コットンが法務省「再犯防止啓発月間」動画に出演して学んだこととは? 西村「これは背筋を伸ばして向き合わなきゃいけない」

7月に実施される法務省の「再犯防止啓発月間」の広報・啓発動画とポスター企画に、お笑いコンビのコットン(西村真二、きょん)が登場します。吉本興業東京本部で行われた動画の撮影には、西村、きょんに加え、これまでに800人以上の社会復帰を支援してきた「NPO法人くらし応援ネットワークLiv LABO−生きとしくらしラボ−」のLABO長、伊豆丸剛史さんが登場。コットンの2人は、伊豆丸さんから再犯防止の取り組みや、社会に戻ろうとする人たちの現実や社会の課題を教えてもらいました。今回は、動画撮影後のコットンにインタビュー! 収録を通して感じたことや、罪を犯した後に社会復帰を目指す人たちに対して「お笑い芸人としてできること」などを語ってもらいました。

出典: FANY マガジン
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きょん「参加させていただいてよかった」

法務省では、再犯防止への関心と理解を深めることを目的に、毎年7月を「再犯防止啓発月間」と定めています。この期間中は、さまざまな広報・啓発活動が重点的に行われており、今年の動画&ポスター企画にコットンの2人が起用されました。

収録では、ときおりコットンらしい笑いを交えながらも、真剣な眼差しで学んだ2人。罪を犯した背景にある“生きづらさ”や、新たな被害者を生まない「安全・安心な社会」の実現のための課題について、伊豆丸さんの言葉に耳を傾けていました。

出典: FANY マガジン
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──収録お疲れさまでした。出演した感想を教えてください。

西村 最初はもっとライトな内容かと思っていたんですよ。でも台本の1行目を見て、「これは背筋を伸ばして向き合わなきゃいけない」と感じました。きょんさんも同じだったよね?

きょん そうですね。法務省さんのお仕事は何度かかかわらせていただいたことがあるんですが、今回は特に内容がぐっと重くて……。伊豆丸さんが本当に真剣に向き合ってお話ししてくださって、「僕たちにもできることがあるのかも」と途中から思いました。

──伊豆丸さんにはどんな印象を持ちましたか?

西村 社会復帰支援を行っている方に実際に会ったのは初めてでした。ドキュメンタリー番組などで見たことはあっても、やはり直接お話を聞くと重みがまったく違いましたね。特に、高齢者や障害を抱えた方など、本来なら福祉を受ける立場の人たちが刑務所にいるという現実は、大きな気づきでした。

きょん そういう方々の社会復帰には、周囲の支援や理解が必要なんだと本当に感じました。僕自身もネタで失敗したり、好きだった彼女に振られたりして、1人では立ち直れなかった経験がたくさんあります。社会復帰する人を1人にしない、伊豆丸さんのような存在って、すごく大きいし、究極の優しさだと思いました。

西村 きょんさんの失恋話、いまいる?(笑)

きょん すみません。立ち上がれなかった例を考えたら、そのたとえになっちゃった……(笑)。でも、支援してくれる人がいるって、本当に大切なことだと思います。

出典: FANY マガジン
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──伊豆丸さんのお話では、罪を犯してしまう人の多くが、なんらかの“生きづらさ”を抱えているということでした。

きょん そうですね。「前科がある」と聞くと、やっぱりどうしても怖いって思う。でも、その背景にある生きづらさや、そうならざるを得なかった環境に目を向けると、見え方が変わることもあるんじゃないかと思います。むっずかしいですけどね。

西村 今回のテーマは「犯罪者の社会復帰」でしたが、日常生活のなかでも、似たような「想像と現実の乖離」ってたくさんあると思うんです。自分の考えているその人とと、本当のその人は違うかもしれない。だからこそ、もっと想像力を持って人と接することが大切だと、あらためて感じました。僕もこの動画に出演させていただいて、すごく良いきっかけを与えてもらったと思います。

きょん 本当に! 参加させていただいてよかったです。

出典: FANY マガジン
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西村「老若男女関係なく見てほしい」

──生きづらさを抱える人たちに、「お笑い」を通してできることはありますか?

きょん 僕たちが誰かの生活を直接支援したり、心が豊かになるまでサポートするのは正直、難しいと思います。だけど、たとえば僕らの単独ライブに来ていただいて、90分笑ってもらえて、「明日からも頑張ろう」と思ってもらえたらって。お笑いで力になれたらいいなとは思いますね。

西村 まじめな話、笑いって必需品ではないし、僕らみたいなもんが、誰かの生きづらさを解消できるとは思わないんです。だけど、どんなに生きづらさを感じていても、24時間のなかで心を休める時間はきっとあるだろうし、その一瞬をつくれることはあると思うんですね。たまたまつけたテレビで僕らがバカをやってて、「ああ、こんなくだらない奴らがいるんだな」って笑ってもらえたら、少しラクになるかもしれない。そんな瞬間をつくれたらと思います。

きょん 本当にそうだね!

西村 それと、こういう動画に出て、伊豆丸さんのような方の取り組みを伝えるお手伝いを少しでもできたらと思います。そして、さまざまな社会の“生きづらさ”を解消するために、みんなが考えるきっかけをつくることも、僕らの役割なのかなと思います。

出典: FANY マガジン
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──最後に、この動画を見る人たちへメッセージをお願いします!

きょん 犯罪者の社会復帰支援は、自分には関係ないことのように思えますが、身近な例で考えたら、わかりやすいかもしれません。たとえば学校の中に不良の生徒がいて、「あいつは悪いやつだから近寄らないようにしよう」と思う。でも、見方を変えたら「生きづらさがあって、そんな立ち振る舞いをしてるんだな」とわかるかもしれません。そういう気づきも得られるかもしれないので、この動画は本当に老若男女関係なく見てほしいです。

西村 この動画をきっかけに社会復帰支援の実態について知り、まったく知らなかった「0」から「1」になる。それが、すごく大切なことだと思います。「0」が「1」になれば、そこから「2」「3」と理解を進めていくことができると思っています。重いテーマですが、僕ら芸人がかかわることで、少しでもライトな気持ちで見ていただけたらうれしいです。優しい社会の実現のために、僕らもこれからも一緒に学んでいきます!

出典: FANY マガジン
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▼7月は「再犯防止啓発月間」です。
法務省ホームページ(https://www.moj.go.jp/hisho/seisakuhyouka/hisho04_00051.html

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