現在、ニューヨークを拠点に活動している渡辺直美が、日本で13年ぶりの単独公演を開催します。題して、『渡辺直美コントライブ』。6月18日(水)から22日(日)までの5日間、東京・IMM THEATERで全6公演が行われます。会場チケットは即完売となり、急きょ、配信チケットが販売されるという人気ぶり。今回は一時帰国中の彼女に、アメリカでの生活やそこで得た気づき、そして今回のライブにかける思いとお笑いへの情熱について、たっぷりと語ってもらいました。

公演では、東京を代表する構成作家のオークラを演出に迎え、直美自身がすべてイチからネタを書いた新作コントを披露。アメリカでひと回りもふた回りも成長を遂げた「世界のNaomi Watanabe」が、日本のファンのために、ここでしか観られない笑いを届けます。
アメリカでは自分が動かなければ何も始まらない
――いまのアメリカでの暮らしについて教えてください。
まずは、「明るく元気に生きてます!」って伝えたいですね(笑)。SNSやYouTubeで日々のことは発信しているんですが、それでも「いまなにしてるの?」っていう声は、たまにエゴサーチで目にします。意外と本気で怒ってる人もいたりして、「ちゃんとやってるの?」みたいな(笑)。でも、けっこう忙しくさせてもらってます。
去年は、授賞式での英語スピーチや、英語での1時間スタンダップコメディも挑戦しました。今年に入ってからは一緒に動くチームも大きくなったので、彼らと英語でやり取りしながら、10個くらいのクリエイティブなプロジェクトを同時に進めています。
――大変そうですね! 仕事の進め方も、日本とアメリカでは違いますか?
ぜんぜん違いますね。日本だと、ある程度スタッフの方々が動いてくださることが多いんですが、アメリカでは、まず自分が動かないと始まらない。ライブひとつやるにしても、どんな会場で、キャパはどれくらいで、チケット代はいくらにするか、自分で判断しなきゃいけない。ビジュアル撮影も同じで、「どういう世界観にする?」「ネイルの色は?」「髪型は?」っていうのも、全部ゼロから自分で考えるんです。しかも、チームとのやり取りは全部英語。日々、いろいろな人と英語でミーティングして、脳をフル回転させてます。

──聞いているだけで目が回りそうです。
正直、2月、3月はあまりのタスクの多さにテンパリすぎて、日本のマネージャーさんに「もうLINEしないでください」って連絡しました(笑)。自分が何かを生み出すクリエイティブ活動が多すぎて、白髪も増えるし、思考も停止するし、かなり追い詰められましたね。
──その状況を、どのように乗り越えたのですか?
不思議なもので、5月になったころには、同じ量の仕事でも落ち着いてこなせるようになっていたんです。要はキャパが大きくなったんですよね。人間にとって経験がどれだけ大事なのかを感じました。筋トレと一緒ですけど、挑戦し続けることで、人間ってどんどん成長できるんだなって。
私の人生を否定できる人は1人もいない
――多忙な日々の中で、成長を感じているんですね。
自分で言うのもなんですけど、すごく成長していると思います。未知の世界で、刺激的な毎日を過ごすことで、人として大きくなったと感じる。タスクの量もそうだし、いきなり知っている人が1人もいない舞台に「Naomi Watanabe!」って呼ばれて、スピーチするんですから、本当にありがたい経験ができています。
あと、こんな経験って、私にしかできないから「私の人生を否定できる人なんて1人もいないよな」と思ったんですよ。いままで挑戦しても、失敗したらどうしようと思っていたんですけど、失敗しても成功しても、その先にあるのは“自分にしかない人生”なんですよね。……You know?(笑)

――カッコいいですね!(笑)
いや、失敗ばっかりなんですけどね!(笑) 私にしかできない人生の経験って、挑戦した先に見えるんだなって思ったし、逆に他の人の人生は私が経験していないから否定なんてできないってことにも気づきました。
だから、いままた挑戦の意欲が湧いてきているんです。挑戦したほうが新しい私と出会えますから。
観る人の年代によって感じ方が変わるライブになる
──13年ぶりのコントライブも、その“挑戦”のひとつですね。
まさにそうです。そもそも私が芸人になりたかった理由は、「コントをやりたかったから」なんですよ。NSC(吉本総合芸能学院)時代に漫才もやりましたけど、すぐに「これは私に向いてない」って気づいて、そこからコントで演じることの楽しさに惹かれていきました。それからずっとコントをやってきて、アメリカに行ったのもコントの延長のコメディ映画に出たいという思いがあったからなんです。
──どんなコントライブになりそうですか?
8本ぐらいのネタをやる予定ですが、いまの私ができるライブを届けたいと思います。私にとっては挑戦ですけど、観ている皆さんにとっては、ただただ楽しい1日になってほしい。嫌な気持ちにならずに、「来てよかったな」「ああ笑ったな」という1日になるようにネタづくりは心がけています。
――ネタはほとんど完成しているんですか?
私の頭の中ではできています。やりたいネタのアイデアがありすぎて、逆に「ちょっと削って」って言われているくらいですけど(笑)。でも10代、20代、そしていまの私、すべての経験を詰め込んだ内容になっていると思うし、観る人も年代によって感じ方が変わるライブになるんじゃないかな。ジブリの『となりのトトロ』みたいな感じ。ハードルを上げてますけど(笑)。

――オークラさんの演出とのケミストリーも楽しみですね。
そうなんですよ。オークラさんって、本当にコントのど真ん中の、しゃべくり系のコントの演出をしてきた方なんです。私はどちらかというと志村けんさんみたいな、キャラに入ってファンタジーな世界観のコントが多いので、それがどうなるかドキドキだったんですけど、この前のミーティングでは会議室がどよめいた瞬間がありました。「えっ、こんな感じの演出になるんだ!?」ってなったので、私もすごく楽しみです。また、ハードルを上げてますけど(笑)。
大人になった自分がどんなコントをつくるのか見てみたい
――楽しみです! 最後にアメリカでの経験を経て、いまの直美さんが感じる、お笑いの魅力を教えてください。
お笑いって世界共通で、やっぱりいちばんみんなが求めているものだと思うんです。日常にもあふれているし。
それとお笑いをつくる人たちって、言語は関係なく、心で繋がれるんですよね。台湾で芸人さんと話したときもすごく気がラクで、懐かしい気持ちになったし。アメリカでもそう。お笑いをつくる人同士って見ている視点が一緒で、すぐに笑い合えるんですよ。
だからお笑いって、世界をひとつにしてくれるものなんだなと、あらためて海外に行って感じましたね。

――日本にいるときよりも、お笑いに対する意欲が高まっていますか?
そうですね。不思議なんですけど、ファッションの仕事をやったり、モデルや演技の仕事をしたり、いろいろな体験を経て、やっぱり「お笑いをやりたい」となったのかもしれないですね。「私、本当にお笑いが好きじゃん!」みたいな。アメリカに行ってから、もっとダイレクトにそう思うようになりました。
なので37歳にして、また新しいお笑いへの挑戦です。13年前の私が最後につくったコントから、いま大人になった自分がどんなコントをつくれるのか。それを見たくて、今回のコントライブをやるのかもしれないですね。

取材・文:前多勇太
公演概要
『渡辺直美コントライブ』
【公演スケジュール】
6月18日(水)19:00開演
6月19日(木)19:00開演
6月20日(金)19:00開演
6月21日(土)15:00開演/19:00開演 ※2公演
6月22日(日)15:00開演
会場:IMM THEATER
(文京区後楽1丁目3-53)
料金:普通指定席 前売9,000円
出演|渡辺直美
演出|オークラ
構成|今井太郎、谷口マサヒト、斉川宜希
舞台監督|金安凌平
舞台美術|小林奈月
照明|萩原賢一郎(アルティプラノ)
音響|佐藤こうじ(シュガーサウンド)
映像操作|田耕充修(インターナショナルクリエイティブ)
映像|住田崇
ビジュアル|吉田ユニ
制作| 片山勝三(SLUSH-PILE.)
アシスタントプロデューサー|北澤未来、杉本蒼李
プロデューサー|上田浩平、東浦尚美、加藤稚菜、五味渕英
製作・著作|吉本興業株式会社
株式会社LIVE FORWARD
※会場チケットは完売
<配信チケット情報>
配信日時:6月21日(土)19:00~20:30
配信チケット販売期間:6月28日(土)12:00まで
見逃し視聴配信期間:配信終了2時間後~6月28日(土)23:59
※見逃し視聴:配信期間中でお好きなタイミングで開始~プレミアムメンバー72時間、IDメンバー24時間
配信チケット料金:通常価格 4,000円/『NAOMI CITY』会員特別価格 3,000円
※演出の都合上、今後会場チケットにて見切れ席を含む座席を開放する可能性がございます。
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YouTubeチャンネル概要
渡辺直美公式 YouTube チャンネル「NAOMI CLUB」
内容:ご飯を食べながらの生配信や、ツアー密着動画などを公開中
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