アキナ(山名文和、秋山賢太)とフットボールアワー(岩尾望、後藤輝基)によるコントライブが、11月10日(日)に愛知・東別院ホールで開かれました。題して『アキナがフットボールアワーさんを強引に誘ってコントをして貰うツーマンライブ』。“コントの師”としてフットボールアワーに憧れていたアキナが直接オファーして実現した企画で、なんと、フットボールアワーは約14年ぶりに舞台でコントを披露! アキナの2人も大興奮しつつ、コントとトークで訪れたファンたちを楽しませました。
始まりは若手時代に見たフットボールアワーのコント
この企画は若手時代のアキナが、大阪にかつて存在した演芸場・京橋花月で行われたフットボールアワーのコントを見て衝撃を受けたのが始まり。「ツーマンライブをやるなら、この先輩と」と決めていたフットボールアワーを公演タイトル通り、半ば強引に誘って実現に漕ぎ着けたものです。
オープニングあいさつで秋山は「舞台袖でおふたりのリハーサル見て、ずっと鳥肌が立ちました」と、“推し活”丸出しのノリ。山名も「おふたりに出てもらえたのは、自分の“可愛がられ体質”の力」と、さりげなくアピールしました。
これまで構想を温めていた“コントによるツーマンライブ”を名古屋で開いたのは、フットボールアワーが拠点とする東京とアキナが拠点とする大阪の中間地点であることから。フットボールアワーはかつて、地元テレビ局のバラエティー番組にレギュラー出演していたことがあるため「久しぶりやわぁ」と口々に名古屋を懐かしんでいました。
舞台はそれぞれのコントとトークの2部構成。コントは3本立てで、アキナ→フットボールアワー→アキナの順です。
アキナの1本目はコンビニ店内の設定で、店長に扮した秋山と店員役の山名とのちぐはぐなやり取りを軸に、アキナらしい不条理な展開で客席を沸かせました。アルバイトから正社員に引き上げられたものの、あの手この手でサボろうとする山名と、なんとか辞めさせたい秋山の掛け合いで場内の熱量は一気に高まります。
続いてフットボールアワーのコント。2人が舞台でコントを披露するのは、アキナが生で観覧した2010年7月の単独ライブ『ドレキグラム’10』以来、実に約14年ぶりです。
ネタはDVDにも収められている一作。引っ越し間もないマンション暮らしの後藤に対して、岩尾演じる階下の女性が手を変え品を変え迷惑行為を繰り出します。
シュールな世界観で描き出される2人の攻防は、下ネタを適度に散らしながらもギリギリの線を踏み越えず、互いの巧みな間(ま)とたたみかけるような展開が観客を引き込み、終始、大きな笑いを誘いました。
アキナの2本目はインド帰りで人が変わってしまった息子と、彼をたしなめていながら、自分もインド体験を経て息子以上にのめり込んでしまい「ミイラ取りがミイラになった」父親の様子をコンパクトにまとめました。
「ホントは別々でなく、4人でやりたかった」
後半のトークコーナーは、コントの盛り上がりのおかげで時間が気味。この時点で残り時間が10分ほどしかなかったものの、「せっかく(フットボールアワーのために)用意したので」というアキナの熱意で「年表トーク」へこれまた強引に突入! フットボールアワーのデビュー以来の出来事を簡単にまとめた年表を見ながら足跡を振り返りました。
コンビ結成後、わずか半年でお笑い関係の主な新人賞を総なめにしたフットボールアワー。いまでこそ、M-1王者として漫才のイメージが強い2人ですが、結成当初のネタはコントが中心で、単独ライブでも精力的にコントを熱演していたとのこと。アキナが“コントの師”として2人を仰ぎ見ていたころです。
2003年にM-1で優勝しながら、3年後に再挑戦(結果は2位)した理由を問われた後藤は「M-1に挑戦するブラックマヨネーズやチュートリアルの姿を営業先で見て火がついた」と言います。
2017年を代表する出来事で「沖縄花月でネタ中に赤ちゃんをあやす」と記載された岩尾は、「なんでこれ? もっと他に書くことあるやろ」と戸惑い気味。後藤も「うっすい資料から探してきたんちゃう?」とぼやくうちにタイムアウトとなりました。
エンディングで「次回はブラマヨさんか華大(博多華丸・大吉)さんを誘ったら?」と水を向けた後藤に対し、山名は「次回もフットさんで」とキッパリ。秋山は「フットさんのコントを客席で正面から見たかった」と悔しがりました。
コント師としても健在ぶりを見せつけたフットボールアワー。「ホントは別々でなく、4人でやりたかった」と後藤が漏らすと、会場からはひときわ大きな拍手が。次回は、果たして夢のコラボなるか!?