南野陽子が今年の『関西演劇祭』実行委員長に! 「“推し”となる劇団を見つけるのも楽しみ」

11月に開催される『関西演劇祭2023』の実行委員長に女優・南野陽子が就任し、10月4日(水)に東京・神保町よしもと漫才劇場で開かれた発表会見に登壇しました。会見には初回からフェスティバル・ディレクターを務める板尾創路、スーパーバイザーを務める劇作家で演出家の西田シャトナー氏らも参加し、それぞれ演劇祭への意気込みを語りました。

出典: FANY マガジン
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関西演劇祭は“つなぐ”をテーマに、クリエイター・劇団・観客・審査員やスタッフなど、参加するすべての人に「出会いの場を提供する演劇祭」をモットーとして、2019年にスタートしました。5年目を迎える今年も、全国から厳選されたバラエティ豊かな10劇団が参加し、それぞれ45分のオリジナルストーリーを上演します。

今年は、11月11日(土)~19日(日)まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA SSホールで開催されます。

「観客としてまずは楽しみたい」

会見には、スペシャルサポーター(審査員)を務める演劇プロデューサーの野上祥子氏、映画監督の三島有紀子氏、NHKエンタープライズ・ドラマ部の岡田健氏も登壇。まずは実行委員に就任した南野が、笑顔でこう挨拶をしました。

「私が実行委員長なんて本当に申し訳なくなってしまうんですけど、私も舞台に立たせていただいている立場です。演劇をやっている人は熱い思いを抱えている人間らしい人たちが多いんですけど、そういう方々のパワーがあふれる瞬間を見せていただくいい機会だと思っているので、観客としてまずは楽しみたいと思います」

出典: FANY マガジン
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“つなぐ”をテーマにする関西演劇祭は、これまでも多くのつながりを生んでいます。2022年のベストアクター賞を受賞した北野秀気や、2021年ベストアクター賞の寺井竜哉など、活躍の場を広げてドラマや映画などに出演する才能を輩出してきました。

板尾はこの成果について、「(関西演劇祭に)出た方が活躍されているというのは嬉しい反面、悔しい。仕事するならライバルですから、出る杭は打たないとて……」と笑わせつつ、「勝手につながっていくんですよ。すごいもんですね。大したもんです」とフェスティバル・ディレクターとしての喜びを語っていました。

また、映画監督の三島氏も、ここから生まれた“つながり”を報告します。昨年の演劇祭に出ていた俳優を起用した自身の映画が来年公開されるとのことで、「それもつながった形として皆さんに楽しんでいただけたらと思います。今年の演劇祭も本当に楽しみにしています」と演劇祭への期待を語っていました。

演劇プロデューサーの野上氏は、「昨年、初めてサポーターとして参加して、とにかく劇場に漂うのは『愛』なんです!」と劇場の空気感を熱弁。「各劇団の生きざまを45分で受け止めて、体感して、前向きに終わる感じがあった。そこにずっと愛があって、とっても素晴らしい1週間だった」と関西演劇祭の魅力を熱く語りました。

出典: FANY マガジン
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ティーチインで“人の変化”も見られる

関西演劇祭の最大の特徴は「ティーチイン」にあります。ティーチインとは、公演終了後に公開で行われる“討論会”のこと。審査員や観客からの質問に対して、劇団員たちがその場で答え、作品や演技に対しての意見交換を行います。

このティーチインについて、初参加となるNHK エンタープライズの岡田氏は「演劇を観ていると、なかなかつくっている人と話す機会がないと思うんですけど、それが実際に目の前で繰り広げられるのが楽しみ」と期待感を語りました。

またスーパーバイザーの西田氏は、ティーチインの“効果”を語りました。

「去年、すごく観客に対して斜に構えていて、『僕はティーチインに出ませんよ』と運営にも言っていた劇団員が、実際のティーチインではめちゃくちゃ楽しそうに積極的に喋っていた。そういう“人の変化”も見られる。芝居を観たあとに、その人のことを深掘りする時間をティーチインでいただけることが、“つながり”という言葉にもつながっていきます」

出典: FANY マガジン
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こうして、各クリエイターたちが熱い思いを語った会見は終了。最後は実行委員長の南野が、観客に向けたこんな言葉で締めくくりました。

「舞台を観ると、そのときの悩みや考えていることに気づかされて、向き合わせてくれます。人それぞれの人生の中で舞台を観る楽しさがある。45分というのはやる側は大変ですけど、観る側は気軽に観られる時間だと思うので、時間があったら、ぜひ来てほしいと思います」

いち演劇ファンとして「ラッキー!」

イベント後に、実行委員長に就任した南野とフェスティバル・ディレクターの板尾にインタビューしました。

――南野さんは、実行委員長就任の話があったときに、率直にどう思いましたか?

南野 最初にお話をいただいたときは、「えー! 私でいいんですか」という申し訳なさが先に出ました。でも、いち演劇ファンとして、多くのフレッシュなパワーのある劇団の方たちを知る機会はそうないので、本当にうれしくて「ラッキー!」と思っています(笑)。

――具体的に演劇祭で楽しみにしていることはありますか?

南野 「私、この人を売れる前から知ってたの」みたいなことが好きだったりするので、“推し”となる劇団を見つけるのも楽しみです。それと「私ってこういうタイプの作品に惹かれるんだ」という自分探しというか、自分を見つける機会にもなると思うし、とにかく楽しみでしかないです。

出典: FANY マガジン
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――板尾さんは、南野さんが実行委員長に就任することに、どのような期待がありますか。

板尾 本当に「南野陽子」という人がこの位置に立っていただけるのが、僕たちは嬉しい。真剣に考えて、引き受けていただいたのが、ありがたいと思っています。僕たちは、いままでやってきたことをちゃんと南野さんに見せられるかという不安もあるので、劇団の人たちには「南野さんが来てくださってるんだから、お願いしますよ」と(言いたいです)。ほんまにね(笑)。

――最後に、来場する人たちに向けてメッセージをお願いします。

板尾 お芝居のあとのティーチインでは、恥ずかしがらずに手を挙げて、どんどん意見や聞きたいことを聞いてほしいです。その質問に対して、みんなで意見を言い合うのもこの演劇祭の醍醐味だと思います。そして自分が気に入った劇団に投票する権利もありますので、ふだんのお芝居を観劇しに行く楽しさとは違う、この関西演劇祭の魅力を楽しんでいただけたらなと思います。

南野 1劇団45分ということなので、「長い時間、座っているのが苦手」という方も楽しんで観ていただけると思います。また(劇団を)見比べることも楽しみだと思いますし、自分の好みの作品を知るいい機会だと思うので、ぜひいらしてほしいと思います!

『関西演劇祭2023』公式サイトはこちらから。