どうも! 芸人ライターのヘッドライト・町田星児です。
青空(須藤理恵・岡友美)さんの25周年記念単独ライヴ『人生Blues~ベーブ・ルースとちゃいまっせ~』が、11月5日(金)に神戸の喜楽館で行われました。落語の劇場での漫才師の単独ライブなので、どんな雰囲気になるのだろうとワクワクしてお邪魔させていただきました。そして終演後には、青空さんの25年中20年ぐらいを同じ劇場で過ごしてきた僕が、おふたりにいろいろ聞きたいことを聞いてきました!
三味線の出囃子で漫才師が登場!
漫才からイベントがスタート。落語の劇場なので出囃子は三味線の曲。先日、優勝したばかりのプロ野球オリックス・バファローズのお膝元の神戸が会場ですから、そりゃ野球好きな須藤さんの衣装はオリックスのユニフォームになりますよね。
……て、当たり前のように書いたけど、いやいやよく考えたら、普通の漫才師の格好じゃないですから!
1本目の漫才は、クリスマスやマッチングアプリを題材とした内容。落語の劇場なのに、青空さんの空間と化していました。
衣装を変えてもユニフォーム!
1本目の漫才が終わり、続いても漫才。おふたりとも衣装を変えて登場です。何度も言うけど、会場は神戸。となると、須藤さんの衣装は阪神のユニフォームになりますよね。
……いやだから、絶対に普通じゃない!
ネタの内容は、学生時代は人気者だった、という話。人気球団の阪神のユニフォームと内容がぴったりでした。
トークコーナーも気がつけば…
トークコーナーは、デビュー当時を振り返るところから始まりました。女芸人が今ほど多くなかった時代、男ばかりの中で苦労はたくさんあったのですね。こんな仕事をしてきた、という話のなかで、オリックス・バファローズのファン感謝デーの仕事の話に。そして、それをきっかけに野球の話に――。
……もうここからお笑いの話に戻ってくることはありませんでした。
岡さんの中学生の息子さんが野球をやっている影響で、最近は岡さんも野球好きに。オリックスが日本シリーズに進出した場合の話で、「11月27日、28日のほっともっとフィールド神戸は寒いやろ! なんのイベントに負けて京セラドーム使われへんねん!」と2人で大盛り上がり。
……え、いま僕が見ているのは、お笑いの漫才のライブで間違いないですよね?
ようやく「普通」の衣装に!
3本目の漫才で、なんと須藤さんはジャケット姿で登場!
……思わず、「なんと」と書いてしまったけど、これが普通の漫才師なんですよね。須藤さんのジャケット姿を見るのは久しぶりな感じがするのですけど、気のせいでしょうか……。
ネタの内容は、キラキラネームや子どもの“あやし方”などの内容。実際におふたりが子どもをあやしている姿を見てみたいもんです。
終演後に長時間インタビュー!
終演後、青空さんにインタビューをさせていただきました。おふたりの25年中20年ぐらいを同じ劇場でともにしてきた僕でしか聞けないこともあったと思います。長くなりますが、最後まで読んでいただければ嬉しいです。
――おつかれさまでした。喜楽館で単独ライブをやろうと思ったのは、どうしてですか?
須藤 ここの劇場には普段も出していただいていてお世話になっているし、しっかり漫才ができるいい劇場やから、ここでやってみたいなと思って。
――トークコーナーで昔の話になったあとの漫才で、須藤さんがジャケット姿で出てこられたので、心斎橋筋2丁目劇場(かつて大阪・心斎橋にあった吉本の劇場)で初めて青空さんを見たときの姿と重なりました。
須藤 昔は、衣装ももっとちゃんとしててんけどな。カラダも硬くなってきて、トイレで着替えられへんようになってきてん(笑)。
――女性芸人は、どこででも着替えられるワンピースが多いですよね。
岡 着替えやすいからな。
須藤 体型も隠してんねやろ。
岡 それもある(笑)。ジャケットとスカートというスタイルのときもあったけど、昔のジャケットが袖を通らんようになってきた(笑)。
須藤 悲しいな!
岡 昔、オール巨人師匠に買ってもらったのになあ。
――そうなんですね。
須藤 NGK(大阪・なんばグランド花月)に出てるときにいつも同じ衣装やったから、「それしか持ってへんのか! 高島屋に買いに行こ」て。
岡 2着も買っていただいた。
須藤 ありがたい。
いまの若手に思うことありますか?
――いまの若手の芸人に対して思うことはありますか。
須藤 誰と誰がコンビかわかれへんときがあるな。こことここがコンビやったんや!て驚くことがある。
――僕もあります(笑)。女性の後輩芸人と喋ったりするんですか?
岡 喋るで。喋るけど、気を使ってなかなか女性楽屋に入ってきてくれへんねやんか。
須藤 Dr.ハインリッヒや紅しょうがは女性楽屋におるよな。
岡 うん。
須藤 (エルフの)荒川とかも喋るけどな。
――ほな、ほぼ全員喋りますね。
須藤 いや、もっとおるやろ。
岡 うちらが吉本入って何年かしてから生まれた、とかいう子もいるし。
須藤 (吉本の)社員さんでもそうやで。「その時に生まれました」とか言われるからな。悲しなるから言わんといてくれ、て思うけどな。
岡 うちら25周年で、いまのマネージャーが「僕25歳です」て(笑)
――昔の若手と今の若手で、違うところとかありますか。
須藤 人数が多いから大変やと思う。
岡 大変やなあ。
――昔はもっと先輩が厳しかったですよね。
須藤 いまの時代さ、芸人の世界じゃなくても、昔の先輩の感じで注意したりしたらさ……。
岡 「なんや、あいつ厳しいな」とか。
須藤 「売れてもないのに」とかも言われそうやん。だから黙ってる。接し方がわからへん部分もあるよな。
――僕もありますよ。
須藤 自分が喋る子と、まったく喋らない子がはっきりしてるかな。
――喋ったことのない後輩、僕もいます。
須藤 声をかけてきてくれるのは、たいがい野球絡みの名前が付いた芸人とか。この前も、三遊間ていうコンビが挨拶に来てくれて。
――今日のライブも、どんだけ野球の話すんねん!て思いましたけど。
須藤 野球の話しかしたくない(笑)
「夢」って変わらないですか?
――ところで、若手のときから「夢」って変わらないですか?
岡 若手のときは東京のテレビにガンガン出たいとか思ってたけど、いまは大阪で漫才をやっていきたい気持ちになってる。
須藤 たぶん東京は私には合わんわ。せっかく吉本におんねんからさ、NGKに立たせてもらいたいな。
――昔、昼出番をいただいていましたよね。
須藤 うん。また出られるようにね。
岡 また出られるように、て感じやね。
須藤 「うちらまだ辞めてないで」て告知していかな。辞めたと勝手に思われてるから。
岡 「まだおったんや」て言われるからな。
――『痛快!明石家電視台』(MBS)の収録のときも、そんなふうにイジられていましたね。
須藤 そうやねん。誰も「辞めた」て言うてないやん!
――僕らもそうですけど、いま、若手中心のよしもと漫才劇場の舞台に出てることについて、どう思われているのですか?
須藤 出番をいただけるからありがたいよ。
岡 出番は嬉しいよな。
須藤 でも、東京に行った先輩らに「漫才劇場で2カ月に1回バトルに出てる」て言ったら、「お前らまだネタで戦ってんの?」て言われるねやんか。
――チュートリアルの徳井(義実)さんでしょ。
須藤 「25年戦うことってあんの?」て。
――徳井さん、ラジオで話していましたよ。「この前、須藤とメシ行ってんけど、青空とヘッドライト、まだ戦ってるらしいぞ!」と福田(充徳)さんに話されていました。
須藤 そうなんや(笑)。戦う気力はもうないで。
岡 こんなオバハン2人が(大みそかの)カウントダウンライブとかにオマケみたいな感じで出てさ、「何してんねやろ、これ?」て思うときがあるわ。
――でも、この前の漫才劇場の夏のイベントでやったドッジボールで、須藤さんがすごく目立っていましたよ。めっちゃおもしろかったです。
須藤 バイトが一緒やった木本(20世紀・木本悠斗)が狙ってきたから、逆に当てたった。
――(コートの)内野に須藤さんだけが残って逃げ回っていたら、コウテイの九条(ジョー)が実況席から走って来て「見てられへん!」て止めたのは、めっちゃおもしろかったです。あのドッジボールのおもろさのピークはあそこです。
須藤 もう足がおぼつかへんかった。楽しかったけどな。
――キーホルダーも作ってもらえるんで、漫才劇場にいさせてもらいましょうよ。
須藤 そのためかい!
なんでそんな上からやねん!
――25年間、おふたり仲良くやっていますよね。
須藤 友達同士でこの世界に入って来たわけじゃないから、なんかがあってもお互いに羨ましいとか思わへんのやと思う。
岡 女子の気持ちを捨てて、て感じやな。
須藤 捨てたん? ないやろ、もともと。
――女子の気持ち?
岡 若い女コンビやったら、「相方だけ先輩にかわいがられて!」とか思う人もいるやんか。
須藤 私らは、かわいがってくれる先輩が別やからな。いい意味でも悪い意味でも、相方に興味がない。
――解散の危機もなく、いままできてますもんね。
須藤 もともと、結婚して辞めるとか、子どもができて辞めるということならコンビを組んでないねん。
岡 最初からな。
須藤 相方に子どもができたとき、相方に「私は辞める気ないけど、あんたが辞めるんやったらそれでもええで」みたいに言われてん。なんでそんな上からやねん!て思った。
岡 気を使ったんや! 芸能活動を休まないとあかんから。「あんたが決めてくれてええで」ていう権限を与えたんや。「ただ、結婚して子どもを産むことによってネタは増えるで」とも言った。
須藤 ぜんぶ上からやん!
――片方は結婚をして子どももいて、もう片方は独身で、コンビとしていい感じやと思います。僕としては、ぜひ須藤さんに、若井小づえ・みどり師匠みたいなことをやってほしい。
岡 「も〜て〜!」とか言って?
須藤 凄い帽子をかぶらなあかんやん。
岡 「お気軽に!」とか言うたりして。
須藤 漫才中に言うていこかな(笑)。
岡 まわりの人らが「いきなりどうしたんや?」てなるわ。
――僕は見たいですけどね。
須藤 人のネタを見るのが好きなあんたが見たいだけやんか!
――最後に、それぞれ相方さんに言いたいことがあれば。
岡 幸せになれよ。
須藤 なんで上からやねん! じゃあ、お前もな。
――いや、岡さんは幸せそうなんですよ!
須藤 実際はわからへんで〜。
岡 幸せや!
とまあ、最後のお互いへのメッセージは、解散するコンビみたいになりましたけど、そんなことはありません! 青空さんはこれからも、しゃべくり漫才道を突き進んでいきます。お話を伺って、コンビの長続きの秘訣は、相方との適度な距離感だと思いました。夫婦と同じですね(僕は独身なので、知らんけど)。