないといけない。『世間の常識』を裏切ることで笑いが生まれる」と石田。そしてボケに必要な「緊張と緩和」や「言葉遊び」、「独特な思考」について、例を出しながら説明しました。

一方のツッコミに必要なのは「訂正(「なんでやねん」など)」や「状況説明」「比喩表現」「代弁」としたあと、いちばん大事なのは「(驚きや怒り、焦りなどの)リアクション。ちょうどいいリアクションが笑いを生む」と断言します。

さらに発想の飛ばし方について、「まずはなんでもいいから」と生徒たちにテーマを上げさせます。そのひとつを選んで、そこから想像できるシーンをいくつか考えると、いったんもとのテーマを切り離して、そこからさらに連想していきます。そうやって連想を細分化したあと、「ほかのテーマとその(連想から生まれた)単語を組み合わせると違和感が生まれるので、それを面白くブラッシュアップしていく」と説明。

出典: FANY マガジン
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確かに、これなら天才的なひらめき力がなくても意外な発想にたどりつけそうな「発想の飛ばし方」。「ゲームを作る人にはこういう発想の仕方をする人が多いらしい。ぜひ皆さんも挑戦してもらえたらと思います」という石田の言葉に、学生たちも真剣に聞き入っていました。

石田、東大生コンビから漫才づくりのヒントを得る!?

講義のあとは、学生たちがネタづくりと漫才の披露に挑戦。てんぐの2人が「参考に」と漫才を披露したあとは、即席でコンビを組んだ学生たちのネタづくりとネタ合わせが始まります。わからないことがあると、石田やてんぐの2人にアドバイスを求めるなどしながら、約2時間半でネタを完成させていきます。

出典: FANY マガジン
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そして、いよいよ本番。石田の「元気よくやったらいいんですよ。堂々と、ノリノリで」とのアドバイスのもと、6組のコンビがネタを披露しました。

どのコンビも、講義で習ったことをうまく取り入れつつ、個性を生かしたネタやワードの強いネタ、東大生らしく「東大に合格できる方法」をテーマにしたネタなど、バラエティ豊かな漫才を披露しました。

それぞれ、ネタが終わるごとに丁寧に講評する石田。言い間違えたり、オチを先に言ってしまったりしたコンビには「1年目を思い出しました」と優しくフォローしつつ、「でも、ボケ(オチ)を先に言っちゃうっていうのは手段としてありやと思いました。もし近々僕がそういう漫才をやったら『あっ!』と思ってください(笑)」と話し、笑わせます。

そして、栄えある石田賞には「東大に合格できる方法」をテーマにした漫才を披露した「メガネとすねげ」が選ばれました!

彼らのネタについて石田は、「入りのグダグダからは想像もできないしっかりとしたネタで面白かった。すごくいい角度でボケも入っていて気持ちよかったです。2人の等身大のネタという気がしました」と話しました。

出典: FANY マガジン
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東大生「芸人への尊敬の念が増した」

ワークショップ終了後、感想を聞かれた石田は「なによりもまず、楽しんでくれてることがいいなと思いました。ウケるウケないってすぐわかるじゃないですか。これほど結果がすぐわかることって世の中にあんまりないと思うので、それを体験してもらえたこともすごくよかったなと思います」とニッコリ。

MCとしてこの日のワークショップを見守ってきた横山は、「石田さんはお笑いの仕組みを言葉にして言ってくれるけど、これは他の人じゃなかなか無理なんだろうなと思いますし、頭のいい人たちがやると2時間半で形になるんだなって毎回、感心させられます」と、自身も勉強になった様子。相方のマジ川田も「ネタを最後までやり切るって、なかなかできないんですよ。僕らも先日、初めてM-1の1回戦の司会をやらせてもらったんですけど、途中で諦める人もいるんですよね。だから、やり切れるだけでもすごいなと思います」と感心していました。

出典: FANY マガジン
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石田賞を受賞した「メガネとすねげ」の佐藤秀俊さん(教養学部教養学科3年)は、「講義はすごく勉強になったし、ありがたかった。ネタづくりは手探りで、意見も微妙に合わなくて難しいなと思ったし、ネタ披露はすごく緊張したんですけど、話し始めたら楽しめたので、本当にいい機会になったなと思います」と振り返ります。

相方の中尾竜也さん(法学部第1類3年)も、「初めてお笑いを論理的に学ぶことができて、こんなに奥深いんだなって感心しました。それとともに、芸人さんへの尊敬の念が、いままでにも増して出てきました。人前で話すってすごいな、しかも人を笑わせて幸せにするっていうのはなおさらすごいな、って」と感激した様子でした。

出典: FANY マガジン
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【笑う東大、学ぶ吉本プロジェクト】
東京大学の学生たちが新たな文化や価値観に触れることで、新しいアイデアや発想を生み出す力を身につけることを目的にした取り組みで、2021年3月にスタート。これまでも芸人と学生がコラボした、さまざまな企画が実施されてきました。

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