独特な画風と技術の高さで注目される南海キャンディーズの“しずちゃん”こと山崎静代のアート作品が、ついに大阪に初上陸しました。これまで関東で開催されて好評だった個展『しずちゃんの、創造と破壊展』がパワーアップして、4月3日(水)~9日(火)の期間、大阪・阪神梅田本店で開催されています。初日には報道陣向けの内覧会が行われ、作品に込めた思いや創作活動のウラ話を語りました。
最近は「キュビズム」の影響も
大阪初開催となる今回の個展では、大阪をモチーフにした作品を含む新作8点のほか、しずちゃんが芸人になる前の作品や、絵本の原画シリーズなど、強烈なインパクトを残す約50点が展示されています。
内覧会では、しずちゃん自ら展示作品を解説しました。
新作の『大阪うまいでっせ』は、今回の個展開催が決まってから描いたもの。大阪城と人間が合体し、さらに豚まん、串カツ、たこ焼きといった大阪ソウルフードや、阪神タイガースを彷彿とさせるトラ柄や“大阪のおばちゃん”の代名詞とも言えるヒョウ柄など、こてこての大阪らしさを詰め込んだそうです。
ここには、じつは“キュビズム”の影響があるそうで、「建物と人間が融合して一体化しているフォルムが好きで、それが描きたいと思って。初めてキュビズムを知って、それに影響されて描いた」と説明します。
また、『南海キャンディーズ20周年』と題された作品は、「単独ライブを控えているときに『南キャン20周年で描いてみよう』と思い立って、単独が終わってから慌てて描きました」とのこと。
スカーフを巻いたサイがしずちゃんで、サイの背中に乗ったムチを持つ赤メガネのリスが相方の山里亮太、そしてサンパチマイクを長い舌で引き寄せる3匹のカメレオンは歴代マネージャー。しずちゃんは「南キャンを引っ張ってくれるマネージャーがおるおかげで単独ライブができた」と感謝します。よく見るとリスの頬袋がパンパンに膨らんでいますが、「(山ちゃんは)自分ばっかり口の中にいっぱい入れているから」とのことです。
一方、油絵作品の『水牛こうもん』は、沖縄の由布島を一人旅した際、水牛が歩きながら自由に用を足している姿にインスピレーションを受けたといいます。しずちゃんは「自然のままに生きる水牛の姿に『自分もこうなりたい』と、憧れを込めてこの絵を描きました」と説明しました。
以前はネガティブ、いまはポジティブ
『みんなで地球』と題された作品は、昨年5月に東京で開かれた個展でも展示されましたが、その際、相方の山ちゃんから作品の感想をもらったものの、意見が噛み合わず……。
「私がコロナ禍の時期に描いた作品なんですけど、どうしても気持ちが落ちてしまう時期に、みんなでもっと密になれる明るい前向きな世界をイメージして描いたのに、山ちゃんから『心の闇が出てる』と言われました」
もっとも、実際にしずちゃんは最近、“絵を描く動機”に変化が出てきたそうで、水彩画とマジックで描いた『がれきの中の女の子』『うしろむき座る女の子』にいついて、「自分がコンプレックスの塊でもやもやしていた時期に描いた作品で、将来何をしたらいいかわからない、どうしようというモヤモヤを自然と描いていた」という一方、最近の作品である『南海キャンディーズ20周年』や、夫で俳優の佐藤達をモチーフにした作品『お鍋はおいしいね』は、素直に「描きたい」と思って描いたと話します。
「わりといまのほうがポジティブかもしれません。ネガティブだからこそ描けた絵もあるし、そのときの自分が自然と映し出されているので、自分が『このとき、こうだったんだ』と振り返る要素としても、これからも描き続けたいです」
今後の創作活動についてしずちゃんは「人間や動物を描いていきたい」と話す一方、立体造形にも興味があると語りました。
「『ジョジョの奇妙な冒険』が好きで、紙粘土で(主人公の東方)仗助のフィギュアを自分で作ろうとしたんですけど、やり方がわからずリーゼントがぜんぶ落ちてきて、最終的に顔もグシャッてなってしまって……。針金とか骨組みをせなあかんかったんですかね。木を彫る作業は小学生のときは好きやったんで、そんなんも楽しそうやなと思います」
今回の個展では、しずちゃんの原画作品約50点の展示・販売のほか、会場内にフォトスポットが設置され、作品をモチーフにしたグッズも販売しています。
個展概要
『しずちゃんの、創造と破壊 展』
日程:4月3日(水)~ 4月9日(火)10:00~20:00
※最終日は17:00まで
会場:阪神梅田本店 8階 ハローカルチャー2・3
内容:原画作品約50点の展示販売、複製版画・グッズ販売
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