桂文枝の大阪市24区創作落語プロジェクト『参地直笑祭in中央区』が、11月13日(水)に開催されました。会場の大阪・J:COM 中央区民センターホールに詰めかけたお客さんを前に、文枝のほか、まるむし商店(東村雅夫、磯部公彦)、桂三若がネタを披露。文枝は音楽をテーマにした賑やかな創作落語で会場を盛り上げました。
「中央区は広くて苦心した」
今回で第20弾を迎えた「参地直笑祭」は、2018年からスタートしたプロジェクト。大阪市と吉本興業が締結した地域活性化などを目的とした包括連携協定に基づいて、文枝が大阪市24区それぞれの特色を盛り込んだ創作落語を作り、地域の魅力を発信しています。
中央区は、その名の通り大阪市の中心に位置し、心斎橋、本町などを有する大阪の商業、ビジネスの一大拠点。なんばグランド花月(NGK)や道頓堀などの観光地を有しており、文枝はそんな中央区を舞台にした創作落語を披露します。
冒頭、“大阪市中央区住みます芸人”の大乱ポゥ!ボマッシュブラ坊主!(ポゥポゥくん、あずき坊主、ボマちゃん)が前説で会場を盛り上げ、オープニングへ。
黒のスーツで登場した文枝は、「いよいよ中央区にやってまいりました」と挨拶します。そして「中央区はとにかく広い」と続け、「それだけに苦心しましたが、にぎやかで面白い噺ができました」と自信をのぞかせました。
まずは、まるむし商店の漫才からスタート。中央区在住という磯部は時折、ご当地ネタを繰り出し、会場の笑いを誘います。東村は民謡を披露。しりとりやことわざ、モノマネなどを取り入れた漫才で楽しい幕開けとなりました。
続いて文枝の弟子である桂三若が登場し、「寝起きのジュリーです~」とお決まりのフレーズで挨拶。三若は「中央区出身なので、落語ができてうれしい」と笑顔を浮かべますが、よくよく聞けば“神戸市中央区”の出身です。そして桂三枝作の創作落語『アメリカ人が家にやってきた』を口演しました。
懐メロやご当地ソングも登場
そしていよいよ文枝の登場。マクラでは「中央区に育ててもらったようなもの」と、自らの若手時代を振り返ります。そして師匠である五代目桂文枝に入門志願した日のことを、まるで昨日の出来事のように鮮明に語り、当時のなんばがどんな姿だったのか、街の様子までありありと描写しました。
NGKをはじめとする劇場が多く、むかしから“芸の街”として知られる中央区。道頓堀、法善寺、御堂筋と歌謡曲の舞台になることも多く、地名を冠したヒットソングも多く生まれています。今回、文枝が披露した創作落語はそんな音楽にスポットライトを当てた『しあわせののど自慢大会』。ステージで、中央区にまつわる歌を次々と披露する挑戦者たち。そのたびに文枝が自慢ののどを披露します。
途中、アコーディオン奏者の伴奏や桂三語による鐘も舞台に登場。そして、師匠である五代目文枝がラジオCMのナレーションをしていたという難波・千日前にあった食堂のCMソングや、キダ・タロー作曲の『中央区民音頭』など、知る人ぞ知る懐メロやご当地ソングも歌い上げて、会場を沸かせました。
文枝の噺が終わると、中央区の稲嶺一夫区長が登壇。稲嶺区長は、「今日、この日のために作られた落語でした!」と大満足の表情です。
文枝は落語の途中、『中央区民音頭』に苦戦したそうですが、「もうアカンと思っていたけど、会場の皆さんに助けてもらいました」と客席に感謝。毎年夏には盆踊りで『中央区民音頭』を踊っているという稲嶺区長は、文枝に「師匠もぜひ盆踊りに来てください!」とラブコールを送りました。