シシガシラ×黒帯×チェリー大作戦が最後の「漫才至上主義」への思い激白! 「今年がM-1ラストイヤー! 僕らの人生を観に来てほしい」

M-1グランプリで結果が出るまであと一歩――。そんな4組のコンビ、シシガシラ（浜中英昌、脇田）、黒帯（大西進、てらうち）、チェリー大作戦（ねんど、宗安聖）、ダイヤモンド（野澤輸出、小野竜輔　※今年1月に解散）が2022年3月に始めたライブ『漫才至上主義』が、最終章を迎えます。黒帯の2人がＭ-1のラストイヤーとなる今年、6月29日（日）の静岡公演を皮切りに、最後の全国ツアーがスタート。例年以上に気合が入っているシシガシラ、黒帯、チェリー大作戦の3組に、ツアーに向けた意気込みやＭ-1への思いをインタビューしました。

「漫才至上主義」は“いちばんウケたい”ライブ

『漫才至上主義』は、「M-1グランプリで結果を残す」という明確な目標を掲げてスタートし、実際に2022年にダイヤモンドが、2023年にはシシガシラが決勝進出を果たしました。当初は東京と大阪で交互にライブを行っていましたが、好評だったため徐々に他地域へも進出。人気も拡大していましたが、今年1月にダイヤモンドが解散し、黒帯がM-1ラストイヤーを迎える今年、一区切りという決断をしました。

――今年はついに6カ所をまわる全国ツアーになりましたね。

シシガシラ・脇田　はじめは東京、大阪で交互に開催していたのですが、スタートした2022年から、福岡とかほかの地域でも開催するようになりました。それまで吉本に関西と関東が混ざったユニットがなかったので、“そういうのあるんだ”という感じで評判になって、いろいろな劇場に呼んでもらったという感じです。

――改めて、「漫才至上主義」は皆さんにとってどんなライブなんでしょうか。

シシガシラ・浜中　M-1準々決勝止まりだった東京・大阪の4組が集まって、M-1優勝を目指して頑張っていこうと始まりました。東京・大阪で交互開催だったので、隔月で大阪へ行かせてもらって、大阪のお客さんに見てもらって、反応をもらって、漫才を仕上げていけるというのは大きかったです。ネタを作るうえで幅が広がる、いいライブでした。

脇田　それまでほぼ東京のライブにしか出ていなかったのですが、「漫才至上主義」をきっかけに大阪のライブにも出させてもらえるようになりました。大阪を経験できる貴重なライブですね。

マネージャーさんが立ち上げてくれたライブなので、仲がいいメンバーで始まったわけではなくて、イチから関係性を築いていくライブでもありました。だから、かなり思い出深いというか、ライブをきっかけに同じ目標を持つ芸人が集まったので、“チーム感”が強かったですね。

黒帯・てらうち　“いちばんウケたいライブ“です。いろんなライブに出ているんですけど、「漫才至上主義」があるから、みたいなネタもするし、ここでウケるかをずっと気にしてやっていました。生活のメインという感じです。

黒帯・大西　東京でやらせてもらえるきっかけになったライブなので、だいぶ間口が広がりました。東京を意識してネタができるようになったし、いつもいいネタをかけていたので、すごく実力を試せるライブですね。

宗安「自分たちの身になるライブ」

――やはり、東京でも大阪でもやるというのが、皆さんにとっては大きいんですね。

脇田　そうですね。（ネタを）東京でたたいて、大阪に持っていって、そこで初見で見てもらえるというのは大きいです。

チェリー大作戦・宗安　普通のライブと違うのは、僕らの中ではテストというか、“ここで試したい”と思えるライブでもあるんです。お客さんの層もよくて、面白くなかったら笑わないし、面白かったら笑ってくれる。だから、ネタをすごく試せるし、自分たちの身になるライブだと思います。

チェリー大作戦・ねんど　僕らはいちばん後輩なので、必死に兄さんらについていっているライブです。必死です。なかなか差が詰まりません。

――実際に、「漫才至上主義」が始まってから、ダイヤモンドとシシガシラが決勝進出を果たしました。

脇田　結果が出たら、次の年も“契約更新”してもらえるというか、それがないとこっちから続けさせてくださいとなかなか言えないので、まずは誰かが（M-1決勝に）行けるように頑張ろうという感じでした。

――各地でのゲストの顔ぶれも、皆さんの本気ぶりが伺えます。

脇田　僕と大西とマネージャーでグループラインを作っていて、そこで相談して決めました。出てほしい人をピックアップしていって、スケジュールを確認してもらって。

――希望は叶いましたか？

脇田　かなり叶いました！

“人気ない芸人”から抜け出したい

――「漫才至上主義」には、“M-1で結果を残す”という大きな目的があります。改めて、「M-1グランプリ」に対するいまの思いを聞かせてください。

浜中　僕らはいちばん先輩ですけど、結成が遅かったので、あと8、9回くらい出られるんです。でも、ラストイヤーまで残ってしまうと50歳と53歳になっちゃう。抜ける方法は優勝しかないので、早めに優勝したいです。

脇田　M-1で結果を残して、次の年の仕事をいただける感じがするので、本当にM-1次第だなという感じがしますね。

宗安　僕らは、準決勝以上は上がったことがないので、まずはその壁があるんですけど、今年こそ決勝を目指すために、この全国ツアーがあるのはいいなと思います。黒帯さんはラストイヤーなので、一緒に決勝にいけたら最高ですし、欲を言えば全員一緒にいきたいですよね。今年がそのタイミングやと思って、いつも本気でやっているつもりですけど、全国ツアーに向けて改めて気合を入れ直して、ネタを磨きたいです。まずは準決勝、そして決勝進出を狙います。

ねんど　一気に人生を変えるのはM-1しかないと思っています。この間、黒帯さん主催のライブで、僕らが“大阪で2番目に人気ない芸人”という言い方をされたので、M-1で決勝にいったら、さすがにちょっと変われるかなと思うので。

大西　3番目にはなるかもな。

ねんど　じゃぁ、ええわ！

大西　（決勝進出によって）2位を維持できる。

宗安　このままでは（ワースト）1位になんねん。夢ない。

浜中　ちなみに（ワースト）1位は？

てらうち　セルライトスパ（肥後裕之、大須賀健剛）さんでした

一同　（笑）

宗安　それ聞いたらリアルやな。

ねんど　あんなおもろいのに。

大西　でも、セルライトスパさんはおふたりとも既婚者なので、チェリーが実質（ワースト）1位かもしれない。

ねんど　“人気ない”ランキングじゃなくて、“人気ある”ランキングのほうにいってみたいです（笑）。

大西「あとほしいのは“結果”だけ」

てらうち　とにかく、結果がほしいはほしいです。ただ、これは運とかもあって、僕たちの力だけじゃダメなこともあるので、後悔がないようにこのライブで頑張ってやっていけたらと思います。

大西　（最近は）バイトも辞められましたし、ゴハンも選んで好きなものを食べられるようになったので、あとは結果くらいしかほしいものはないです。結果だけついてきたら……。

てらうち　気持ちいい人生でいられますね。

大西　無理だったら腑抜けみたいな人生になる可能性もありますね。

――ちなみに「THE SECOND」が始まったので、目標の幅を広げて「漫才至上主義」を続ける選択肢はなかったのでしょうか？

大西　ダイヤモンドがいて（4組で）やったので、今回は特別というか、僕らのラストイヤーに付き合ってもらっているような感じです。本来は、（ダイヤモンドの解散で）終わっていてもよかったかなと思いますね。誰か違うコンビを入れるとか、そういう考えもなかったです。

――黒帯の2人はYouTubeチャンネル『黒帯会議』で、先日の「THE SECOND」で優勝したツートライブ（たかのり、周平魂）への思いも語っていました。

てらうち　複雑は複雑でした。すごく近くて、めちゃくちゃ嬉しいけど寂しい気持ちもあるし……。僕らも（ツートライブに）続けるようにM-1で優勝するのが、大阪のお客さんにとっては最高やと思うんです。「すごい年やったな」となると思うので、そうなれたら嬉しいですね。

大西　本当に面白い人たちが結果出しちゃったので、ちょっと焦ってますね。面白いことをやっていても、「ツートライブさんだって結果が出ていないから」というので、いままではちょっと言い訳ができたんですけど、もうほんまに面白いことせなあかんやんっていう……。焦りにもなりましたけど、結果、自分にはプラスなんかなと。もっとオモロくなりたいなと思いました。

脇田「最後にもう一度、目に焼き付けてもらえたら」

――最後に、改めて最終章となる「漫才至上主義」の見どころや意気込みをお願いします。

浜中　今年は全国6カ所をまわります。いままでは、地方から来てくださっている人もいましたが、今年は僕らが行って、このユニットも今回が最後なので、みんなでワイワイ楽しくやっているところを見てほしいですね。

脇田　1回でも観に来てくれた方、かかわってくれた方に、最後にもう一度、目に焼き付けてもらえたらと思います。公演数も多めにやらせてもらうので、最後まで楽しみましょう！

宗安　ふつうの漫才師、ベタな漫才師がいない変わったユニットだと思います。3組でぜんぜん違う色の漫才をするので、そこを楽しめるライブはたぶんここだけです。もちろん、全組面白いってなると思いますけど、そうでなくても誰かはハマると思うので、ぜひ観に来てほしいです。

ねんど　この3組の組み合わせでライブができるのは最後になると思いますので、僕たちも悔いが残らないようにやりますし、お客さんも「あのときに観に行ってたらよかった」と思わないようにしてほしいです。今後、さらに価値を高めていくと、チケット料金も上がっちゃうので、こんな安い料金で僕たち3組が見られるのは最後やと思います。後悔しないように観に来てください！

てらうち　M-1ラストイヤー、僕らの人生を見ていただけたらと思います！

大西　最近のM-1は、若い子たちが決勝にもぐいぐい来ているんですけど、僕らベテラン勢で盛り上げたい。人間の厚みで、長く生きたやつの面白さで、若い子に負けずに戦えたらと思います。そこを頑張っている姿を観に来てほしいですね。