ミルクボーイ(駒場孝、内海崇)、金属バット(小林圭輔、友保隼平)、デルマパンゲ(迫田篤、広木英介)、ツートライブ(たかのり、周平魂)……この実力派漫才コンビ4組によるネタライブ『漫才ブーム』で新たな動きが始まりました。大阪・難波八阪神社で1月25日(木)に開かれた会見で、神社のシンボル・獅子殿をバックに並んだ8人が発表したのは、なんと、今年から10年かけて47都道府県をめぐる全国ツアーを敢行する、という壮大なプロジェクト。会見では今年、公演を行う4カ所をくじ引きで決定するとともに、それぞれが意気込みやライブへの思いを熱く語りました。
「漫才ブーム」は、ミルクボーイが「おもしろい!」と認める後輩3組に声をかけ、2017年にスタートさせたネタライブ。4組がひたすら漫才を披露するというシンプルかつストイックな内容で、実は、『M-1グランプリ2019』を制したミルクボーイの「うちのオカンが好きな○○を忘れて……」というスタイルもここで生まれ、磨き上げられたものです。
今年のライブは沖縄、香川、三重、青森に決定!
羽織袴姿でおごそかに登場した4組。まずは内海が『漫才ブーム』のこれまでを振り返りながら、「新たなプロジェクトの発表がございます!」と宣言します。各自が手にした巻物を広げていくと、そこには「漫才ブーム10年間ツアー」の文字が!
「今年から2033年まで、10年かけて全国47都道府県をまわります! よろしくお願いします!」と内海が告げ、8人そろって深く頭を下げました。
どこにどんな順番で行くかはまだ決まっていないため、この場で抽選が行われることに。毎年4、5カ所(2024年は4カ所)まわることになっていて、あらかじめ5つに分けたエリアのなかから、今年の公演場所をくじ引きで選んでいきます。
A=青森・秋田・岩手・秋田・山形・宮城・新潟・福島・富山・石川
B=茨城・千葉・東京・神奈川・埼玉・群馬・山梨・長野・栃木
C=静岡・福井・岐阜・愛知・滋賀・京都・和歌山・奈良・三重
D=大阪・兵庫・岡山・鳥取・徳島・香川・高知・愛媛・広島
E=福岡・佐賀・長崎・宮崎・鹿児島・大分・熊本・山口・島根
まずは、5つのエリアに含まれない北海道、沖縄で、今年、公演を行うかどうかを決定することに。ボックスの中には「北海道」「沖縄」と書かれた巻物各1本、「なし」と書かれた巻物8本が入っていて、抽選で決まった代表者がそこから1本を引きます。選ばれたのはたかのり。真剣な表情で取り出した巻物には「沖縄」と書かれていて、「おお〜!」と声が上がりました。
続いて、沖縄以外の開催エリアの抽選へ。こちらはエリアと都道府県、それぞれの巻物を引いて決めます。すでに沖縄が決まっているため、残るは3カ所。ミルクボーイ、金属バット、デルマパンゲの順で抽選を進めていきます。その結果、ミルクボーイはエリアDから香川、金属バットはエリアCから三重、デルマパンゲはエリアAから青森を引き当てました(日程や会場などの詳細は後日発表)。
さらに「もうひとつ発表がございます」と言い出した内海。用意された小さなくす玉を割ると、「10年間ツアー、映像化決定」の文字が!
これまで配信なしで行われてきた『漫才ブーム』の公演ですが、今後10年間のツアーの模様を初めて映像化するとのこと。どのような形かは未定ながら、内海は「そのときの最新の媒体で出したい」とキッパリ。会見に合わせて開設したYouTubeチャンネル『ムーブ才漫(ざいまん)』でも、公演のウラ側などを配信していきます。最後は、内海の角刈りに新たな髪を植える「お角植え」の儀式で、ツアーの成功を祈念しました。
友保「営業に向かうバスで寝ていたら決まっていた」
囲み会見では、各コンビが改めて意気込みを披露。まずは内海が、改めて「漫才ブーム」の成り立ちを説明します。
「漫才をサボっていた時期があり、そこからもう一度、漫才を頑張ろうということで立ち上げたのが『漫才ブーム』。自分たちが刺激をもらえるようなメンバーをと、このおもしろい3組を呼ばせていただいて始めました」
50人も入れば満員という狭い劇場から、笑いの殿堂・なんばグランド花月でも上演する人気イベントに成長したいま、「このメンバーのおかげでM-1も優勝できたし、M-1後も漫才をやり続けられている」と改めて感謝しました。
これからの10年は「漫才師として成熟する期間」であり、「その10年間を一緒に過ごせるのは非常にありがたい。全国のみなさんにお会いできるのが楽しみ」と喜ぶ内海。駒場も、力を込めてこう語ります。
「もう1回、漫才に向き合うきっかけになった大事なライブ。絶対的におもしろい、そして負けたくない3組の後輩とやらせてもらうので、10年を先に決めるという“漫才枷(かせ)”をみんなに履かせて、10年後、誰にも負けない漫才師4組になりたい」
ミルクボーイに続き、M-1優勝を目標に掲げてきた3組ですが、残念ながら、金属バットとツートライブは惜しくも決勝に進めないまま参加資格の「芸歴15年」をオーバー。周平魂は「これから10年間、液体状にした漫才を体に流し込み続けろという“枷”をつけていただいたので、漫才を追いかけ続けたい」と、ツアーを新たな目標のひとつに位置づけます。
一方、たかのりは「営業のバスの中で、たまたまこの4組が一緒になり、そこで話していたことが形になった」とツアー実現のきっかけを告白。「ありがたい気持ちでいっぱい」と笑顔で語りました。
「正直、未来のことなんで、どうなってるかわからないんですけど、おそらく8年目以降は惰性でやってる可能性が高い」と“らしい”コメントを繰り出したのは小林。
「そうならないように、漫才ステロイドを体内に打ち込んで、どんどん筋肉をつけていき、“漫才筋”が右肩に来たときに、心の臓が漫才に変わると思います」
友保は、件の“営業のバスの中”でずっと眠っていたため、「営業先に着いたら、もうこういう話になっていた。ありがたいもんで、そのまま丸乗りさせてもらいました」と笑わせました。
小林「青森は笑えんぐらい〇〇の可能性がある」
4組のなかで、唯一、今年もM-1に出場できるデルマパンゲは、「漫才を鍛える場に」と気合十分。広木は「ミルクボーイさんに続いて『M-1グランプリ』チャンピオンになり、ツアーに勢いがつけば」と頼もしいひとこと。迫田は「健康で、警察のお世話になったりせんように」と注意喚起も忘れません。
今年、訪れることが決まった4県のなかでも、2019年に『漫才ブーム』ツアーで訪れた沖縄で、再び公演を行えることが感慨深い様子の4組。『漫才ブーム』では、移動や食事などもすべて全員で行動するのが“掟”で、沖縄でも楽しいひとときを過ごしたとか。
周平魂は「いままでの芸人人生で、あの日がいちばん楽しかったかもしれない」としみじみ。友保にいたっては「帰りに寂しくなって、泣きそうなんで(関西空港から)1人で電車で帰っちゃったんですよ」と明かすほどいい思い出になったようです。
香川はうどん、三重は伊勢神宮や赤福、青森ではねぶたも見たい……と名物トークが弾むなか、小林は「青森は、笑えんぐらいお客さんが入らない可能性がある。集客できないと破綻してしまうので、そこはなんとか頑張りたい」と一人、シビアな発言。
迫田が「泊まるときも、ひとつの部屋にみんなで布団を敷いて寝たい」と提案し、一同が大盛り上がりするひと幕も! ところが「僕は絶対にホテルで個人の部屋がいいなと思ってるので、それだけは……」と広木がNGを出し、これにたかのりも同調するなど、ツアー開始前からモメごとも勃発していました。
「10年の間に何が起こるかわからない。たとえば解散するコンビが出る可能性もゼロではないのでは……」と質問されると、「そんなんをまったく考えないメンバーだからこそ、これを提案できたし、決定までいけた。みんなで頑張っていこうという決意のツアー」と胸を張った内海。一同が大きくうなずくなか、ここでも一人、「ゼロではないですよね」と答えたたかのりに大ブーイング! 髪型から着物までイジられまくりとなり、爆笑のうちに会見は終了しました。