ヒューマン中村「上京して衝撃を受けて、迷って…」東京での初単独ライブは「これが最後のつもりで全部出す!」

昨年6月から東京を拠点に活動しているヒューマン中村が、8月9日（土）に千葉・よしもと幕張イオンモール劇場で単独ライブ『夏のゆうわく』を開催します。2024年1月に大阪・なんばグランド花月で開催した「ヒューマン中村20周年単独ライブ『大事』」以来、しかも東京では初となる単独ライブです。R-1グランプリ決勝に6回出場、芸歴23年目を迎えたピン芸のスペシャリストが「いまの全部をつぎ込む！」と語る今回の公演について聞きました！

東京は甘くはなかった

──約1年半ぶりの単独ライブは、よしもと幕張イオンモール劇場での開催ですね。

僕、上京してからよしもと幕張イオンモール劇場にたくさん出させてもらってるんですよ。もとをたどれば、ガクテンソクがめちゃくちゃ幕張に出てたんですね。で、大宮ラクーンよしもと劇場を代表する芸人ユニット「大宮セブン」に対抗して幕張を代表する「幕張ワン」を主張してて。

そしたら『THE SECOND』で優勝して。その翌月に僕が上京したので、ガクテンソクから幕張ワンのバトンを受け取ったんです。ただ、当時の支配人が異動したこともあって、幕張ワンとしての存在感は薄くはなっていたんですが……（笑）。まあそれでも、幕張ワンとして1年経ったこともあって、単独ライブをすることになりました。

──ちょうど上京して1年ですね。振り返ってみてどうでしたか？

正直、甘くはなかったですね。大阪にいたころは、まわりから「東京には大阪にない仕事がいっぱいあるよ」と言われてたんです。でも来てみてわかったのは、その仕事ってもう誰かがやってるんですよ。それと、大阪ってみんなネタやって、ロケ行って、MCやってって全部やるんです。でも東京にはスペシャリストがいっぱいいる。MCだけする人とか、「この仕事ならこの人」という感じ。だから僕も自分が何者なのか、何ができるのか迷う1年でした。

いちばんいいネタを持っていきたい！

──いまのところ、「自分が何者か」という問いにはどんな答えが出ていますか？

まだ迷ってる真っ最中です。R-1ではフリップネタで出てきたこともあって、その印象が強いかもしれません。でも自分としてはフリップネタだけじゃなくて、一人コントや漫談など、いろんなことに挑戦してきた。そのせいで逆に「俺って何の人やったっけ？」と思ってしまった面もあります。どこに行っても上位互換がいるというか。東京って、そういうことを探し終わって、突き詰めてるピン芸人の人がめっちゃいるんですよ。

──とくに衝撃を受けたのは誰ですか？

めちゃくちゃいますけど……吉住さんですかね。僕も大阪で単独ライブを重ねて、自分なりにそこそこできてるつもりでいたんです。でも吉住さんの単独ライブを観たら、台本から表現力から構成から、全部が突き抜けててすごすぎた。それもあって、しばらく単独ができなかったというのもあります。

──今年の『R-1グランプリ』はどうご覧になりましたか？

友田オレさんが優勝したのを見て、もう自分の考えているR-1の攻略法が完全に型遅れやなと思いました。自分は昔の攻略本を読み続けてたけど、実際はアップデートされまくってる。だからこそ改めてネタと向き合って、単独でいろんなことをやって、いちばんいいネタを持っていきたいと思います。

R-1で優勝できるようなネタを見せたい！

──そんな衝撃を受けて、今回の単独はどんな公演になりそうでしょうか？

大阪で単独ライブを重ねていたころのように演出に凝った、完成度の高いものにしたいですね。幕間の映像にも凝りたいし、もちろんR-1で優勝できるようなネタも見せられたらと思っています。いまのところはフリップネタ、一人コント、漫談と、これまでやってきたいろんなものをやるつもりです。

自分が何者なのか、何が向いているのか迷っている、いまだからこそ、いまのベストを出し切りたい。次の単独がいつになるかわからないくらい全部出そうと思います。これで最後でも悔いがないくらいのものにします。

──上京1年のいまだからこその単独ライブになりそうですね。

そうですね。上京して衝撃を受けて、迷って。今回の単独ライブの集客がよくなかったら当然、単独は続けられないですし、41歳という年齢からして、どうなるかもわからない。この1年はネタに向き合うつもりですけど、結果、もしかしたらネタを諦めることになるかもしれない。もっといえば芸人自体を辞める可能性だってゼロではない。

でも、それも含めていまは、東京に来てよかったなと思います。大阪にいたらこんな衝撃は受けなかったし、こんな気持ちにもなれなかったと思うので……。すいません、シリアスになってしまいましたけど、いまの全部を詰め込んだ単独にしますので、ぜひ来てください！