落語家の林家菊丸、月亭方正、桂かい枝による落語会「特選よしもと三人会」が、5月16日(金)に大阪・なんばグランド花月(NGK)で開催されることが決定しました。2月14日(金)にはNGKで会見を行い、菊丸、方正、かい枝の3人がそろって登壇。落語会に向けた意気込みや、今後の目標について語りました。

「定期的にNGKで3人でやりませんか」
まずは、今回の「三人会」の発案者である方正が次のように説明します。
「いろいろな落語会でおふたりに会ったときに“せっかく吉本所属なので、どんどんNGKでやっていきましょうよ”とお話して、去年はそれぞれが独演会をやりました。それで“やっぱりNGKはいいですね”という話になって、“じゃあ、定期的にNGKで3人でやっていきませんか”ということになりまして、その第1回目です」

3人はこれまでも、小さな会場で落語会をやってきました。菊丸がNGKでやる意味について、こう続けます。
「やっぱりなんばグランド花月という本拠地でやろうということで、満を持しての三人会でございます。われわれはNGKの昼公演も出させていただいておりますが、落語家、こと芸人というのは、面白いこともやらないといけないし、また『いいものを見た』とお客さまに思ってもらえる芸もしっかり披露できないといけないわけでして、この三人会でも『ええものを見た』と思ってもらえるような会にしていきたいと思います」
かい枝はNGKの素晴らしさと、本番に向けた準備についてこう語りました。
「1回もNGKで自分の会をやったことがなかったのですが、方正さんが“やったらいいんですよ”って言ってくださった。そうやってお尻を叩いてくださったことで、去年、噺家生活30周年を記念して初めてNGKでやらせていただき、この劇場の素晴らしさがわかりました。私にとってはすごくチャレンジの劇場ではありますが、またやらせていただけるということで、しかも三人会なので、それぞれ競い合って、(お客さんが)より自分に惹かれるよう作戦を練って頑張りたいと思います」
ネタ順は当日の“あみだくじ”で決定
当日のネタはこの会見で初めて明かされ、菊丸は芸娼妓と若旦那の悲恋を描いた「たちぎれ線香」を口演します。菊丸は、「去年、僕がNGKで独演会をやったときに『大丸屋騒動』をネタおろしさせてもらったのですが、『たちぎれ線香』は5、6年やってないなと思いまして、それで選びました」と説明しました。

方正のネタは「笠碁」。もともとは江戸落語のネタで、上方でも口演されることがありますが、いまはお目にかかる機会が少ないとのこと。けんか別れした“碁敵”同士が、昔のうらみ、つらみを忘れて再び碁を打つ様子を滑稽に見せる人情噺です。方正は昨年6月に亡くなった桂ざこばについて触れながら、こう語ります。
「桂ざこば師匠の『笠碁』を見たときに、“ああ、これが落語なんや”と思って涙が出ました。素晴らしい『笠碁』でした。ざこば師匠の『笠碁』見て、やりたくなりました」
そして、かい枝は「三十石」を披露します。上方の代表的な古典落語で、京都の伏見から大坂までの船旅の様子をにぎやかに、そして旅情豊かに表現した噺。かい枝は「たっぷりやりましょう。ハメモノ(上方落語特有の音響効果)もありますし、そうします」と、演出にもこだわる意気込みを見せました。
ネタ順は三人会の当日、舞台上で“あみだくじ”で決めるそうです。

「時代に合った落語や落語会を作る」
「次代の担い手」と嘱望される3人に、落語界の今後への思いについて聞きました。菊丸は気を引き締めて、こう語ります。
「吉本所属の落語家で林家一門は古くから存在しています。そう思うと、やっぱり花月の看板に林家の一門の名前が1人は常に出なければならないという、林家としての覚悟はあります。また、“僕らもNGKでやりたい”という若手もおりますので、彼らに負けじとやっていきたいと思います」
吉本が大好きという方正は、落語家として活動ができていることに感謝しつつ、上方落語への思いを明かしました。
「去年、上方落語協会に入ってきた新弟子は2人です。一昨年は1人、2人、その前の年は3人と、そういう状況です。一方、NSC(吉本総合芸能学院)には毎年、東西合わせて1000人を超える若者が入ってきます。なので、落語の楽しさや魅力をどんどん発信していかなあかんなと思っています。どうやって発信すんねん。もう落語をやるしかない。いろんなことを発信していって、若い人にも落語の魅力を知ってもらって、落語の住人をどんどん増やしていくという思いはずっとあります。今回の三人会もそのひとつです」

かい枝は、落語界が抱える課題について、次のように分析しました。
「いま吉本では落語・漫才と謳ってくださっていますが、これだけエンタメが多様化しているなかで、はたしていつまで落語にスポットを当ててくれるのかという思いもあって、魅力ある噺家がどんどん出てこないと、今後どうなるのかという危機感も同時に持っています。そのためには、われわれが頑張って本公演でもトリが取れるような存在になっていかないかなと思っていますし、時代に合った落語や、落語会を作り出していかなあかんなと思います」
公演概要
「林家菊丸・月亭方正・桂かい枝 特選よしもと三人会」

日時:5月16日(金)開場 18:30/開演 19:00
出演者:林家菊丸、月亭方正、桂かい枝
チケット:1階席 4,000 円、2階席 3,500 円
※未就学児入場不可
販売スケジュール
・FANYチケット先行発売:2月15日(土)11:00~2月17日(月)11:00
・ローソンチケット、チケットぴあ先行発売:2月18日(火)11:00~2月20日(木)11:00
・一般発売日:2月22日(土)10:00
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