お笑いコンビ・シソンヌのじろうが原作・脚本を手掛けた映画『甘いお酒でうがい』の公開記念リモート舞台挨拶が9月26日(土)、東京・よしもと有楽町シアターで開催されました。コロナ禍による上映延期からようやく始まった全国ロードショー。壇上にはシソンヌ・じろうのほか、出演者の松雪泰子、清水尋也、そして大九明子監督が集まりました。
本作は、じろうがコントのネタの中で長年演じてきた架空のキャラクター「川嶋佳子(かわしま よしこ)」が書いた日記として、2015年に上梓された同名小説を映画化したもの。40代独身OLの佳子が送るありふれた日常が、静かな語り口でつづられています。2019年の『島ぜんぶでおーきな祭 沖縄国際映画祭』で特別上映され、コロナ禍での上映延期を経て、このたびの全国公開となりました。
「日常」に散りばめられた素敵な瞬間
「立ち上げから1年半、この日を迎えられてうれしいです。じろうさんの脚本は本当に言葉が美しく、それを見事に映像にした大九監督の世界の中で、楽しく演じさせてもらいました。あたたかい気持ちになれる作品に仕上がっています」
佳子役の松雪が笑顔でこうあいさつすると、佳子が好意を寄せるふた回り年下の「岡本くん」役を務めた清水も、「いろんなことが重なって、今のこの時期にこの映画を届けられるというのは、より一層意味のあることだと思います」と話します。
「今はさまざまな行動が制限される時期ですが、何もしていない時間にも、素敵な瞬間が散りばめられているというのをこの作品が教えてくれました」
今回のリモート舞台挨拶では、東京・渋谷の映画館『ヒューマントラストシネマ渋谷』の会場とモニター越しに接続。松雪がモニターに向かって「みなさん、佳子さんという人物は好きですか?」と問いかけると、観客は大きく手を振って「イエス」を伝えました。
「じろうさんって照れ屋で、優しいんだよね」
じろうはコメントを求められると、出演者のひとりで、この日、コント日本一を決める『キングオブコント2020』決勝に臨んでいた後輩のお笑いコンビ・空気階段の鈴木もぐらになりきって語り始めます。
「ビンゴ大会で司会者役をやった、鈴木もぐらです。実物はけっこう細いって言われるんですけど、映像にするとずんぐりむっくりに映ってしまって……」
そんなじろうに対して、大九監督は「じろうさんって優しいんだよね」と笑いかけます。
「そうやってさりげなく後輩のアピールをしてる。照れ屋で、いつも面白いことを考えているじろうさんをこっそり観察しながら、大事に取り上げて作品にしていきました」
大九監督とじろうがタッグを組むのは、映画『美人が婚活してみたら』(2018年)に続いて今回が2回目です。前回は人気コミックの原作映画化で、じろうは脚本を担当しました。本作では監督自身から「次はじろうさんの原作で」と強い希望があったといいます。
「だって、じろうさんは第7回キングオブコント(2014年)の王者、つまり『コントの王様』ですよ! そういう方とご一緒するんだから、じろうさんの中から発せられる言葉や感性をできるだけいただきたい。ぜひ著作で映画を撮らせてくださいとお願いしました」
ダブル佳子の共演も!?
その後、松雪からのサプライズとして、登壇したメンバーにプレゼントが贈られました。中身はイタリア特産の蒸留酒、グラッパ。本作のタイトルにもなった「甘いお酒」です。自身はほとんど酒を飲まないというじろうは、もらった箱をゆすり、「チッチッチッて音がする。爆弾が入ってるんじゃないの?」と真剣な顔。会場が笑いに包まれます。
そこで司会者が「じろうさんと松雪さん、ダブル佳子さんの共演はないのですか」と質問を投げかけると、じろうは「それはもう、いつでも!」と即答。その勢いに押されてか、松雪も「はい、ぜひ……」と答えると、横にいた大九監督が「そんなこと言ったら、よしもとが本気にしちゃいますよ!」と慌てていさめる場面も。
最後にじろうは、本作についてこう話しました。
「これは、なんの大した事件も起きない、波風の立たない映画です。ぼくは映画やドラマに劇的なものを求めなくてもいいと思っていて。だって身近な人の話を聞けば、いろんなドラマティックなことが普通に起こっているんですよね。日常の中に面白いものがある。そういうのがぼくは好きです」
公開情報
映画『甘いお酒でうがい』
出演:松雪泰子、黒木華、清水尋也、レイザーラモンRG、空気階段・鈴木もぐらほか
監督:大九明子
原作:川嶋佳子(シソンヌ・じろう)『甘いお酒でうがい』(KADOKAWA)
脚本:シソンヌ・じろう
製作・配給:吉本興業
公式サイトはこちらから。