“噺家15周年”の月亭方正が記念独演会で進化中! 「青春真っただ中で突っ走る方正を見てください」

タレント・山崎邦正から噺家に転身して15周年を迎えた月亭方正が、「噺家生活15周年記念 月亭方正独演会」を5月10日(金)に大阪・なんばグランド花月(NGK)で開催し、東京、名古屋を巡る三都ツアーの幕が上がりました。「大ネタをする」と事前に話していたように、人情噺の古典落語「井戸の茶碗」と「妾馬」をたっぷり披露。ゲストは師匠の月亭八方、開口一番は兄弟子の月亭八光という豪華共演で満席の観客を沸かせました。

出典: FANY マガジン
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1988年の芸人デビューから20年目の2008年に月亭八方に入門し、「本気の本気になったら何でもできる!」と一世一代の覚悟を決めて噺家へと転身した方正。月亭一門の1人として数々の高座に上がり、噺家としての腕を磨いてきましたが、この「噺家生活15周年記念独演会」は自らの現在地を物語る重要な会です。

兄弟子・八光と師匠・八方も一席披露!

開口一番を努めたのは、兄弟子の月亭八光。落語家としては方正の先輩にあたります。前座を務めるにあたって、方正から直々に依頼があったと明かし、「この後、方正さんはめちゃくちゃ大ネタをやりますから」と笑みを浮かべてプレッシャーをかけます。

方正が落語家を志した「セロ地点」からの思い出やエピソードを明かす八光。彼なくしては「月亭方正」は誕生しなかったことが窺えました。

出典: FANY マガジン
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ネタは、得意とする「初天神」。大阪天満宮での、年初の縁日を巡る親子の様子を面白おかしく描いた一席で、あめ屋や団子屋を相手に無謀なことばかりする父親と、負けず劣らず悪知恵を働かせる息子の姿を生き生きと語りました。

続いては方正の一席目「井戸の茶碗」です。マクラでは、「芸歴25年以上の噺家に開口一番を務めてもらうことはない。八光くんがいなかったら僕はいなかった」と改めて八光に感謝を伝えました。

そして、ギュッと目をつぶって「いま考えたら失礼なことをした……」と懺悔を始めます。以前、八方から「月亭可朝」の名跡を継いではどうかという話がもちかけられたそうですが、あまりの重責に「イヤです。八方をください」と言ってしまったと明かしました。

出典: FANY マガジン
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演じた「井戸の茶碗」は徳川家の家来や浪人、町民などが出てくる物語。方正は、登場人物それぞれの生活風景まで見えるような繊細な演じ分けでぐんぐんと噺の舞台に引き込み、約35分にわたって熱演しました。

引き続いて、盛り上がった高座を落ちるかせるように、飄々とした足取りで登場したのが、師匠の月亭八方。高座に上がり、ゆったりと会場を見渡すと「大統領になった気持ち」と笑顔を見せます。

ネタは道具屋と女性の幽霊のやり取りが笑いを誘う「応挙の幽霊」です。中盤、都都逸を歌う場面があり、八方は自慢ののどを披露。そのひとつには昨年12月に惜しまれつつ天国へと旅立った盟友・坂田利夫を偲んだものもあり、「あ~りが~とさ~ん!」と朗々と歌い上げる八方に、会場から温かい拍手が沸き起こりました。

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やっとプレッシャーから解放されるようになった

休憩をはさんで、方正の二席目「妾馬」。客席の照明が暗くなり、スポットライトだけが高座に座る方正を照らします。「妾馬」は、御屋敷奉公でお世継ぎを生んだ妹のお鶴を案じる母のことを殿中で切々と語る兄・八五郎の姿が涙を誘う古典落語の大ネタです。

前半はおしゃべり好きな八五郎を屈託なく、後半では徐々に酒に酔っていくさまを滑稽に演じる方正。次々と大きな笑い声が上がりますが、そんな八五郎が殿様にある願いを託す場面では一転、NGKが水を打ったような静けさに包まれました。

ピンと張った緊張の糸。この会の冒頭で「報告があります。……ハゲてきました」と挨拶し、おどけた方正とは別人のようで、噺家としても豊かな表情を見せました。

出典: FANY マガジン
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独演会終了後に感想を聞くと「疲れたぁ~、マジで疲れたぁ~」と話しつつも、大きな心境の変化が訪れたことを明かします。

「こういう大舞台に立つのは、プレッシャーと、どう評価されるのかなと考えてずっとイヤやったけど、やっとそういう考えがなくなってきたかな。今日は落語をしながら、自分の思うような落語をお届けしたいという感じでした」

そんな大阪での内容を踏まえて、これから続く東京、名古屋公演の構成もさらに練っていきたいと続け、「噺家になって15歳、青春真っただ中で突っ走る方正を観に来てください!」と意気込みました。

公演概要

「噺家生活15周年記念 月亭方正独演会 東京公演」
日時:5月31日(金)  18:30開場/19:00開演
会場:渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール
出演:月亭方正
ゲスト:林家たい平
チケット:3,500円(前売) 4,000円(当日)

FANYチケットはこちらから。

「噺家生活15周年記念 月亭方正独演会 名古屋公演」
日時:6月3日(月)  17:45開場/18:30開演
会場:Niterra日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
出演:月亭方正
ゲスト:笑福亭鶴瓶
チケット:1階席5,500円 2階席5,000円(前売・当日)

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