芸歴4年目、マンゲキ期待の新星「ぐろう」の素顔に迫る! 「強い先輩たちを倒して結果を…」

めきめきと頭角を現している大阪の期待の新星、ぐろう(家村涼太、高松巧)。昨年12月からよしもと漫才劇場(マンゲキ)に所属を果たした芸歴4年目の2人は、この1年で劇場の若手バトルライブや賞レース予選で着実に結果を残してきた実力派コンビです。メディア登場の機会も増えてきた注目株、ぐろうの素顔とは?

出典: FANY マガジン
家村涼太(左)と高松巧 出典: FANY マガジン

ぐろうは、マンゲキの芸歴7年以下(8月までは10年以下)の「翔」メンバー全員によるバトルライブ『Kakeru翔GP』で4月、10月と2回にわたってチャンピオンを獲得。さらに、来年3月に開催される『ytv新人賞決定戦』の予選ROUND1では、多くのライバルを制して1位通過しました。

メディアでは、未来のスター候補の超若手芸人が登場するBSよしもと『キクテレミルラジ265』(水曜2部)にレギュラー出演。ラジオアプリ「Artistspoken(アーティストスポークン)」(毎週金曜23:00配信)でも、コンビ仲がよくわかる飾らないトークが好評です。

出会いは「相方探しの会」

——2人は大阪のNSC(吉本総合芸能学院)で出会ったそうですが、芸人になりたいと思ったのはいつごろですか?

高松 大学2回生の就活の話題が出始めたころに、先生にやりたい仕事を聞かれて「ないなぁ」となりまして。でも、子どものときからバラエティ番組が好きやったから、「NSCもありかな?」と考え出したんです。で、2016年の『M-1グランプリ』で銀シャリさんが優勝したのを見て「めちゃかっこいい!」ってなって、大学卒業までにバイトで入学金を貯めて、卒業後にNSCに入りました。

家村 僕は中2のときに、ダウンタウンさんの『ガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)にハマりまして。僕は出身が愛知で、『ガキ使』は夜中の1時半に放送なんです。でも、うちに録画する機械がなかったから、放送日だけ夜更かしして見てました。『笑ってはいけない』シリーズも、DVDをレンタルして見漁ってました。でもそのころはまだ、「芸人さんってすごい」と思うだけで、「なりたい」とは思ってなかったです。高3のときに進路を考えるなかでNSCを知って、「入りたいな」と思うようになりました。

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——では、高校卒業後にNSCへ?

家村 入りたかったんですけど、親が「3年働いてみて、(芸人になりたいという)気持ちが変わらんけりゃあ入っていい」というので、3年間は会社員として働きました。でも、そのころに『M-1グランプリ』のとろサーモンさんの感動の優勝(2017年)を見て、気持ちは変わらんどころかどんどん火が付いて、3年働いたあとにNSCに入りました。

——ということは、NSCに入るタイミングが一緒になるのは奇跡的だったんですね。

高松 そうですね。NSCに入って、相方がいない人は「相方探しの会」というのに参加するんですけど、2回目に参加したときに(家村と)組むことになりました。

家村 たしか僕から声をかけたんだと思います。NSCではみんな、カマしたろうと思っているからめちゃテンションが高かったんですけど、(高松は)肩の力が抜けた感じで。

高松 「こんなところでかかってるヤツは売れへんやろう。自分はラフにしよう」と勝手に思ってました。

家村 かかってる人よりかはかかってない、ニュートラルな人がいいかなと思ってたんで。それに僕はネタをつくりたい側だったし、かかってる人だと「オレもつくらして」とか言ってきそうじゃないですか。僕が「ネタ、書いてもいい?」って聞いたら、「じゃあ、お願い」って言ってくれたのもあります。

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——高松さんは、家村さんにどんな印象を持ちましたか?

高松 「相方探しの会」のときに、いろんな人としゃべったんですけど、そのなかでも家村はめっちゃ礼儀正しい人に見えました。こういう、ちょっと変わったことを言ったり、思ってるヤツみたいな雰囲気はいっさいなかったです。

家村 やっぱり3年間、社会人経験がありますからね(笑)。

高松 その後、家村の前コンビのネタの動画を見せてもらったときに、しゃべり方とか「ネタのときはこんな雰囲気なんや!」って、そこで初めて知りました。

コン名の由来は家村の走り書き

——コンビを組んで最初のころは、どんな2人でしたか?

高松 僕はびっくりしました。(家村が)ネタを書くんですけど、ネタ見せの授業って、4~5人の先生に見てもらうんです。僕は、ひとつのネタをそれぞれの先生に見てもらって、という感覚やったんですけど、たとえば、(お~い!)久馬先生のネタ見せ授業の3日後に大池(晶)先生のネタ見せがあると、「違うネタでやりたい」と言うんです。家村は毎授業、毎先生で違うネタをやるんです。

家村 そうです、いっぱい書いてましたね。いっぱい書きたいし。僕自身が飽き性なのもあって。それにたぶん、ネタ見せの授業はクラスメイトも見てるんで、そこへのカマシもあったんだと思います。

高松 「これだけやってんぞ!」みたいな?

出典: FANY マガジン
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家村 そう。そのころのネタはひとつも残ってないですけど、ネタへの取り組み方とか姿勢はそこで身についたかも知れないです。序盤で身につけておいてよかったです、本当に。

——同期のなかでも、かなりストイックだったのでは?

高松 だから最初の3~4カ月ぐらいは仲いい人もおらんくて。まわりはけっこう授業終わってから遊びに行ってたんですけど、僕ら2人はネタ見せして終わってすぐ喫茶店に行ってネタ合わせする、みたいなことをずっとやってました。でもそこは、僕も「友だちをつくりに来ているわけじゃない」っていうのがあったんで。

家村 (高松を見ながら)そこよ、さすがです。だって、2分ネタを披露しただけで(ほかのみんなは)飲みに行くんですよ? 稼働2分。「2分であなた、何をしたんだ?」と(笑)。

高松 そやな、2分ネタして3~4時間飲みに行くわけやから(笑)。

家村 「それなら、そこで差をつけたろう」っていう。

——冷静に見ていたんですね。

高松 2人とも斜めに見ていたのかも知れないです(笑)。

家村 いや、歪んでただけ(笑)。

——ところで「ぐろう」というコンビ名はどういう由来から?

家村 僕は知識不足なところがあるので、知らない言葉があったらその都度、ノートに書きとめていたんです。そのなかで、本か何かで見つけた「愚弄する」という言葉を「どういう意味だろう?」とメモったのが残っていて。

高松 それで、NSCでコンビ名を提出することになり、締め切り時刻の5分前に「どうする、どうする!?」となったときに付けたんです。

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家村 ノートを取り出してぱっと目について「これでええか」と。そのときは漢字2文字で「愚弄」と書いてたんですけど、「意味も意味やし、漢字では怖すぎるか」ということで、ひらがなにしました。

——そんな勢いで決まったコンビ名なんですね。

高松 だから、初めはあんまり馴染みがなかったです。

家村 なんなら、「しっくりこない」くらいの。いまはぜんぜん馴染んでます。

2人で課題をつぶしていく

——昨年12月にマンゲキ所属になってから、濃密な1年を過ごしたと思います。

高松 ちょうど1年くらいですか。いや~……ありがたいことに、変わりましたね。

家村 変わりました。

——春には初の『Kakeru翔GP』チャンピオン、夏にレギュラー番組が決まり、秋には『ytv新人賞決定戦 ROUND1』1位通過や2回目の『Kakeru翔GP』制覇、M-1準々決勝進出などなど、ざっと挙げただけでももりだくさんです。

家村 ああ~、でもなんか、獲りきれてないですね、全部。『UNDER5 AWARD』(今年始まった芸歴5年目以下の賞レース)は準決止まり。

高松 『関西演芸しゃべくり話芸大賞』も特別賞でありがたいですけれども、グランプリじゃないですし……。

家村 『ytv新人賞決定戦』も、まだ(予選を)通過しただけですから、これで来年の本戦で負けてしまったら、ただの「決勝進出」ですし。ほかの賞レースの予選も負けてるし、『M-1』も準々。ステップアップはしてるけど……決めきれていないですね。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

高松 でも、ここまで来たからこそ、大勝している方や『M-1』で準決勝進出したメンバーのネタを見て、「獲りきるためにはどうしたらいいんやろう?」「何が違うんやろう?」っていう次の課題が見えました。去年は『M−1』3回戦で落ちたんですけど、準々決勝に行ってる人と3回戦止まりの人のネタを自分たちなりに分析して、ネタを改善して。それで1年で劇場に上がれて、『M-1』でも準々決勝に進出できたので、次は「準決に行ける人と準々決勝で落ちる人の違い」という課題です。

——そうやってひとつずつ、2人で課題をつぶしてここまで来たんですね。

家村 めちゃ話し合います。今年もやりました。準決勝進出者の発表が終わってから2時間後にいつもの喫茶店に集まって、まず「敗退か」と飲み込んでから、「なんでやろうか?」と。

高松 準決勝に行けた人と落ちた人は何が違うかをお互い出し合って、どう思ったかを言い合って、自分たちのネタにも落とし込めるかもな、という話はしました。

家村 去年、3回戦に進出したときはまだオーディション組だったんで、準々決勝に行った人たちのネタに触れる機会もなかったんです。でも今年はマンゲキで準決勝メンバーと何度も舞台で共演していますし、舞台裏でもネタを間近で見てネタの変化を追えてきているので、それはかなり変わりました。

高松 だから去年よりは、準決勝を身近に感じられているかも知れません。

——それが急成長の理由かもしれませんね。

高松 最近はテレビ番組とかインタビューとか、ちょこちょこと出させてもらえるようになったんですけど、いまのいちばんの目標は『M-1』とか賞レース系で。

家村 そこは、ブレずにやりたいね。

高松 そう。そこをおろそかにしちゃうと、劇場からも落ちちゃうかも知れないですし。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

来年は「獲りきる1年」

——いつも緊張感を持ってネタに取り組んでいる様子がわかりますが、先輩からも声をかけられることが増えましたか?

高松 こないだ、初めてとろサーモンさんとご挨拶させていただきました。

家村 そう! 森ノ宮(よしもと漫才劇場)で!

高松 村田(秀亮)さんが知ってくれていたのがうれしかったですね。

家村 これはうれしいよ!!! 「お! ぐろうや」って言ってくれたんですよ! 「(『M-1グランプリ2023』の)3回戦の動画、観たで」って言ってくれはって。いやー、これまででいちばんうれしかった~。

高松 「NGK(なんばグランド花月)のスタッフさんからも、評判聞いてるで」とも言っていただけて、ほんまにうれしかったですね~。僕、村田さんのツッコみ方を参考にさせていただいている部分もありまして。

家村 正直、衣装の感じとかも、な? すぐ村田さんの衣装、調べたもんな。

高松 2017年の村田さんの衣装がかっこよくて、それをオマージュというか、参考にさせていただいています。

出典: よしもと漫才劇場
出典: よしもと漫才劇場

——空前メテオやシスターなど、NSC大阪42期生の同期コンビも近ごろ活躍が目立つようになってきましたが、意識していますか?

家村 僕らは、どっちかというと同期よりも先輩方ですね。同期を倒したとて、『ABCお笑いグランプリ』しかり、『M-1』しかり、絶対に先輩が絡んできますから。

高松 『ytv新人賞決定戦』は今回、36期さんがラストイヤーなので、ドーナツ・ピーナツさんたちがいるなかで優勝したいというのがあります。すごい先輩たちが卒業してから優勝しても……。こんな感じ、わかる?

家村 なるほど。わかる、わかる。

高松 ものすごい人がいっぱいいる36期さん、強い先輩たちを倒して結果を出すことができたら。

家村 自信になると思います。

高松 僕らが初めて『Kakeru翔GP』でチャンピオンになった4月は、まだ翔メンバーの芸歴が10年以内で、カベポスターさん、ダブルヒガシさん、バッテリィズさんなど、すごい人たちがおるなかでチャンピオンになったから、すごくデカかったですね。

——ではせっかく年末なので、2024年の目標を聞かせてください。

高松 「獲りきる1年」ですね。

家村 そうね。勢い。決めきる力。いまは何かが足らんのでしょうね。それが見つかるか、見つける1年。

高松 惜しいところまでは来ていると思うので、そこから獲る、獲れないは大きいと思います。いまのところ、マンゲキの『Kakeru翔GP』だけしか結果が出てないから、「劇場だけ」と思われるのが、いちばんイヤなんです。だから、外の賞レースでも結果を出して、「ほんまやねんぞ」と証明したいですね。

出典: FANY マガジン
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