マンゲキ復帰の九条ジョーに直撃インタビュー! 「ひとりになったけど、ひとりじゃなかった」

今年1月に人気お笑いコンビ・コウテイを解散し、2月にピン芸人として再始動した九条ジョーが、11月から再び大阪・よしもと漫才劇場(マンゲキ)所属となりました! 「1位を取るのは賞レース優勝よりも難しい」ともいわれるマンゲキ恒例のネタバトル『グランドバトル』で、総勢70組中5位にランクインして掴んだ“昇格”。ピンでも実力を示した九条に、現在の心境や今後の目標を聞きました。

出典: FANY マガジン
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『グランドバトル』は、マンゲキで2カ月に1回、開催されているガチンコのネタバトル。8月のシステム変更によって、マンゲキに所属する芸歴8年目以上の「極メンバー」全組に加えて6年目以上が出演対象となり、さらにマンゲキ所属を狙う「UP TO YOU!サバイバルステージ選抜メンバー」も加わって、1日がかりでネタバトルを繰り広げます。

九条は、10月7日(土)に開催されたこの『グランドバトル』に「UP TO YOU!」メンバーとして参戦し、3部構成の第1部で2位に。総合成績でも5位に入り、晴れてマンゲキメンバーに復帰しました。

「絶対にひとりで漫才劇場に帰りたかった」

——『グランドバトル』で好成績を残し、ピン芸人でもいよいよマンゲキ所属となりました。順位も第1部で2位、総合では5位と好成績でしたね。

「ひとりでもおもしろい」と証明できたのはよかったです。ピンでやり始めて半年ちょっとですか。早めに戻れたので自信になりました。

——『UP TO YOU!』からマンゲキ所属メンバーを目指す道のりの厳しさは、身に沁みて知っていると思いますが、再び挑戦しようと決めた理由は?

コンビのときは、1~2年目は漫才劇場に入るためにがんばっていました。漫才劇場に所属してからは切磋琢磨して賞レースで結果が出すことができ、その後は『M-1グランプリ』めがけて走った。いまの僕があるのは全部、漫才劇場のおかげです。だから、もう一度入るということが、再スタートした僕なりの区切りというか。まだ時期は明確ではないですが、東京進出を考えていて、でも進出する前に、絶対にひとりで漫才劇場に帰りたかったんです。

出典: FANY マガジン
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あと、よしもと有楽町シアターが8月で閉館してしまったことも、けっこう大きいかも知れません。復帰直後は有楽町シアターによく出演してたので、自分の出ている“持ち小屋”みたいなのがなくなってしまい、途方に暮れていました。自分はお笑いがずっと好きなので、ちゃんとネタができる、お笑いができる場所を確保するという意味での『UP TO YOU!』『サバイバルステージ』『グランドバトル』だったな、と。でも一度、7月の『サバイバルステージ』でつまずいたんですけれども……。

——つまずいた、とは?

8月で有楽町シアターが閉館だったので、閉館後すぐに漫才劇場所属になれるように『UP TO YOU!』に出始めたんですけど、7月の『サバイバルステージ』で負けてしまったんです。でも、一度負けたからこそ、よけいに気持ちが引き締まった感はあるかも知れません。『UP TO YOU!』では1位を獲ってたし、ちょっと「九条ジョーっしょ! 余裕、余裕!」みたいな感じでいったら20位くらいになっちゃって、「あかん、あかん!」と。それで1回、キュッと引き締まりました。失敗から学びました。

出典: FANY マガジン
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俳優、モデル、作家…呼ばれたものには全部出る!

——現在、幅広いジャンルで活躍していますが、まず力を入れるのはネタでしょうか?

それも、考え方が変わりました。ピンになってからは「仕事をいただけるだけでありがたい」というのが身に沁みてます。なので、いまのタイミングで呼んでいただいているものは全部出てます。YouTubeチャンネルでは、『よしもと祇園花月チャンネル』や、田津原理音の『リオンダー越しの世界』の服買う企画とか、見境なしに全部出てますけど、ピンの僕を呼ぶということは、僕個人を必要としてくれてるということじゃないですか。だから全部出よう、と思って。
あと、まだ公開されていませんけど、映画や舞台も決まっていたり、モデルの仕事もあったり。もちろんお笑いが大好きなんですけど、ピンになったぶん、柔軟にいろんな仕事をしていけたらなと思います。

——「九条ジョー」を求めてくれる場所へ行くということですね。

手広く動けるようになったし、フットワークはだいぶ軽くなったと思います。でも「もちろんお笑いが大好きですよ」というのは、赤字の太字で載せていただけたら。明朝体の赤字で(笑)。

出典: FANY マガジン
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——11月からマンゲキの出演も増えて、かなり慌ただしい日々が始まりそうです。

ですね。これからの時期は、お笑いが本筋になるんですかね。『R-1グランプリ』が近く、今年から芸歴制限撤廃もあったので、この期間はそういう舵の切り方をするんだと思います。広く、いろんなことはやりますけど、(お笑いで)締めるときは締める、という感じですかね。

——12月には、九条さんのオンラインサロン『ボクノ終脳室』のイベントも開催されます。前回は昨年7月、滋賀県の豊郷小学校旧校舎群で『ガルベアス卿即位ノ儀』が開催されましたが、今回も“ガルベアス卿”がお出ましするのでしょうか?

まだ現段階では中身が練りきれていないんですけど、ガルベアス卿、やってくれるのかな? という感じで。今回は場所が(大阪市内の)中崎町の一軒家、2日間の開催です。個展や物販、内容がいろいろありすぎて、すべてはお伝えしきれないぐらいです。で、会員さんしか参加できないメインイベントがある、みたいなイメージですかね。

——個展、イベント、グッズ販売など、九条さんの脳内すべてが表現されている、いわば九条ジョーの“万博”のような内容なんでしょうか。

九条ジョー万博……それです! それだと思います。本当にそんなイメージだと思います。僕の脳みそのすべてがそのスペースにある、と思っていただけたら。

出典: FANY マガジン
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未定ですが、『ボクノ終脳室』会員のみなさんに展示や映像を見てもらおうかなと思っています。イベントやグッズ購入なんかもできるようにして。会場のスペースの問題で、会員さん限定になってしまいそうな気がしますが。僕の脳は本当に、一度入ってしまうとズブズブと入ってしまうような……沼みたいな。「九条ジョー万博 ~沼~」です。

——書籍の出版も、来年の春に控えていると聞いています。

本当に申し訳ないんですけど、めちゃ後回しになってしまって。もともと今年5月に出版する予定で動いていたんですけど、復帰直後に有楽町シアターで1日6ステとか入っていたり、ドラマ撮影があったり、ここ最近だとグランドバトルに向けてピンネタをつくっていたので、後手後手になってしまっている状況です。理想は来年4月には出したいな、と。いまの進み具合は、9分の4……いや、9分のジョーくらい進んでいます。合間、合間で取り組んでいきます。

夢は自作のトレーディングカードを大ヒットさせること!?

——現時点で、すでに盛りだくさんですね。

以前はネタだけつくっていたんで、ある意味、ひとつだけの脳みそやったんですけど、いまは台本を覚えてピンネタつくって本書いて、ダイエットで痩せようとまでして、てんてこまいで。でも充実はしてるかも。たぶん、あのころよりは顔色はよくなってると思います(笑)。マンゲキに行ったら、みんなに「やさしい顔になったな」って言われますね。いまもトガってはいるんですけど、全面に出すトガリではなくなったかも知れないですね。

出典: FANY マガジン
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——マンゲキの仲間たちも、そんな九条さんを見守っていたんですね。

そうですね。感謝してもしきれない人がたくさんいます。いまの力になってます。ひとりやったら、ここまで来れてなかったかもです。でも、やっとスタート地点ですよね。芸歴3年目に戻った感じですけど、ここからマンゲキで磨いて『R-1』に……となったらコウテイで進んでいた道と同じなんですけど、いまはひとりなんで心細さもあります。でも……「ひとりになったけど、ひとりじゃなかった」。おかげさまで、めっちゃたくさんの仲間がいてました。

——すでに、てんてこまいだと思うのですが、もし新たな展開を考えているなら教えてください。

考え方が変わったかも知れないですけど、「我が、我が」じゃなくなって、いまは僕を支えてくれる人に恩返しをしたいっていう。『ボクノ終脳室』もそうなんですけど、コンビを解散してもまだ残ってくれてる会員さんって、もう、家族じゃないですか。だって、3カ月くらい更新してなかったんですよ。なのに会費を払って残ってくださるなんて、それはもう大切な人なんです。まずはそんな方々に恩返しをし続けたらなと思います。

出典: FANY マガジン
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それで、いちばんの大きな夢は、僕の発案したトレーディングカードを発売して、ポケモンカードくらいブームにすること。デュエル・マスターズというカードゲームが好きで、いまも後輩とずっとやってるんですけど、そんなトレーディングカードゲームをつくりたいんですよ。キャラクターから戦い方まで全部考えて。むかしから、そういう“ゼロイチ”の作業が好きなので、創作はずっとしていたいですね。