“英語落語”の桂かい枝が芸歴30周年でNGK初独演会! 鶴瓶に勧められた『芝浜』を「いろんな思いを込めて」

今年で芸歴30周年を迎えた上方落語家の桂かい枝が、自身初となる大阪・なんばグランド花月(NGK)での独演会『桂かい枝 芸歴30周年記念独演会』を11月27日(水)に開催します。6月13日(木)には、そのNGKで取材会が開かれ、英語落語の第一人者として海外でも多数の公演を行ってきたかい枝が、憧れの舞台に込める意気込みを存分に語りました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

学生時代、NGKの舞台に憧れ

桂かい枝は1994年6月に五代目桂文枝に入門。「華の平成6年組」と呼ばれる同期には桂吉弥、桂春蝶らが名を連ね、入門当時から切磋琢磨しながら芸を磨いてきました。

その努力も実り、2003年度咲くやこの花賞、文化庁芸術祭新人賞、2004年度NHK新人演芸大賞など多くの賞を受賞。

さらに、いまや代名詞ともなっている「英語落語」を1997年から手掛け、2014年には世界最大の芸術祭である「エジンバラ・フェスティバル・フリンジ」で地元紙から最高評価の五つ星を獲得。これまで世界28カ国で300回を超える公演を開催し、いまでは小中学校や高校の英語の教科書にも顔写真付きで取り上げられています。

数多くの国際的な舞台を踏んできたかい枝が長年、憧れていたのが、NGKでの独演会でした。NGKにまつわる思い出を、こう振り返ります。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

「学生時代、NGKにお笑いを観に行っていました。当時はMr.ボールド師匠とかWコミック師匠とか、体を張った芸をされる方が出ているなかで、(上方落語の)桂文珍師匠が客席をひっくり返すくらい、笑わせていました。おそらく当時の文珍師匠は40代ではなかったかと思いますが、すごいな、かっこいいなと憧れていました」

2023年からは毎月1回、NGKの本公演で出番をもらえるようになりましたが、「いつか自分の会ができたら」という思いはますます募るばかり。そんなタイミングで「30周年で独演会をやってみては」と声がかかり、夢が実現する運びとなったとのこと。

「約800人のお客さまを集めるのは恐怖でしかないですが、30年間やってきたことをなんとか表現して、たくさんのお客さまに集まってもらいたい」

「枝は自由に伸ばせ」と言ってくれた師匠

独演会には、豪華ゲストも迎えます。人形遣いの吉田一輔、吉田玉翔ら人形浄瑠璃文楽座の10人が「二人三番叟」で華を添え、いまや飛ぶ鳥を落とす勢いの女性落語家・桂二葉、大ベテランの笑福亭鶴瓶も登場。かい枝は二葉と鶴瓶の顔写真で装飾したうちわを持参して、「今回は、こんなおふたりに思いっきり頼ります!」と紹介しました。

かい枝自身は、落語二席を口演します。「一席はNGKということを加味して、笑いの多い新作をしようと思って、いまこしらえようとしているところです。ふだんの昼興行でやっているネタのイメージです」。

もう一席は、鶴瓶から勧められたという人情噺の大ネタ「芝浜」を予定。「私自身、夫婦生活も20数年たちまして、いろんなことがありました。『芝浜』もいろんな思いを込めながらできたら」と話しました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

大学在学中に入門し、一から落語を始めたかい枝。それだけに師匠の五代目文枝からは「お前は人の3倍努力せえ」と言われてきたとのこと。

「なので、若いころは一生懸命、稽古も重ねました。でも、師匠がもうひとつ言ってくれたのは、『噺家は落語というもので根を張っていれば、枝は自由に伸ばせ』と。師匠は弟子に、いっさい『これをやるな』とおっしゃらなかったので、うちの一門は弟子の個性が豊かで、そんな師匠の下に入ったから、いまも芸人としてやれているのかなと思います」

「花の平成6年組」と呼ばれる同期は、よきライバルでもありました。かい枝は若手時代を振り返り、同期への思いをこう語ります。

「同じ年に入門して、同じように修行して、若いころから一緒に落語会をやって、イスを並べたり、舞台を作ったりしてきたので、いちばん気になる存在ではあります。それぞれすごく活躍していますが、吉弥さんがパッと売れ出したころは、吉弥さんの新聞記事を壁に貼って、『悔しいな、負けへんぞ』と意識しながらやっていた時期もありました。それくらい同期は刺激をもらう、すごく大きな存在だと思います」

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

「日本文化に憧れている人が圧倒的に増えた」

英語落語で世界中を飛び回っているかい枝。長年、海外の人たちと接するなかで、日本の伝統文化の受け止められ方に徐々に変化が出ていることを感じているといいます。

「日本のアニメや漫画の影響かわかりませんけれども、いまは日本文化に憧れている人が30年前より圧倒的に増えた気がします。着物にも興味を持つ人がすごく増えているので、日本の文化が受け入れられている雰囲気はますます高まっているのではないでしょうか。伝統というものに対して憧れも強くて、アメリカの方に『アメリカの国よりも落語のほうがもっと歴史が長い』とお伝えすると、すごく驚かれるし、より興味を持ってくださいます」

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

NGKがお笑いに特化した公演で連日満席の客入りを誇っていることも、世界的にも珍しい現象だと話すかい枝。初のNGK独演会に向けて、改めて気合を入れました。

「それだけすごい劇場に出させてもらっているのは本当にありがたいこと。ますます頑張りたいです」

公演概要

『桂かい枝 芸歴30周年記念独演会』
日程:11月27日(水) 18:15開場 19:00開演
会場:なんばグランド花月
チケット:1階指定席・前売4000円 2階指定席・前売3500円

FANYチケットはこちらから。