オズワルド伊藤&ダイタクが語りつくす2丁拳銃『百式』がこんなにスゴイ…からのまさかの本人登場!?

お笑いコンビ・2丁拳銃(小堀裕之、川谷修士)による『百式』(百分式漫才)は、100分を通してノンストップでひたすら漫才をする単独ライブ。芸人たちがあこがれる、このストイックな漫才スタイルのステージが、今年も12月5日(日)に開催されます。
そこで、2人をリスペクトしてやまない後輩漫才師のダイタク(吉本大、吉本拓)とオズワルド・伊藤俊介が集まり、そのすごさを語り合ってもらったところ……まさかの本人たちが乱入!? 漫才師たちが語る2丁拳銃という凄み、そして『百式』の魅力のすべてをお届けします。

出典: FANY マガジン
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初対面で2ショット撮影をお願いした伊藤

――『百式』が始まったのが2002年。まずは、みなさんがこのライブを知ったきっかけから教えてください。

 初めての『百式』は、NSC(吉本総合芸能学院)在籍中かNSCに入る前の年に、僕がDVDを借りてきて、ダイと一緒に観たのは覚えています。最初は「100分も漫才できるわけない」と思っていたので、「ほんとに?」と興味津々で。観てみたら、100分ずっと面白いからそれもまた驚きで、「こんなことできるんだ!」と本当にびっくりしました。それで「自分たちも、いつかそういう漫才をやってみたい」と憧れはありましたね。

 タクと初めて観た『百式』の衝撃、それは本当にすごかったですね。14~15年前なんですけど、いまでもその時のインパクトをハッキリ覚えています。

伊藤 僕は、中学か高校のとき。芸人になる前にDVDで観たのが最初でした。

――芸人になって、実際に2丁拳銃さんと絡んだときのことは覚えていますか?

伊藤 すごくよく覚えています。初めてお会いしたときは、テンション上がりすぎて小堀さんに「2ショットで写真撮ってください」とお願いしてしまったぐらい。とにかく2丁拳銃さんってめちゃくちゃカッコよくて。みんなが思い描く関西の漫才師の人っていうイメージそのものでした。

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 本当にカッコいいよね。「営業でも絶対につかみをやらない」というウワサがあって。「どうも、2丁拳銃です」と挨拶したら、すぐにネタを始めると。それを単独ライブとかでなく、営業でですよ? 最初はお客さんが温まってないからウケないんだけど、後半はめちゃくちゃウケていると。客席が温まってないところからでも爆笑にもっていける漫才師なんですよ。

まるで1本の映画を観終わったときのような充実感

――『百式』の最大の特徴は、100分通しの漫才という点ですが、漫才師として、その点をどんなふうに捉えていますか?

 『百式』って100分の中でいろんなネタがあるというより、どちらかというと100分のライブで1本というような感覚があります。たとえるなら、いい映画を観終わった時の充実感みたいなのがある。だから、僕らの初めての単独ライブもその形式でやって。今年の単独ライブも60分の形式でやりました。

 『百式』観てなかったら、その形式はやってないかもしれない。

 うん、だから発想自体がすごい画期的だと思います。ネタは小堀さんが書かれるんですけど、一言一句、ちゃんと書いているそうなんです。「え~、あの~」っていう部分まで。本当にびっくりしました。そういうタイプには見えない(笑)。おふたりの漫才を見ていると、自由度が高く感じるんだけど、じつはめちゃくちゃ緻密に作られているんです。

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伊藤 えーーー! エグっ! それこそ2丁拳銃さんってチンピラの立ち話の代表格みたいに語られるイメージなのに、実はめっちゃ細かくつくられているんですね。

 おふたりの空気感からは、そんなことを微塵も感じさせないのがスゴイ。

 『百式』を観ると「カッコいいな、自分らもやってみたいな」と漫才師はみんな思う。だから、囲碁将棋(文田大介、根健太一)さん、タモンズ(大波康平、安部浩章)さんなど、僕らの先輩たちも60分漫才や90分漫才とかそういうのをやられていて。

伊藤 僕はむしろ、いま聞いていて「なるほど、ルーツとしてそこから来てたのか」と知りました。僕のなかで漫才師としてのターニングポイントがいくつかあるとしたら、そのうちの1つが3~4年前にダイタクさんと一緒にやった30分漫才のライブなんです。そこから明確に考え方とか変わってきた部分があって。だから、いまお話を聞いてて、ルーツは2丁拳銃さんにあるんだなと思いましたね。

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漫才師のツッコミ一度は修士に憧れる説

――実はネイビーズアフロ(みながわ、はじり)さんからもコメントが。抜粋すると、はじりさんは「特に修士さんのツッコミが大好き。ボケが小堀さん、ツッコミが修士さんなんだけど、『百式』の中ではそれが変わって行ったりするのもすごく見どころだ」と言ってますね(全文は最後に掲載)。

伊藤 わかります。ツッコミは必ず修士さんに憧れる。

 うん、ほんとにそう。素人目で見てこの人、エグイなってわかるよね。

伊藤 そうなんですよ。芸歴重ねてからも、また見返してみると、細かい部分でスゴイところがいっぱいあって。

 それでいて修士さん、あんなに優しい人いないってくらい優しい。

伊藤 むちゃくちゃ優しい。賞レース前って、若手の俺ら世代の芸人がピリピリしているのを感じ取ってか、とくに優しいんですよ。

 ツッコミもそんなに声を張らなくて。なのに、めちゃくちゃ面白い。あれ、不思議。

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伊藤 マイクの使い方もうまいんですよね。あと、修士さんの顔も見どころだと思う。

 それはわかる。修士さんの惹きつける顔がすごくうまい。めちゃくちゃ困り顔になる。

伊藤 あれを体得できたら、むちゃくちゃラクだなって思います。

 漫才をやっていると、表情ってすごく難しくて。なんだったら、いちばん難しいくらい難しい。ボケたあとにツッコまれた表情ってめちゃくちゃ難しい。ボケを言っているときに、ツッコミが聞いている表情とか。そういうのが修士さん、めちゃくちゃうまい。

 あと、注目すべき点でいうと、この間、小堀さんが「いまになって、ようやくできるようなボケが出てきた」と話されていて。むかしは、面白いことを言うから顔はつくっていなかったと。でも、いまはそんなに面白くないことを言い方とか表情で笑わせるのが恥ずかしくなくなったとおっしゃっていた。だから、今回の『百式』は以前のものと比べて、ちょっと変わった感じが楽しめるんじゃないかなと思うんです。

 うん、今年の『百式』はおふたりともめちゃくちゃ面白いと思う。そうとう気合い入っているんじゃないですかね。

まさかのご本人登場に「なんのドッキリ!?」

――実は、ここでもう1組ゲストがいまして……(と2丁拳銃本人が登場)

修士 おつかれさまでーす! なんか話してくれてるらしいな。

ダイタク&伊藤 え! えええ! なんなんすか。

 ちょっと、どういうことですか? カメラのないドッキリ?

 なんのためのドッキリなんですか!

伊藤 いやぁ、マジびっくりした。

修士 確かに、なんのためのドッキリなんやろうな(笑)。

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――ということで、せっかくなので2丁拳銃さんにも来ていただきました。ダイタクさんと伊藤さんには『百式』の魅力をたっぷり語ってもらっていたところです。

 本来、僕らが語るのがおこがましいんですけど。

伊藤 小堀さんのボケを聞いている時の修士さんの顔とかの話をさせてもらったり。

修士 なるほど、なるほど。そこにフォーカス当ててくれてるとは。

小堀 聞いてる顔、なるほどね。

 聞いてる顔って難しいじゃないですか。とんだボケをずっと長くされたときの修士さんの聞いている顔は秀逸です。

修士 いやいや、自分らのほうがうまいやん!

小堀 ……ああ、そう。結局、修士なんやな(笑)。

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――ちなみに、ネイビーズアフロの2からもコメントがきていて、はじりさんは「『百式』の魅力は、まず2丁拳銃さんの漫才が超面白いところです。特にぼくは修士さんのツッコミが好きで声、立ち方、ツッコミのワード、トーン、間、すべてが渋いです。大好きです、2丁拳銃さん! 特に修士さん!」とのことです。

小堀 なんなん。その「修士さん」っていうのを、オレはどういう感じで聞けばええの? 聞き方の顔がわかれへんよ(笑)。

修士 いや、うれしいわ。まぁでも、そんなん言ってくれるようなツッコミを小堀が考えているわけですから。

伊藤 ちなみに、小堀さんの話もありました。初めて会ったときに写真撮ってもらった話とか。

小堀 なんや、そのカワイイ話は(笑)。

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 ネタ作りの話もさせていただきました。全部を文字に起こしているということとか。

伊藤 いや、マジで考えられないですよ。

 『百式』では、どのぐらいアドリブ入れてて、尺もどのくらい伸びるんですか?

小堀 ほぼ伸びないよ。挨拶で5分とか、そういう感じにして。

伊藤 マジっすか! 漫才と漫才のつなぎ目でチョロチョロって話すときにアドリブが入ったり、くらいってことですか?

小堀 あるにしても、それも想定で「そこは1分以内ね」とか。こんな感じって決めておかんと怖いねんな。

修士 だから小堀の台本は、けっこうしっかり書く。

 あのやりとりの感じで、台本がきっちりあるってことがもう信じられない。

伊藤 でも、ネタによって、めちゃくちゃアドリブ感ありますよね?

小堀 そう見えるけど、意外と決めてるんだよ。

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 おふたりとも漫才がうますぎるから予定調和に見えないんだろうなぁ。

修士 台本で先に与えられているほうが、いろいろ考えられる部分もあるのよ。「これをやってほしい」という小堀の狙いが台本から字を見て頭に入る。「じゃ、こう言ってやろう」というワクワク感とかあるし。あと、台本から外れると「いま、こいつフザけてるな」「あ、なるほど、ここ遊びたいんや」とか、そういうのが伝わるんじゃないかと思うのよね。

「もう一度、漫才に向き合おう」と思った

――「対漫」や「漫研」などの若手の漫才師とからむライブを精力的にしていたり、小堀さんが「いまの年齢だからできるネタもある」と話していたり……なので、今年の『百式』は、昨年までとちょっと違った味わいになるのではという話も出ていました。

小堀 そうなんです。最初にあったのが「漫才に向き合おう」ってことで。(コンビ結成の年数制限で)賞レースに出たいけど出られないから、出てるような気分で勝手に賞レース常連の若手に勝負するつもりで出てもらう。それが「対漫」というライブだった。そこでやったものをギュッとしようかというのが、今年の『百式』で。そのほかにもダイタクに出てもらった「漫研」もやっていたんですけど……。

 漫才に向き合おうって、めちゃくちゃいいですよね。

 本当にうれしいですもん。

修士 カッコよく言うてるだけですよ。

 うれしいんすよ、ほんとに。憧れている漫才師の先輩が、そうやってずっと漫才をやっていかれている姿を見れるのが本当にうれしい。

伊藤 ぶしつけな質問かもしれないんですけど、もし2丁拳銃さんの芸歴でも出られる賞レースがあったとしたら、どうします?

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小堀 出たいよね、そりゃ。

修士 たぶん戦い方が変わると思うんですよ。自分たちと同じくらいのおっさんたちが出るってなったら。

伊藤 あの当時、戦っていた人たちがみんなおじさんになって帰ってくるってことですか。

修士 そうそう、この間もテンダラー(白川悟実、浜本広晃)と一緒にお仕事させてもらって。うちの奥さん(放送作家の野々村友紀子)経由で聞いたんですけど、テンダラーが「この前、2丁拳銃さんのネタをみたとき、年相応のネタをやられていた。それがぜんぜん古臭さもわざとらしさもなくて、ちょっとうらやましいと思いました」と言うてくれたらしくて。まぁ、人間ドックのネタなんですけど(笑)。お互いにおっさん同士っていう、そういう人たちで集まって戦うんなら、ぜったい面白くなるやろうなと思うんですよね。

――では、2丁拳銃さんご本人の話を伺ったうえで、ダイタクさん&伊藤さん、『百式』レコメンドの一言をお願いします。

 今年の『百式』はおそらく2丁拳銃さんが、ここ近年でいちばん気合い入っているんじゃないかと思うので、ぜひみなさん見ていただきたい。あとは、12月16日(木)に2丁拳銃さんが僕らのライブ「即漫倶楽部」にゲストで出てくださるので、そちらもよろしくお願いします!

 2丁拳銃さんが「もう一度、漫才に向き合おう」という姿を間近で見られることが本当にうれしいです。お客さんに来ていただくのはもちろん、芸人にも観てほしい。『百式』とかを見たことのない1~2年目の若手とかも、ぜったい観たほうがいいと思います。

出典: FANY マガジン
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伊藤 100分やる空気というだけでなく、今年はきっと例年とは違うちょっとした緊張感もあるのではと思う。そういう意味で、いままで見みられなかった2丁拳銃さんが見られると思います。後輩が「あの先輩、面白かったのにな」って思うのは、先輩がネタをやらなくなってしまったとき。漫才師だったら、漫才だけやってくれてたら、こっちは何にも文句ないのに、と。その感覚をやってくださっているのが、うれしいです。

――2丁拳銃さんは、ダイタクさん&伊藤さんにも、今回の雄姿を実際見てほしいですか?

小堀 いや、それは緊張するわ。配信でいいよ(笑)。

ネイビーズアフロ・コメント全文

【はじり】
2丁拳銃さんの『百式』を初めて観たのは高校のときでした。もともとお笑いが好きで100分ぶっ通しの漫才ってなんだ!? と興味が湧いて、レンタルビデオ屋でレンタルしました。そこからどっぷりハマって、過去の『百式』を一気に借りて休みの間に観まくったのを覚えています。
『百式』の魅力はまず2丁拳銃さんの漫才が超面白いとこです。特にぼくは修士さんのツッコミが好きで声、立ち方、ツッコミのワード、トーン、間、すべてが渋いです。次に、さまざまな2丁拳銃さんの漫才が観られるところです。普段は、ボケが小堀さんツッコミが修士さんというイメージですが、『百式』のなかの漫才ではそれが逆転しているものも多くあります。
なかでも印象に残っているのは、小堀さんが学校の先生で修士さんが生徒の保護者の役をやり、運動会にクレームを入れるというものです。玉入れのボールをスーパーボールに変えたら外れたボールがバインバインとなる、というくだりが大好きで、何回も見返した覚えがあります。
ほかにも、舞台上をすごく広く使って動き回る漫才や一世を風靡した「ちょうどええクイズ」など常に違った漫才を見せてくれることで、100分間、お客さんを飽きさせないつくりになっているのが最大の魅力だと思っています。2016年に初めて生で『百式』を大阪の大丸心斎橋劇場で観させていただいたときは“体感6分”くらいでした。
DVDのなかには、恐らく権利関係の問題で音声がなく、2人が無音のなか、ぐるぐる舞台上を歩き回っている漫才もあったのを覚えています。好きです。『百式』は漫才おもしろい!のはもちろんのこと、漫才カッコいい!と思わしてくれる最高のライブなので、全人類にぜひ観に行ってほしいと思ってます。大好きです、2丁拳銃さん! 特に修士さん!


【みながわ】
100分間ノンストップで漫才。一度もやったことがない、未知の領域です。100分間、喋り続けるにはかなりの体力と、相当な時間を割いての事前準備が必要です。
自分が小さいころに観ていたおふたりが、いまもそれだけ熱く漫才と向き合っている姿を目の当たりにできる舞台。
我々世代の漫才師が行く道に、色濃い轍を残し続けるイベントだと思います!


2丁拳銃の「note」はこちらから。

公演概要

『百式2021』

出典: FANY マガジン

日時:12月5日(日) 開場18:00 開演18:30
会場:よしもと有楽町シアター
出演:2丁拳銃 
概要:『百式』は2丁拳銃が、 センターマイク1本を前に100分間ノンストップでひたすら漫才だけで勝負をする、 驚異のライブとして好評を博してきました。 2丁拳銃は今年で芸歴28年を迎え、 ますますテクニックを磨き円熟味を増した、 他の追随を許さない至極の漫才芸を繰り広げます。
チケット:前売3,800円 配信1,600円

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FANYオンラインチケットはこちらから。

『ダイタクの即漫倶楽部』
日時:12月16日(木) 開場14:30 開演15:00
会場:よしもと有楽町シアター
出演:ダイタク、2丁拳銃 
チケット:前売1,500円

FANYチケットはこちらから。

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