沼津の「昔ばなし」を地元高校生と住みます芸人が演劇に! 絵本イベントで「沼津の街をもっと好きになってもらえたら」

絵本をテーマにした地域イベント『ものがたり博 in ぬまづ』が、9月23日(月・祝)に静岡県沼津市にあるプラサヴェルデのキラメッセぬまづで開催されました。プラサヴェルデの開館10周年記念事業の一環で、会場にはなんと4,000冊もの絵本や児童書、紙芝居が集められるなど、子どもから大人まで物語の世界に没入することができる一大イベントです。今回、ステージで行われた演劇にも参加させていただいた、静岡県住みます芸人のぬまんづ・原いい日がイベントの様子をレポートします!

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

沼津の「昔ばなし」を後世につないでいきたい

4,000冊の絵本は、沼津市立図書館やマルサン書店、絵本専門店グリムなどの協力で集められたもの。会場には人工芝やダンボールが敷かれたスペースもあり、座りながら絵本を読む子どもたちや、読み聞かせを楽しむ家族づれの様子も見られました。

会場の真ん中にはワークショップや展示のスペース、キッチンカーなどもあって、1日中楽しめましたよーー!!

今回、僕が個人的にピックアップしたいのは『絵物語 ぬまづ昔ばなし』の展示ブース。コチラは今回、僕らが参加させていただいた演劇とも関係してくるのですが、この『ものがたり博inぬまづ』のイベントが行われたきっかけのひとつにもなっているんです。

『絵物語 ぬまづ昔ばなし』は、沼津市に伝わる物語をまとめた『ぬまづ昔ばなし』(1974年と1982年にぬまづ社会科研究会が発行)の中にあるいくつかのストーリーを、沼津にゆかりのあるクリエイターさんたちが、改めて絵物語化して再編出版したものなんです! 現在、市立図書館や小中学校、地区センターなどに無償配布しているほか、「e-monogatari(えものがたり)」のウェブサイトで無償公開されています。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

沼津にはさまざまな絵本、そして昔ばなしがあります。それを沼津の子どもたちをはじめ、後世に繋げていきたいという思いから始まった『絵物語 ぬまづ昔ばなし』の取り組みを、どこかで大きなイベントとして発信したいという情熱が、今回の『ものがたり博』に繋がっていきました。

昔ばなしが高校生の手で見事な会話劇に!

そんな沼津の「昔ばなし」をめぐる企画のひとつが、われわれ住みます芸人「ぬまんづ」と「さこリッチ」が大きくかかわらせていただいたステージイベントの演劇『ぬまづ昔ばなし』です。

これは『絵物語ぬまづ昔ばなし』を、市立沼津高校の生徒さんと私立飛龍高校の生徒さんが完全オリジナルで初舞台化に挑戦したもの! 住みます芸人は、舞台での見せ方や伝え方などをアドバイスすると同時に、一緒に参加しながら二人三脚で作り上げて、この日のお披露目となりました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

イベントステージでは午前11時から、まずは沼津高校演劇部とさこリッチ、ぬまんづによる「門池の竜」が上演。

大切な玉を、天界から沼津市の門池に落としてしまった夫婦の竜が数百年以上、会えなくなってしまうというストーリーを、高校生とは思えない発想で見事な会話劇に変身させていました!

2カ月以上前から台本作りや稽古に参加しましたが、途中、夏休みも挟んだため、最初の打ち合わせから台本にして稽古に入るまでだいぶ間が……不安なところもあったのですが、さすがは演劇部のメンバー! 休み明けのミーティングでは素晴らしい脚本が完成していて、すでにセリフや流れが頭に入った出演者による、新生「門池の竜」がそこにはありました。

衣装や音響も生徒が担当し、まさにすべてを沼津の高校生がつくり上げたといえる、素晴らしいお芝居が完成。本番も、緊張などまったく感じられない堂々としたお芝居で、観客を魅了していました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

竜の夫婦を演じた2年の加納さんと寺田さんは、上演後のカーテンコールで「緊張したけど、みんなでやり遂げることができた。お客さんの前でやるのは初めてで貴重な経験となりました」と話していました。

脚本と監督を担当した神戸(かんべ)さんは、出演者からこの日の出来栄えを点数で聞かれると、「100万点!」と大満足の笑顔で答えていました。

そのほかにもイベントステージでは、静岡県出身のお笑いタレント・勝俣州和さんのトークショーが行われたり、賴重秀一・沼津市長と豊岡武士・三島市長による読み聞かせが行われたりしました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

経験値ゼロの高校生の演劇が観客を魅了!

そして『ものがたり博inぬまづ』を締めくくったのは、飛龍高校ドラマクラブとさこリッチ、ぬまんづによる演劇「おみねと島吉」。

これは、沼津市の小さな漁村に住む美しい女性おみねと嵐の海で出会った島吉との恋路を、淡島に祀られた弁天様が見守るというストーリーです。

飛龍高校ドラマクラブは部員が少なく、お芝居経験もないうえに、圧倒的な人手不足というピンチな状態からのスタート! ……だったのですが、若さゆえの柔軟な発想で、ピンチもお芝居のエッセンスとして追い風にしていきます。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

出演者によっては1人2役ならぬ1人3役を担当し、船が沖に出るシーンでは船を動かすのではなく、見送る人々や背景を動かすことで船が動いているように見せるなど、人数が少ないからこそ、芸人が協力するからこそ生まれる新しい見せ方で、会場を笑いで包み込みました。

主演のおみね役で、経験ゼロから台本作成に挑戦してくれた3年生の岩﨑さんは、「台本作りは動きやアイデアが難しかったですが、みんなの協力もあってやり切ることができました。高校生活で、最初で最後の晴れ舞台になると思うので緊張はしたけど、楽しんでやれた」と答えてくれました。

演劇「おみねと島吉」は、飛龍高校のALT(外国語指導助手)のジオ先生のセリフ「メデタシ! メデタシ!」で幕を閉じ、ものがたり博も会場全体の「めでたし! めでたし!」で締めくくられ、無事、大団円となりました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

ほかの市や町にも広げていきたい

最後に『ものがたり博inぬまづ』の実行委員長で、『絵物語 ぬまづ昔ばなし』の発行元である「e-monogatari」代表の青木一さんにお話を伺いました。

――今回、イベントが行われることになったきっかけはなんですか?

会場のプラサヴェルテさんが開館10周年で「何か大きなイベントをやりたい」というお話をいただきました。そして、どんなイベントをしようかと打ち合わせをしているなかで、奈良県で行われている「えほん展なら」のようなイベントができないかという話になったんです。そのときちょうど、僕が『絵物語 ぬまづ昔ばなし』にも携わっていたので、これをうまく組み合わせたら大きなイベントにできるのではないか、と考えたのがきっかけですね。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

――きっかけのひとつになった『ぬまづ昔ばなし』は、どういう考えで広めたいと思ったのですか?

「e-monogatari」編集長・渡辺純と「沼津市民、とくに沼津の子どもたちに、沼津にはいろんな昔ばなしがあるんだと知ってもらえたら、ワクワクして、自分の住んでいる沼津の街をもっと好きになるんじゃないか」という話をしました。その思いを、今回の展示や演劇に展開させました。

――僕たち住みます芸人を使っていただいたのはどうしてですか?

さこリッチさんとは、『ぬまづ昔ばなし』を広めていくにはどうしたらいいかという話をちょくちょくしていたこともあって、このイベントが決まったときに、真っ先にお知らせしました。(ぬまんづの)原さんにも別件でいろいろなお願いをしていましたが、「その街の魅力を発信する」ということに関しては、住みます芸人さんに協力していただくことで、より一層伝わりやすく、多くの人に興味を持ってもらえると実感しているからです。

――ありがとうございます。僕らもお仕事ではありながら、自分たちを応援してくれている沼津市や静岡県のために何かできることはとても嬉しいので、やれることがあれば全力でやらせていただきます。最後にこの「ものがたり博」の今後の展開をどう考えていますか?

ありがたいことに、沼津市をはじめとして近隣の11市町から後援をいただけたイベントなので、沼津での第2回・第3回はもちろん、別の市町でもグレートジャーニー(範囲を広げて展開)していけたらいいなと考えています。

――青木さん、ありがとうございました!

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

ということで、今回は、沼津市で行われた『ものがたり博inぬまづ』のレポートをお送りしました。

沼津には素敵な昔ばなしがたくさんあって、それを楽しむ人たちがいる。今回のイベントは、そんな昔ばなしや絵本を中心に新たな出会いや物語が生まれていく素晴らしいものでした。ぜひ第2回には、皆さんも足をお運びください。

関連記事

関連ライブ配信

関連ライブ