芸人で漫画家、カラテカ矢部太郎が挑む初の大規模展覧会『ふたり 矢部太郎展』4月24日~7月7日開催決定!

4月24日(水)~ 7月7日(日)の期間、PLAY! MUSEUM(東京・立川)にて『ふたり 矢部太郎展』が開催されます。
初公開の展示情報から制作秘話、矢部作品が確かな評価を得る理由まで、完成間近の現場から最新リポートをお届けします。

また、会えましたね。

出典: FANY マガジン
「ふたり 矢部太郎展」 ビジュアル ⒸTaro Yabe

初公開① ふたりが暮らしたあの家に、「おかえりなさい」
80歳を超す大家さんと矢部太郎の出会いから別れまでを描いた名作フィクション『大家さんと僕』(新潮社、2017年)。会場には、大家さんが来場者の「帰宅」をお出迎えするインスタレーションが登場します。来場者みずから作中の名場面の一部となって楽しむことができる、PLAY! MUSEUMならではのユニークな鑑賞体験です。

出典: FANY マガジン
『大家さんと僕』(新潮社)2017年「ライトとおやき」より

また、展覧会のためにアクリル絵の具で制作した約100点の描き下ろし作品のほか、大家さんが語る疎開の思い出や、ふたりならではの窓越しのコミュニケーションを描いた「ライトとおやき」の紙芝居を上映。そして多くのひとびとの涙を誘った最終話『大家さんと僕 これから』の空飛ぶふたりも映像化されます。ふたりが交わす最後のことば、別れの中にも光る大家さんのユーモアは、本展のハイライトのひとつです。

初公開② 「たろう」が「矢部太郎」になった日
絵本・紙芝居作家 やべみつのりを父に持つ矢部太郎はかつて、父の家族絵日記「たろうノート」の主人公「たろう(=ぼく)」でもありました。いつも家にいて、おやつは野山で調達、そしてたろうの友達と、まるで自分も子どものように全力で遊ぶ父。普通とはなんだか違って、ちょっと恥ずかしくて、でも、やっぱり好き。父との時間はいつも創作に満ちて、やがて幼いたろうは父のすすめで「たろう新聞」をはじめとする作品づくりに、その手を動かし始めたのでした。
その半生をたどるように「たろうノート」「たろう新聞」の現物を初公開するほか、父子を現在の矢部が見つめ直し描いた『ぼくのお父さん』(新潮社、2021年)を紹介。当時親子で住んでいた、東村山市での暮らしぶりを体感する映像インスタレーションも展示します。子育ての迷いや老いに対する動揺、家族の在り方など、現代に生きる心を解きほぐす手がかりを、矢部家のひとびとが教えてくれます。

出典: FANY マガジン
たろうノート

初公開③ 矢部作品の新境地
『大家さんと僕』、『ぼくのお父さん』に続いて矢部が描いたのは、出番を待つ動物園のトナカイが主人公の『楽屋のトナくん』(講談社、2022年)、認知症患者と家族の日常を描く『マンガ ぼけ日和』(原案:長谷川嘉哉/かんき出版、2023年)、3月27日に発売されたばかりの最新作『プレゼントでできている』(新潮社、2024年)。その観察眼は切れ味を増しながらも、穏やかな筆致から世界の真理に迫りゆく矢部の思索の旅は、作品の垣根を越え、脈々と続いています。
本展のために展示される実際の「プレゼント」には、実は作品本編には登場しない「番外編」。どんなエピソードが紐解かれるかは、会場でのお楽しみです。

出典: FANY マガジン
『楽屋のトナくん(1)』(講談社)2022年「はじめまして」より

出典: FANY マガジン
『マンガ ぼけ日和』(かんき出版)2023年「お金盗ったでしょう?」より

出典: FANY マガジン
『プレゼントでできている』(新潮社)2024年「捨てる」より

初公開④ 子どもたちと「宇宙の旅」へ
PLAY! といえば、美術館と遊び場からなる、大人も子どももとびきり楽しい場所。
今回はやべみつのり監修のもと、遊び場・PLAY! PARK(3階)で、子どもたちが作る「宇宙船」がなんとそのままPLAY! MUSEUM(2階)に展示されます。自分たちが作ったものが展覧会の仲間入り、なんて珍しいチャンス! 新しい試みに期待が高まります。
ただし、制作日は「4月21日」……なんと、開幕3日前なのです。
「ふたり 矢部太郎展」の会場に着陸する宇宙船の完成、乞うご期待!

併設のSHOP、CAFEにも続く矢部太郎ワールド!
「おでかけ」に使う風呂敷、「おしゃべり」はカステラとほうじ茶をいただきながら、「おくりもの」にはおはぎのバースデーカードを。PLAY! SHOPでは矢部太郎の漫画の空気感をそのままに、生活のシーンに合わせたグッズを多数用意しました。ふたりで使っても、ひとりで使っても、やさしい気持ちになれるアイテムたちです。本展描き下ろしの絵をあしらったグッズもお楽しみに。

またPLAY! CAFEでは、昔懐かしい、レトロな喫茶店をイメージした限定メニューが並びます。硬めの薄焼き玉子で包むノスタルジックなオムライスや、優しい大家さんをイメージしてマイルドに仕上げたカレープレートといった喫茶店らしいメニューはもちろん、『大家さんと僕』の印象的なシーンを再現したデザートも登場!矢部太郎展ならではの要素も見逃せません。

出典: FANY マガジン
グッズ :左から「ふたり 矢部太郎展」オリジナルグッズ/「湯呑み」2,000円/「おはぎポーチ」1,800円/「アクリルキーホルダー」各1,200円 (全て税込予価)
カフェメニュー:左からPLAY! CAFE「大家さんのカレー」1,680円/PLAY! CAFE「はぴばすでい和菓子プレート」1,350円 (全て税込)

さらにPLAY! MUSEUMの上階、子どもの遊び場のPLAY! PARKでも続く矢部太郎ワールド。矢部の描く物語を追体験するように、漫画のワンシーンや台詞から着想を得たワークショップを開催します。思わずクスッとしてしまうユーモアを交えながら、創作のよろこびをめいっぱい感じてみましょう。

PLAY! MUSEUMが想う――なぜ今、矢部太郎なのか。
かつて野球の本場・アメリカに渡った一人の日本人が安打の世界記録を打ち立て、メジャーリーグ史上最高のヒットメーカーとして旋風を巻き起こしたあの頃。これからの未来はずっと輝いて、何か大きな物語が広がっているように見えていました。

15年、20年が経った今、未曾有のウイルスによって世界は一変しました。コミュニケーションツールの過度な発達やAIの台頭とともに、生身の人間同士の語らいは損なわれ、そこにあるはずの人の本質も、画面の向こうへと隔たれてしまった。抱いていた期待や希望は充満する閉塞感で掻き消えて、いつの間にか物事は複雑化し、なんと生きづらい世の中になったことでしょうか。

誰もが「これでいいのだろうか」と、自分自身の小さな物語をじっと見つめ、思い悩んでいます。本当はあの時行きたかった場所があった。スーパーに並ぶ品々が、どれもちょっとずつ手が届かなくなった。あの時ああ言えたらよかった。会いたかったあの人も、今ではもう、会えなくなってしまった。……大人も子どもも、社会を変える力を持つ人も、何者でもない人も。小さなやるせなさを積み重ねて今日を生きています。

そんな暗闇の中、ささやかながらも力強い光をたたえて、私たちに毎日を生きるための手がかりを与えてくれる。矢部さんの漫画って、そんな存在なのではないでしょうか。難しい世の中で懸命に生きる人々を、うまくいかないことだって肯定してしまう、しなやかな優しさがそこにあります。

続いていく日々の中で、自分の命をどう使うのか。これからを生きていくための確かなメッセージを贈る、矢部さんとあなた「ふたり」の展覧会。PLAY! MUSEUMの「ふたり 矢部太郎展」は、そんな場でありたいと願っています。

PLAY! MUSEUMプロデューサー 草刈大介

【矢部太郎(やべ・たろう)プロフィール】
1977 年東京都東村山市生まれ。芸人・漫画家。吉本興業所属。
1997年に「カラテカ」を結成。お笑い芸人としてだけでなく、舞台やドラマ、映画で俳優としても活躍している。初めて描いた漫画作品『大家さんと僕』で第 22 回手塚治虫文化賞短編賞を受賞し、シリーズ累計では 120 万部を突破。その他の著作に、絵本作家である父との幼少期の思い出を綴る『ぼくのお父さん』、 人気者になりたい動物たちの楽屋での姿を描いた『楽屋のトナくん』、認知症患者とその家族の日常を描いた『マンガ ぼけ日和』がある。2021年から手塚治虫文化賞の社外選考委員を務める。

【矢部太郎の活動近況】
[漫画・挿絵]
●連載中の漫画
・週刊モーニング『楽屋のトナくん』(講談社)
・月刊PHP『僕の楽がき帖』(PHP研究所)
・WEBげんき『おとぎのたろろ』(講談社)
・JAF Mate『のりものメモリー』(JAFメディアワークス)

●単行本
新刊
・『プレゼントでできている』(新潮社)2024年3月27日発売

既刊
・『大家さんと僕』(新潮社)2017年 シリーズ累計発行部数120万部突破
・『マンガ ぼけ日和』(かんき出版)2023年 発行部数13万部突破。2023年日販・トーハン年間ベストセラー、ノンフィクションその他部門7位
・『ぼくのお父さん』(新潮社)2021年 発行部数15万部突破
・『楽屋のトナくん』1~3巻(講談社)2022年

●装画・挿絵
・認知症専門医・⻑谷川嘉哉著『ボケ日和』(かんき出版)2021年
・サン=テグジュペリ著『星の王子さま』(ポプラ社)2021年
・養老孟司著『養老先生と虫』(ヤマケイ文庫)2023年
*ほか装画、挿絵多数

[芸能など]
・2024年放送 第63作NHK大河ドラマ「光る君へ」まひろの従者・乙丸役
・テレビ山梨『スゴろく』内コーナー「太郎のやまなしアミーゴス」レギュラー
・手塚治虫文化賞社外選考委員

★展覧会関連イベント(予定)
会期中、矢部太郎さんが即興で絵を描くイベントも開催予定。詳細は後日PLAY! ウェブサイトで発表されます。

開催概要

「ふたり 矢部太郎展」
期間:2024年4月24日(水)~ 7月7日(日)
※会期中無休
開館時間:10:00-17:00
(土日祝は 18:00まで/最終入場は閉館の30分前まで)
会場:PLAY! MUSEUM
(東京都立川市緑町 3-1 GREEN SPRINGS W3棟 2F)
※当日券で入場できます。
※休日および混雑が予想される日は、事前決済の日付指定券(オンラインチケット)がおすすめです。
入場料(税込):一般1,800円/大学生1,200円/高校生1,000円/中・小学生600円/未就学児無料
割引制度(併用不可):
① [立川割] 一般1,200円/大学生700円/高校生600円/中・小学生400円
立川市在住・在学を確認できる免許証、学生証等をご提示ください
②[障害者割引] 障害者手帳をご提示の方とその介添人1名は半額
② [相互割引] 「一般」で入場の方は、PLAY! PARKを200円引きで利用できます
特典(おみやげのシール)つき
主催:PLAY! MUSEUM
制作協力:吉本興業
協力:新潮社、講談社、かんき出版

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