コンビ結成30周年を迎えるタカアンドトシ(タカ、トシ)の記念興業『道産子お笑いフェス』が3月24日(日)に奈良県に上陸します! 北海道出身の芸人たちが、事務所の垣根を越えて集結するこのスペシャルライブは、昨年8月に札幌、今年1月には福岡で開催されました。会場の生駒市・たけまるホールではタカトシに加え、ペナルティ(ヒデ、ワッキー)、とにかく明るい安村、EXIT(兼近大樹、りんたろー。)、錦鯉(長谷川雅紀、渡辺隆)、トム・ブラウン(布川ひろき、みちお)らがネタにコーナーに大暴れします。
今回は、タカトシの2人を直撃。ライブの見どころはもちろん、30年の歩みを振り返りつつ、次なる10年の展望までたっぷりと語ってもらいました!
忘れられない2004年のM-1準決勝
──結成30周年、おめでとうございます。ますは、いまの心境から聞かせてください。
タカ いやもう、気づけばという感じで。
トシ 本当にそうですね。あっという間というか。
タカ 皆さんそうだと思いますけど、やっぱ振り返ると早いですね。ついこないだ高校卒業したと思ったら……。
トシ だいぶ抜けたね(笑)。
──それぐらい早かったですか。
タカ 札幌で7年やって、東京に出てきてから22年。なんか札幌の7年のほうが長い感じがしてて。それを考えると、小学校1年生から6年生の6年間がいちばん長かったなっていう。
トシ なんの話だよ!
タカ どんどん加速度的に早く感じるというか、むかしは東京—大阪間の2時間ちょっとが退屈で耐えられなかったのに、いまはちょっと景色見てたら着いた、みたいな。あっという間に時間が過ぎていく、そのスピードに驚いてますね。
トシ 30周年の話じゃないよね、それ。
タカ それぐらいの感覚で、早かったです。
トシ 若いときに、大御所の方の「30周年」というポスターなんかを見て、「すげえな、30年やるんだ」って思ってましたけど、まさか自分らがそうなるとは。
──30年を振り返ってみて、いちばんの思い出といえば何が浮かびますか?
タカ いろいろあったなあ。デビューしたてのころに、成人式で漫才やるみたいなので呼ばれたんですけど、会館のエントランスの玄関マットのところに、うんこが落ちてたんですよ。
トシ イヤな思い出だな、おい。
タカ この人たち、入口にうんこ置いてるところで成人式を迎えるのか、と思ったのがめちゃくちゃ衝撃的で、いまそれがぱっと出てきました(笑)。
トシ どんな30年だよ(笑)。2004年の『M-1グランプリ』で決勝に行かせてもらったんです。それまではずっと準決勝でダメで、ラストイヤーに行けたんですけど、そん時の準決勝の舞台はよく覚えてますね。お客さんがすごいウェルカムだった。「今年は行けよ!」みたいな。あの感じは後にも先にもなかったなと思います。
ワッキーに「偽・道産子芸人」疑惑!?
──『道産子お笑いフェス』3カ所目の会場として奈良を選んだ理由は?
タカ 札幌よしもとの初代所長が、いま奈良でたけまるホールのエグゼクティブプロデューサーをやってるんです。錦鯉の長谷川(雅紀)も所長にお世話になってて、またあのメンバーでやりたいな、みんなで会いたいなっていうことで、じゃあ奈良でやりましょうと。長谷川も、所長に会うのが20何年ぶりで。
トシ 楽しみにしてるよね。
──奈良のイメージを聞かせてください。
トシ 大仏ですよね。そのイメージしかないです(笑)。
タカ 修学旅行で行きましたけどね。北海道は、だいたい修学旅行で京都・奈良に行くんですよ。あと何か、名物のご飯があんまりないっていうのは聞きました。『道産子お笑いフェス』は、北海道でも福岡でも打ち上げをやったんですけど、「奈良どうしますか?」「食べるものないんです」って言われて。
トシ 食べるものないことはないだろう(笑)。
タカ だから、今回は日帰りにしました。
トシ もうちょっとゆっくりしたかったけどね。
──今回も、豪華なゲストが勢揃いします。
タカ 今をときめくとにかく明るい安村、錦鯉・長谷川、EXIT・兼近……もう最高にいいメンバーが揃った。A代表ですね。
トシ トム・ブラウンも、2人とも生粋の北海道ですから。ただ、ペナルティさんが若干……。
タカ ちょっとドーピング疑惑が出てて。
トシ ワッキーさんが「俺は北海道出身だ」とおっしゃるんですけどね。釧路にいたって言うんですけど、調べてみると1年か2年ぐらいしかいなかったんですよ。これはどうなんだ、本当に道産子芸人なのかっていう疑惑がいま……。
タカ 北海道出身って言っといたら、そっち系の仕事が来るから、プロフィールにそう書いてるってゲロってました(笑)。
トシ やっぱり千葉の雰囲気が強いんでね。
タカ 絶対、千葉の人間でしょ。
トシ でも本人が強く言うんで、今回は来ていただきます。
──どんな構成のライブですか?
タカ ネタもやりますし、コーナーもあります。
トシ お客さん参加型の企画もやったりしますし。
タカ ネタはだいたい1組10分ぐらいで、“初恋タロー劇団”のお芝居には兼近が参加します。初恋タローは福岡出身で道産子芸人じゃないんですけど、兼近をかわいがっていて、もう兼近のパワーだけで(出演)メンバーに入って。
トシ イヤな先輩だね、あいつ(笑)。もちろん、僕らもトリで10分間ネタをやりますよ。
大阪への“トラウマ”を克服
──若手時代、道産子芸人ゆえの苦労はありましたか。
タカ たとえば吉本興業でやる大きいイベントみたいなのに地方から呼ばれるとき、だいたい1組しか呼ばれないんですよ。で、行ってみたら東京組がいっぱいいて、大阪は大阪で集まってて、地方組は話す人もいない。よく(博多)華丸・大吉さんとかと、ずっと廊下に立たされてました。
トシ 立たされてたわけじゃないけどね(笑)。
タカ 楽屋も、大阪芸人3組とタカアンドトシとか、大阪芸人3組と華大とかで、居場所がなくてね。
トシ 居づらいから、4人で廊下で着替えたりして。
タカ そうそう。だから仲間があんまりないっていう苦労はありました。緊張して誰ともしゃべれないし、舞台に出てっても声小さいし。
トシ 肩身が狭い。
タカ で、逃げるようにネタを早く終えて、さっき話に出た(札幌よしもとの)初代所長に怒られたり。
トシ ブチギレられて。
タカ 「何のために飛行機代払ってると思ってんだ!」って。
トシ その所長に、今回、会いに行くっていうね(笑)。
タカ 今日もそうなんですけど、NGK(なんばグランド花月)の出番を入れていただいて、大阪に月1ぐらいで来てるんですよ。でも、1人で街を歩いたり、買い物できるようになってきたのは最近のこと。それまでは大阪が怖すぎて、楽屋やホテルから1歩も出ないとか、そんな感じでしたから。むかしは標準語で漫才やるだけで誰も聞いてくれない、みたいなのもあったし。
トシ デビューして2カ月でNGKの昼出番をいただいたんですけど、(ネタ時間の)10分間に1個の笑いもなく、弁当のフタを開ける音しかしなかった。それが1週間続くっていうのを、18歳のときに経験したんで。
タカ だから大阪に苦手意識があって、今回、奈良なのかなという(笑)。
トシ 東京でちょっと有名になるまでは、そのトラウマで大阪が大嫌いでした(笑)。
タカ いまは、けっこう大阪以外の漫才師とかも出てるし、お客さんも寛大になってみんな笑ってくれる。
トシ 芸歴が中間より上になって、後輩がだいぶ増えたのもありますよね、きっと。師匠方もすごくやさしくしてくださって……今日も(西川)のりお師匠にお昼をご馳走になりましたし、(ぼんち)おさむ師匠にもご自宅に招待していただいて、奥さまのお好み焼きをいただきました。むかしは挨拶するだけで精一杯だったんですけど、いまはすごく皆さんによくしていただいてます。
──では、道産子芸人ならではのものって何かありますか?
タカ いやあ、ふつうの芸人さんと変わらないと思うんですけどね(笑)。でもなんか、やっぱ絆は深いのかな。海を渡って出てきてるわけだから。
トシ 道産子芸人が、これだけ増えてきたというのも嬉しいですし。
タカ 移動中のバスの中でも、自然となまりが出るんですよ。
トシ 「いや〜、わやだぁ」(大変なことになった、の意)っつってね。「いや〜、ゆるくない」(しんどい、の意)とか。
タカ 気心知れた仲間としゃべると、やっぱなまりが出ちゃうというか。
トシ いや、あれはみんなわざとやってましたけどね(笑)。
みんなに「おめでとう」と言われたい
──40周年に向けて次の10年間で挑戦したいことは?
タカ けっこうしんどい仕事が多いんで、もう楽し〜くいきたいですけどね。ゆる〜く、無理せずに、イヤな仕事は断って。
トシ それ、目標か?(笑)
タカ 生き方としてね。でもまあ、働けるうちに働いといたほうがいいか。「ゆる〜く」は70周年ぐらいの目標にしておいて、元気なうちは、劇場で漫才にもっともっと磨きをかけていきたいです。
トシ これからの10年で、NGKの看板になってたいですよね。
タカ 40年でいけるかわからないですけど、そこに向かって磨いていきたい。年を重ねた感じがうまいことネタに生きて、俺たちじゃなきゃ作れない笑いを作れたら。NGKには大師匠がいっぱい出てて勉強になるんで、それをヒントにしながらやっていきたいですね。
──ちなみに、30周年を迎えるにあたって、お祝いやご自身へのご褒美みたいなものも考えていますか?
タカ みんなから「おめでとうございます」と言われたいなっていうのがあって。結婚式じゃないけど“タカトシ結婚式”みたいなのは挙げたい。「おめでとう」の気持ちはご祝儀でいただいて、後輩芸人とかがおもしろいことやって、俺たちは何もせずお酒飲んで大笑いして。
トシ 王様じゃねえか!
タカ そういうのをやりたいなっていうのはありますけどね。
トシ まあでも、30年続けられたことが自分たちにとってはご褒美ですから。なかなかひとつの仕事を30年っていうのはないですよ。ありがとうございます。
──では最後に、読者へメッセージをお願いします!
タカ 『道産子お笑いフェス』は、北海道の笑いが奈良で見られます!
トシ ひょっとしたら会場で、北海道ならではのお土産みたいなものも買えるかもしれません。
タカ あと、ネゴシックスが作ってくれたグッズもあります。人気者の錦鯉、EXIT、安村とかが集まることも珍しいですよ。長谷川にいたっては「『道産子お笑いフェス』って、あと何回ぐらいあるの?」って、もう抜けたそうなこと言ってたんで……。
トシ 後ろ向きだな(笑)。
タカ 奈良が最初で最後になるかもしれないので、見逃すな! と。
トシ みんな気合い入ってます。
タカ 我々も修学旅行感覚で行くんでね。
トシ ダメじゃねえか!
タカ それを見ていただきたい。
トシ やるほうもテンション上がってますので、ぜひ楽しみにしていただきたいと思います。
公演概要
「タカアンドトシ結成30周年興行 道産子お笑いフェス奈良」
日程:3月24日(日) 13:15開場 14:00開演
会場:たけまるホール 大ホール(奈良県)
出演者:タカアンドトシ、ペナルティ、とにかく明るい安村、EXIT、初恋タロー、日下怜奈、錦鯉(SMA)、トム・ブラウン(ケイダッシュステージ)
チケット:前売4500円
FANYチケットはこちらから。