新作『野田ゲー』にあなたがザコキャラで登場!? マヂラブ野田×カヤック後藤が語るクラファンの楽しみ方

マヂカルラブリーの野田クリスタルが制作して大ヒットしたNintendo Switch用ダウンロードゲームの第2弾、『スーパー野田ゲーWORLD』の開発費を集めるクラウドファンディングが始まりました。リターン品は、ゲーム中に自分のつくったBGMや効果音が使われたり、自分がキャラクターとして登場したり……というユニークなもの。そんな“ユーザー共創型”ゲーム『野田ゲー』の魅力と可能性について、野田本人と、前作に引き続きタッグを組むゲームクリエイター・後藤裕之氏にとことん語ってもらいました!

出典: FANY マガジン

第1弾として4月にリリースされた『スーパー野田ゲーPARTY』は、発売から1週間でNintendo Switchのダウンロードランキング(ニンテンドーeショップ4月29日~5月5日)で2位になり、8万本を売り上げる大ヒットゲームとなりました。

今回は、これをさらに進化させ、世界中の人と対戦できるオンラインゲームを制作するために、8月19日(木)からクラウドファンディングで開発資金を募集。2日間で目標額の13,573,000円(前回の支援額)をあっさり突破する人気ぶりで、リターン品を追加して募集期間の10月18日(月)までに支援額3,000万円を目指します(9月5日現在で約1890万円)。

『野田ゲー』の醍醐味のひとつは、支援者たちがクラファンを通じてゲーム制作に参加できるところにあります。「ゲーム内BGMを制作できる権」「ゲーム効果音をつくれる権」「あなたの描いたイラストや落書きが背景に使用される権」「ザコキャラになれる権」「ラスボスになれる権」……などなどリターン品は豊富。人気ゲーム『もじぴったん』の生みの親で、いまは「面白法人カヤック」に所属する後藤さんも、「こんなにクオリティの高い“素材”が集まるとは思わなかった」と目を見張る展開になっています。

出典: FANY マガジン

野田ゲーを年1回の行事にしたい!

——前作は大ヒットとなりました。

野田 思いのほか盛り上がりましたね。クラウドファンディングでたくさんの「素材」が集まったし、まったく知らない人が主人公になったり……。よくわからないミニゲームばかり揃って2位になったんで、楽しいなって思いました。夢あるなぁって。

後藤 SNSを見ると、小学生からおじいちゃん、おばあちゃんまで、笑って遊んでくれていたようでうれしかったです。僕は昔からユーザー層の広いゲームを作りたいと思っているんですけど、今回の野田ゲーは、いままで作ってきたなかでいちばん幅広い年齢層の方に遊んでもらったゲームかと思います。

——改めて新作『スーパー野田ゲーWORLD』の概要を教えてください。

野田 野田ゲーは1年に1回の“行事ごと”にしたいんですけど、毎回、同じことはしたくない。どんどんグレードアップさせたいという気持ちが強いんですよ。そういった意味で、前作はNintendo Switchから野田ゲーを出すというのが目標でした。今回は、また「スイッチから出す」だけだと楽しくないので、前作でやれなかった「オンライン」機能を導入したい。おカネがかかるという理由でやめてしまったんですけど、(今回は)なんとかねじ込みたいです。そして、海外で野田ゲーを販売したときにどんな反応があるのか。この2つの目標を掲げています。

出典: FANY マガジン

——後藤さんは、今回も野田さんとタッグを組むことになりましたね。

後藤 前作を作っていたときから、ヒットすれば次もやりたいと思っていました。オンラインなどやり残したことがあるので、回収したいですね。

——後藤さんは、野田ゲーではどんな役割なんですか?

後藤 職種としてはプランナー・ディレクターという位置づけで、毎週、野田さんとゲームについて打ち合わせをさせていただいています。いろいろと出たアイデアからざっくりとしたイメージができたら、仕様書(ゲームの設計図)を作ってエンジニアさんに渡します。そのあたりの取りまとめと、あとは販売直前にゲームバランス作業を行っています。

——普通のゲーム制作とは、だいぶ勝手が違いそうですね。野田さんとゲームを作るのは楽しいですか?

後藤 ゲームを作るときって、普通はまず企画書があって作り始めるんですけど、(野田ゲーは)企画書もほぼゼロで、あーだこーだと雲をつかむような感じで作っていくんですよ。
今回は海外対応やオンラインもあるので、本当に完成するのかな?という不安はあるんですけど、逆に楽しいです。僕は20年くらいゲームを作ってきましたが、予定調和の作り方をぶっ壊すのが新鮮で、クリエイターとして面白いですね。

出典: FANY マガジン

「後藤さんはプロのなかでも“変な人”」

——野田さんのゲーム職人としての魅力は、どんなところにあると思いますか?

後藤 ゲームを深いところまで遊ばれているから、ゲームをやりこんだ人じゃないと気づかないような“気づき”をボンボン出していただいていますし、ゲーム作りに慣れてしまうと見落としてしまうようなところも拾ってくれるのでありがたいです。アイデア力や瞬発力があって、悪い意味でゲーム作りに慣れてしまった人間からすると頼りになる存在です。

——野田さんは、後藤さんにどんな印象を持っていますか?

野田 むちゃくちゃなことを言っている僕を、しっかりさばいてくれるんですよね。無限にレベルが上がるゲームを作りたいという案から『スーパー野田ゲーPARTY』で『オニオンクエスト』というゲームを作ったんですけど、もちろん予算内で作らなきゃいけないので、そんなに大したゲームにならないだろうって思っていたんですよ。
でも、フタを開けてみると、ファミコンの『ドラゴンクエスト』みたいなマップを作ってきて……。レベルは無限に上がるし、アイテムとかモンスターの数も大ボリューム。これのどこがミニゲームなんだっていうくらいまで作り込んできまして。この人はプロのなかでも変なんだなって思いました。いくところまでいく人だし、それがうまく野田ゲーと噛み合ったなって。

出典: FANY マガジン

——そんな2人が作る『スーパー野田ゲーWORLD』は、クラウドファンディングの支援額が1,800万円(9月5日現在)を超えています。

後藤 予想以上のスピードでしたね。前作のクラウドファンディングに出資できなくて、後悔されている人もいらっしゃったんですけど、そういう方々が喜んでくれて、待ち望まれている部分があったんだと思います。

——最終目標金額は?

野田 3,000万円ですね。そこまで集まれば、オンラインゲームのスコアランキングなどもろもろが入れられますし、しかも前回のゲーム本数(発売時の16本からアップデートで2本追加)と同じ数、もしくは上回る本数を入れられるのかなって思います。

「歌入りBGM」はタイトル画面に

——野田ゲーのクラファンには、出資してくれた支援者へのお礼(リターン品)として、ゲーム内で使用されるBGMやイラストなどの「素材」を制作できる権利が用意されています。前作の開発で、出資者から送られてきた素材のうち特に印象に残っているものは?

後藤 前回、90曲くらいBGMが集まりまして。言い方は悪いですけど、もっとショボいものが来るんだろうなって思っていたんですよ(笑)。でも、いざ聴いてみると、普通のゲームでも使えるようなクオリティのものが多くてびっくりしました。チーム内でサウンドトラックを作りたいっていう話が出たくらいです。

野田 1つ歌入りのBGMが届きまして。歌が入っているゲームBGMなんて聞いたことがないし、これ、どうしよ?ってなったんですね。どこかで使わなきゃいけないので、ゲームのタイトル画面に入れたんですけど、意外にしっくりきたなと。
あと、「エンドロールに名前が出る権」を出したんですけど、最初は異常にエンドロールが長いというボケのつもりだったのに、いざやってみたら、こんなにも人が携わったんだって感動しましたね。

出典: FANY マガジン

——支援してくれるサポーターに対してはどのような思いですか?

野田 (リターン品で)こんなもの使えるか!っていうムチャぶりがくるだろうなと思っていたんですけど、思いのほかしっかりしていて、なんでこんなにしっかり作ってくれるんだろう?って思いました。
音楽やイラストなど、どの業界でも思っている以上に披露する場がないし、自分の作品が大当たりするチャンスすらない状態が続いているんだろうなって感じましたね。野田ゲーが作品を広められるきっかけになってよかったです。

後藤 世の中に、ゲームを作りたいけど、ゲーム会社に入っていないし、自分でも作れないし……っていう方がいっぱいいると思うんですよ。僕も昔は、ゲームを作りたいと思っていた子どもだったので、子どものころにこういうプロジェクトがあったら喜んだだろうし、絶対に参加していただろうなって思います。
特に『スーパー野田ゲーPARTY』(4月29日発売)が出たのは、ちょうど3回目の緊急事態宣言が出た時期。本来、コロナで暗い期間だったはずが、野田ゲーを通して家族で笑い合って遊んでいるという場を提供できて嬉しかったですね。

——もともとの目標金額達成(1357万3000円)のあと、リターン品が追加されたんですよね。

野田 「ラスボスになれる権」「野田クリスタルと一緒に野田ゲーをつくれる権」など、いろいろあるんですけど「自慢の手料理一品が登場する権」が反応よくて、今回、募集定員を増やしました。
イラストやBGMのように、“自分のなかだけで止まらせたくないもの”ってなんだろうって考えたとき、思いついたのが手料理だったんですよ。SNSに自分の手料理を載せる人って多いじゃないですか。それで、けっこう(購入者が)来るんじぇねーかなと思ったら、来ましたねー。
ただ、「あなたのマッチョが登場する権」はまったく売れません。出したあとに、確かに売れないか……とハッとしました。

出典: FANY マガジン

——(笑)。野田さんは7月に自身のトレーニングジムもオープンさせていますし、反応ありそうですけどね。

野田 これは僕もそうなんですけど、「世の中にはもっとマッチョがいるに違いない」って思うんですよ。だからこそ、自分で「マッチョです!」って言えない人が多い。だから売れないんだなと。

野望は野田ゲーの国別対抗W杯!?

——おすすめのリターン品は?

野田 ドラクエって主人公よりもスライムのほうが有名じゃないですか。前回の『スーパー野田ゲーPARTY』で「ゲーム内のザコキャラになれる権」を販売したんですけど、序盤で頻繁に出てくるザコキャラって、主人公より多く登場して、印象深いんじゃねーかってことに気づきまして……。なので、今回は「ザコキャラになれる権」のほかに「ザコキャラになれる権(メジャー)」も追加しました。スライムや、『スーパーマリオ』でいうクリボーレベルのモンスターになれる権利なので、かなりオススメですね。

後藤 地味ではあるんですけど、もっと集まってほしいのは「ゲーム効果音をつくれる権」ですね。効果音はBGMに比べたら目立たないようですけど、ジャンプの音とか、攻撃する音とか、ゲームのなかで登場頻度が多いんです。マリオのコインの音とか、ドラクエのレベルアップの音とか、頭のなかで想像できるじゃないですか。あれだけ耳に残るものなので、効果音は狙い目。いっぱい出してほしいなって思います。

出典: FANY マガジン

——ちなみに、後藤さんならどのリターン品を選びますか?

後藤 「マッチョ~」が足りないので、実際にしようかなと思っています(笑)。そんなにマッチョじゃないかもしれないですけど、数週間前からライザップに通っているので、10月までに体を仕上げて出そうと思います。

——今後もリターン品は増える予定ですか?

野田 いまはアイデア出しの段階なので、ゲームの内容が固まってから増えるとは思います。SNSやサイトなど、常にチェックしていただきたいです。

——『スーパー野田ゲーWORLD』発売後の野望を教えてください。

野田 いつかCMを打ちたいですね。テレビCMを作るとゲームを作る以上におカネがかかってしまうんですけど、ひとつの目標としてあります。このCMでも皆さんを巻き添えにできたらいいなと思っていて、まったく知らない人が100人以上出てくるCMって面白そう。BGMもユーザーに委ねて、“CM作りにこんなに素人が携わることはないだろう”というものを作りたいです。
ほかにも、オンライン大会の開催、プロライセンスの発行もしたい。野田ゲーのプロゲーマーが誕生したら面白いだろうなって思います。

後藤 eスポーツで盛り上がるだけでなく、国別対抗のW杯的な大会ができればいいなと思います。じつはアフリカの人がめちゃめちゃ野田ゲー強かった!みたいな。世界の人がどう野田ゲーを遊ぶのか、すごく興味があります。

出典: FANY マガジン

——クラウドファンディングに興味を持っている人に向けて、メッセージをお願いします。

野田 このクラウドファンディングは、本当に意味がわからなくて。僕らがみなさんからおカネをいただきつつ、素材もいただくっていう詐欺みたいなクラウドファンディングなんですけど(笑)、でも面白いと思います。
本当にクオリティの高いBGMやイラストじゃなくていいんですよ。横棒一線のものを送っていただいてもいいし、BGMも「あーー」って言っているだけのものでもこちらは使うわけで。
“スイッチのゲームにこれが入るのか!”っていう素材を送ってもいいって考えただけでも、ワクワクするじゃないですか。このワクワクって何かと考えたときに、僕が小学生のときに遊んでいた『RPGツクール』(誰でも手軽にRPGが制作できるソフト)に感じたものと似ていて。そのゲームで、主人公に「うんこ」って言わせたんですよ。テレビ画面から「うんこ」って聞こえたとき、すごく感動して……。それとまったく同じだと思います。スイッチのゲームにあるまじきものが表示される可能性がある、っていうワクワク感を皆さんにも味わってほしいです。

後藤 今回、遊んでくれる方や支援してくださる方には、ご家族やお友だちなど、身近な人に野田ゲーを広めていただきたいなと思っています。おじいちゃん、おばあちゃんや、子どもさんにも野田ゲーを楽しんでいただきたいですし、ご高齢の方が出してきたイラストとか音楽が集まれば、それこそハチャメチャになって面白そう。もっと幅広い年齢層の方に野田ゲーの世界に参加していただきたいので、ぜひ、輪を広げていただければと思います。

出典: FANY マガジン

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