どうも芸人ライターのてんぐの横山ミルです。
皆さんのまわりに介護をしている“ケアラー”はいますか? 僕自身も親の介護などを考えないといけない、誰しもが介護を経験するといっても過言ではない時代になってきました。埼玉県では11月を「ケアラー月間」として、ケアラーの方が孤立しない社会の実現を目指して集中的な広報啓発を行っています。
その埼玉県のケアラー月間のテーマは「誰かを支える あなたも支える」。突然、介護をする状況に直面すると「何から始めたらいいのか?」「どこに相談したらいいのか?」と疑問ばかりだと思います。今回は埼玉の広報啓発動画「レギュラーと学ぶビジネスケアラーを支える強い味方」を視聴レポートします!
“ビジネスケアラー”増加が日本経済に影響!?
動画の司会進行を務めるのは、レギュラー(松本康太、西川晃啓)のおふたりです。
レギュラーは「介護職員初任者研修」「レクリエーション介護士」などの資格をコンビで持っていて、介護関連のイベントにも引っ張りだこ。さらに西川さんは現在、ご自身の家族をケアしています。まさに今回の司会進行にぴったり!
この動画で、介護について指南してくれるのが介護業界のスペシャリスト3人です。一般企業向けセミナーの講師などの活動をしているNPO法人「となりのかいご」の代表理事・川内潤さんと、春日部市第6地域包括センターのセンター長である長谷部朋子さん、職員の常見美和子さん。
この動画の中でよく出てくるのが、“ビジネスケアラー”という言葉です。これは、仕事をしながら家族の介護をする人のこと。レギュラー・西川さんも仕事をしながら介護しているのでビジネスケアラーです。
社会の高齢化が進み、昨今は働きながら介護するのは当たり前の状態にあり、ビジネスケアラーは増加しているそう。2012年に211万人だった日本国内のビジネスケアラーは、2020年には262万人に達し、来年には300万人を超える見込みです。
ビジネスケアラーの増加は、日本経済にも影響を与えます。家族の介護のために仕事をやめてしまう人が1年間に約10万人もいるそうです。
介護は突然やってくるので、心構えや情報がなかったりすると焦ってしまいます。そしてそのまま、仕事をやめてしまう人が多いそう。長期間の介護に疲れて仕事をやめるのではなく、多くの人が介護を始めて1年未満で離職してしまうというのです。
人口が減少し、人手不足に陥っている日本で、働ける人が介護によって離職するのは、経済的な影響が深刻です。一度やめてしまうと再就職も難しく、介護は個人だけの問題じゃなく日本全体の問題なんです。
川内さんは、「介護しながら働くことが当たり前にならない限り、日本経済は衰退する」と言います。そして「国も、社会も、自治体も、会社も、みんなで介護のことを考えていくべきだ」と訴えました。
「地域包括支援センター」は力強い味方
動画内では「どんなに些細なことでも地域包括支援センターに早めに相談する!」というのが合言葉になっていました。
「地域包括支援センター」とは何でしょう。介護が必要な状況になっても、住み慣れた地域で安心して暮らせるように、地域内で助け合う「地域包括ケアシステム」というものがあります。そのケアシステムの拠点が地域包括支援センター。地域の住民の健康や生活の安定のために必要な援助を行い、包括的に支援することを目的とする施設です。
つまり、介護のことだけではないのです!
医療・介護・福祉が一体となって安心して住める地域を作る要となる施設で、保健師や社会福祉士、主任介護支援専門職(主任ケアマネジャー)が常駐しています。そして、“たらい回し”にされないように、相談からサービスまで繋ぐ「ワンストップ窓口」の役割を担っているとのことです。
そして驚きなのが、相談は無料ということ。電話や来所での相談だけでなく、自宅へ訪問してもらって相談するのも無料です。
そんな地域包括支援センターは全国に5431カ所(支所などを含めると7397カ所)あります。中学校の学区ごとに1カ所あるようなイメージ。埼玉県内には290カ所あります。
実際にビジネスケアラーであるレギュラー・西川さんも「僕はめちゃくちゃ電話した!」と言っていました。
介護が本格的になる前から軽く伝えておく
事前に知識や情報があれば、仕事と介護の両立がしやすくなります。たとえば、介護が必要になった人を支える「介護保険制度」や、ケアラーのための「介護休業制度」についても、地域包括支援センターで教えてくれるんです。
実は、ビジネスケアラーの約1割しか介護休業制度を使っていないという実態があります。その原因のひとつとして、「職場に介護のことを言っていない」というケースが多いそうです。
「出世のラインから外れるのではないか」などの心配や、職場にプライベートなことを持ち込むという不安から抱え込んでしまい、その結果、休業制度も使えない……。レギュラー・西川さんも「舞台休んだらもう使ってもらえないと思ってドキドキするんよ!」と、そうした心配をしてしまう心理に共感していました。
対策として、介護が本格的になる前から「実は親が調子悪いんですよね」と軽く職場で伝えておくと、言いやすくなるようです。抱え込んで自分がツラくなり、仕事でミスが出てしまい、あとから「実は親が……」と伝えてしまうと職場にも迷惑がかかってしまいます。
それぞれが事情を抱えているからこそ、ふだんのコミュニケーションによってお互いに支え合うことができる。そんなことを教えてくれるのが地域包括支援センターです。
地域包括支援センターで多いのが認知症の相談だそうです。動画ではスペシャリストのみなさんが、「ときどき会う家族だと変化に気がつかないことが多い。だからこそ、早めに地域包括支援センターに相談に来てほしい」と訴えます。家族と一緒に作戦会議を開いて、地域包括支援センターのかかわり方を考えていくこともできるそうです。
だから、事前に親の介護について家族で相談することは大事!
自分の親のことを知ることも介護の準備のひとつです。親の趣味や好きなこと、生きがいや、交友関係を知ることが大切。そして親の健康状態やかかりつけ医を知ることで、本人がどう病気と向き合っているのかを把握できます。
家族で集まったときには「どうやって介護していくのか?」「お墓はどうしよう?」など、しっかり話し合っておくことが、いざというときのヒントになるそうです。
この動画を通して、どんな些細なことも1人で抱え込まずに地域包括支援センターに相談することが大事だと思いました。やっぱり合言葉は「どんなに些細なことでも地域包括支援センターに早めに相談する!」。皆さんも、自宅近くのセンターを調べるところから始めてみて下さい。
動画の視聴はこちらから。
レギュラーのメッセージ動画はこちらから。(縦ショートバージョン)