血液のがんの一種、多発性骨髄腫で闘病中の宮川花子が、夫で相方の大助とともに4月23日(火)、5年ぶりとなる大阪・なんばグランド花月(NGK)の本公演に出演しました。NGKには、昨年5月の「ノスタルジック寄席vol.7」と7月の「桂文枝 傘寿記念落語会」にサプライズゲストとして登場しましたが、本公演での漫才は2019年5月20日以来。午前と午後の2ステージに登場した2人は、詰めかけた観客を大いに笑わせ、復活の舞台を見事に飾りました。
2人でやれば「座・漫才」!?
ステージの「めくり」に2人の名前が出ると会場からはどよめきが。大助が、花子の車イスを押しながら登場すると拍手が起こります。
そして、椎間板ヘルニアを患っている大助を横に、2人で座ったまま漫才がスタート。「これがほんまの“座(ザ)・漫才”」とさっそく笑わせます。
まずは闘病生活をネタにトークを展開。花子は、抗がん剤の投与とリハビリをしていることを明かしながら、「延命治療してるから私のほうが長生きする」と笑わせます。そこから、これまで48年の夫婦生活に起きたさまざまな出来事を振り返りますが、どんなにツラいこと、大変なことも、2人の話術にかかると次々と笑いに変わります。
持ち時間の10分間を終えると、花子は最後に「これからまた2人でがんばっていきたい」とアピール。観客は5年ぶりとなる“大花”の息ぴったりのトークを堪能し、大きな拍手を送りました。
花子「2ステージは未知の戦いだった」
公演のあと、囲み取材に応じた2人。会見場に入ると、花子が「ありがとうございました、なんとか生きて戻ってこられました」と報道陣を笑わせます。
今回は朝と昼の2公演ということで、医師と看護師から血圧を心配されていたそうですが、実際に「2回目のあとは78まで下がってた」と花子は言います。大助によると「以前は3分ほどでフラフラになってしまった」そうで、「今日も俺が頑張らないかんと思って」という大助に、花子が「ぜんぜん頑張れてなかった」とここでも絶妙な掛け合いでツッコんでいました。
5年ぶりの本公演の舞台について、「うれしかったですね、楽しかったです」という花子。「2回やるのは未知の戦いでした。昨日まで悩んでいましたが、いけると思いました」とのことですが、それでも万が一を考えてギリギリまで出演することを公表しなかったそうです。そして当日、X(旧Twitter)に花子がこの日の出演について投稿すると、「若手たちがそれを見て、来てくれました!」と笑顔を見せました。
「座談会、放談のような形で」
一方の大助は「なんばグランド花月は自分らの道場で本場所、そしてテレビで活躍してる人が出る場所」と言いながら、「今日の出番表を見ても錚々たる顔ぶれで、みんなテレビに出てはる人や。5年離れるとそうなる。この中に入っていけんの? っていうノリでした」と正直な胸の内を明かします。
出番まで落ち着かず、舞台袖から若手の舞台を見ていたそうですが、「僕は不安だらけ。でも、嫁はんは本番に強い。ビクともしてません」と花子の“度胸”を称えました。
花子としては、「最初は車イスで出るのに躊躇があった」とのこと。実際、車イスで登場する際に、暗転している間にステージに出ている案もあったそうですが、最終的に「車イスで出るとお願いしました」とこだわったのだとか。
大助は会場の反応に、「漫才は舞台から客席にエネルギーを送るもの。でも、いまは客席からエネルギーをもらっている。だから嫁はんは、舞台に出るたびに元気になる」と感謝しながら、「座談会、放談のような形で、新しい形でやっていけば、のんびりしゃべれるんじゃないかと思います」と、今後の手ごたえをつかんだようでした。
これまでの闘病生活について、大助の献身的な介護を改めて感謝する花子に、大助が「いま第二の恋愛中」と返すなど、相変わらずの仲の良さを見せつけてくれた2人。会見後の撮影でフラッシュを浴びると「また元気もらえるな!」と笑顔を見せ、「皆さんが来てくれたからまた元気でますわ」「これからもどんどんやりまーす!」と力強くアピールしていました。