ツーナッカン(中本幸一・中山逸紀)が、6月19日(木)に東京・ブルースクエア四谷でネタライブ『今年はお台場で漫才できました!‥でも、来年こそは勝ちたいんや!』とトークライブ『お題 BA-トーク』を開催します。このライブは、ザ・パンチ、虹の黄昏、カラタチ、ネコニスズといった事務所の垣根を超えたメンバーを迎え、主に『THE SECOND』に向けた対策ライブとして位置づけられています。今回は、ツーナッカンの二人にライブへの意気込みを詳しく聞きました。

自分らで出演者を選ぶと楽なメンバーを選んじゃう
――ネタライブ『今年はお台場で漫才できました!‥でも、来年こそは勝ちたいんや!』が6月19日(木)にブルースクエア四谷で行われます。このライブのような、『THE SECOND』に向けての対策ライブはずっとやられてたんですよね?
中本 そうですね、初年度の『THE SECOND』はまだ僕らも周りも、正直どんな大会か分からずに出たんです、対策なんかせずに。あるから出ましょうか、くらいのノリだった。そしたら、ベスト 32 に残って。そこからはじまったライブです。
中山 初年度の2023はベスト32で三日月マンハッタンに負けたんですよ、で、次の年は32にも残れなかった。
中本 34位やったみたいですけどね、奇跡の34位。
中山 なんや、奇跡の34位って。それで、その時のマネージャーさんが、“じゃあ来年はお台場で漫才できるように対策のライブしましょうよ”って言ってくれてはじまった感じです。
中本 今年は32に残ることができたんで、お台場で漫才はできたんですけど、やっぱり勝ちたいんでね、来年も『THE SECOND』があるだろう、あってくれよ!という希望も込みのライブです。
――メンバーも、ザ・パンチ、虹の黄昏、カラタチ、ネコニスズ、という、『THE SECOND』メンバーもいれば、『M-1』の出場権があるコンビもいるという、バラエティに富んだメンバーです。
中山 これは、今のマネージャーの森田さんが決めたんですよ。
中本 そうそう、森田はお笑いが好きやし、こういう時に自分らで出演者を選ぶと、正直楽なメンバーを選んで、偏っちゃうんですよ、マウントを取れたほうが楽やから。でも、それをしてるとライブをやる意味がない。ザ・パンチ、虹の黄昏、カラタチ、ネコニスズって、先輩も後輩もおるけど、すごいメンバーですよね。芸人として独り立ちしてるメンバーと一緒にライブをやることで、ツーナッカンが苦しむって構図になればいいなと思います。
――先ほど、中本さんが自分で選んでたら楽なメンバーを選んじゃうっておっしゃってましたが、どんなメンバーを選ぶんですか?
中本 今はもうネタをやってなくて、YouTubeとかで活躍してるけど、クロヤナギコウジとか、あとバンジージャンプとか、パタパタママの木下さんとか……。
中山 さすがに通らんて、そんなメンバーやったら!
――(笑)木下さんに至っては職場の上司ですもんね。
中本 これが通ったところで俺が楽しいだけなんすけど、やっぱ『THE SECOND』に向けて、という所でね。このメンバーとライブをやるってのは緊張感がありますよ。
中山 たしかに。
中本 心底楽しみですけど、心底嫌だなって思います。だって俺らが主催なのに、この中で俺らが一番スベる可能性が大、そんなの恥ずかしいよ!
中山 でも、それだけ気を引き締めてやりましょう、ってことだよ。
『THE SECOND』がはじまるまで芸人として死んでた

――先ほどもお名前が出ましたが、『THE SECOND』の初年度、32→16で負けた三日月マンハッタンさんとは、その後も交流が続いてますよね?
中本 そうなんですよ、正直、それまで名前は知ってるけど会った事はなかった。それは向こうも同じだったみたいで、対戦が決まった段階で、三日月マンハッタンの仲嶺ってやつは、めちゃくちゃ分析とか考察が好きな奴やから、“ツーナッカンってどんなやつなんだ?”って思って調べたら、ツーナッカンのネタ、全然ネットにないやん!ってなったらしくて、当時無限大(ヨシモト∞ホール/ドーム)までお客さんとして俺らのネタ見に来たみたい。そこから、三日月マンハッタンと2マンライブをやったりとか、LLRを含めて3マンはじめたりとか、『THE SECOND』が繋いでくれた縁ですね。

――三日月マンハッタンさんは松竹芸能ですよね、『THE SECOND』がはじまるまで、ツーナッカンさんってこうして他事務所の方と交流することってあったんですか?
中本 いや、なかったですね。だって埋もれてたもん。正直、『THE SECOND』の初年度で32に残るまでは、コンビとして死んでたと思うよ、全然笑ってなかったもん、お客さんも自分たちも。
中山 マジで3ヶ月に1回とかですよ、コンビでネタするの。
――これはお聞きしたかった事なんですが、ツーナッカンとしての『M-1』は2015年で出場資格を失いました。では、そこから『THE SECOND』がはじまった2023年まで、ツーナッカンさんはどうして芸人を続けられていたんですか?
中本 これはね、2015年に『M-1』が終わりました、そこで“ああ、終わったんやな”と。ちょっと脱力したんですけど、ツーナッカンとしてやめずにいたら、2018年から吉本が、いわゆるおじさん芸人のランキングバトル(「CHANGE」)をはじめてくれたんです。無限大(ヨシモト∞ホール/ドーム)を卒業した芸人に向けて。でもそれもやがてなくなって、気づいたら出る場所がなくなってた。
中山 そうそう。
中本 そこで、じゃあどうする?ってなったときに、吉本が“今、若手がメインでやってるランキングバトルには出てもいいよ”ってなったんです。ここで、『M-1』の出場資格がないおじさん芸人は二手に分かれたんです、そのランキングバトルに1年目とか2年目に混じって挑戦するのと、副業とかYouTubeで頑張っていく人。
中山 まあ、俺等がやってるバイトも副業みたいなもんやけど。
中本 そうやな。だから俺らは、ネタで勝負する!とかカッコいい気持ちじゃなく“俺らは、副業をもっと大きくしたり、YouTubeに力をいれる方法を知らんから、ランキングバトルに出よう”ってなったんです。1年目とか2年目の若手に混じって、チケットを買い取って、ランキングバトル出て、っていう。

中山 勝ち上がって、勝ち上がって、次入れ替え戦を勝ち上がったら無限大(ヨシモト∞ホール/ドーム)の1個上のライブに出れる、ってところで負けて、また勝ち上がって、それを繰り返してました。
中本 そうこうしているうちに、コロナがはじまって、『THE SECOND』がスタートする2023年までずっと、勝っては負けて、勝っては負けて、を繰り返してましたね。
――素晴らしいですね。こんな事言うと偉そうですけど、2023の『THE SECOND』でほぼノーマークの中、32組に残れたのは、絶対にその経験のおかげですよね。
中山 そうやと思います。
中本 そうやろな、でも今逆にそう思わんかったらやってられんくらいしんどかったですね。周りの似たような芸歴の芸人は出てなかったもん。そりゃそうですよ、お客さんも若い芸人目当ての人の中、審査する作家とかもめっちゃ後輩で、先輩なんて数組しかおらん、そんな環境でずっとネタやっとったから。
――もうランキングバトル出るのやめようよ、とはならなかったんですか?
中本 いや、ならんでしょ。
中山 そこをもしやらんかったら芸人やってる意味ないでしょ。
中本 ネタ以外にも器用になにか別の活動をする事で、芸人という職業を保ってられるなら、出ないって選択肢もあるけど、ただただ売れてない芸人が、コンビの活動もせずに、ランキングバトルも出ないって意味わからん過ぎますって。
中山 どっかでしんどなったらコンビを解散して、お笑い自体やめたらいいわ、って気持ちもあったかもしれない。
中本 でも、コンビをやってる以上は、ネタができる場があるなら出ないとアカン。だって俺、未だにYouTubeとか誰がどうやって撮って、どうやって流してるのか意味わからんもん。
――そこでネタを作り続けたのが、2023年に繋がったんですね。
中本 って言えたらカッコいいんですけど、結構ネタは使いまわしたりしてた(笑)。だから、4~5年をギュッと固めたら、良い6分ネタができて、それで2023年は選考会を勝ち上がることができた。でもそれで使い果たしちゃったから、ライブをやろう、その気持ちが強いですね。
運営に少しでも前進した姿を見せたかった

――今年のノックアウトステージのネタも素晴らしかったです。やっぱり、さっきみたいに若手に混じってネタを作った経験があったら、どうしてもそこの空気にネタを合わせていきがちだと思うんですよ。手っ取り早くウケるし。でも、ツーナッカンさんはこの芸歴じゃないとできない漫才をやってる、そこがカッコいいなって。
中本 ありがとうございます。でもね、本当は合わせたいよ。
中山 (笑)。そうね、合わせられん。
中本 今で言ったら、渋谷よしもと漫才劇場に所属してるんだから、そこに来るお客さんに合わせたいよ。でも、ツーナッカンの歴史、俺の脳みその歴史で、若い頃からバッチバチの芸人と横並びでやってきて、合わせらんないんですよ。あと、やっぱり合わせようとすると、人のマネになっちゃうし。そりゃね、おじさんが出てきて、なんかシステムでもない、話芸だけで笑わそうとしてきたら“なんでここ出てくんねん”って思う若いお客さんの気持ちもよく分かるよ。でも、人と違うことするのが俺らの仕事だから!
――カッコいい。
中本 なにもカッコいい事なんかあるか! 今日もズルッズルにスベってきたわ!
中山 あはははは!(笑) ウケんかったな~今日。
――『THE SECOND』に話を戻すと、2023年は32に残り、2024年は32に残れなかった、そして今年返り咲いたわけですが、どこか意識的に取り組んだこと、変えたことはあるんですか?
中本 そうですね、お笑いを好きな人に“ああ、ツーナッカン知ってるよ、最近おもしろいよね、頑張ってるよね”って思われるような1年の動きをしよう、ってことは意識しましたね。やっぱり、知らない人より知ってる人のほうがウケるんですよ。そうなった時に、吉本の劇場だけじゃなく、外の劇場にも積極的に出ていって、とにかくネタやった結果が32に残れたんで、じゃあ来年どうするかって話なんですけど。

――こんな事恐れ多くて言えないですけど、今年も組み合わせ次第だったのではないかと思っちゃいました。
中本 俺からはなにも言えないから、そこ上手いこと書いておいて!
中山 いやらしい事言うなよ
中本 でもね、正直に言うと、今年は32から16に残りたかった。少しでも前進した姿を見せないと、『THE SECOND』の運営側の期待を超えていかないから。だからこそ『THE SECOND』は年々盛り上がっているんだと思うんですけど。今年日置さんのインタビューを見て、「昨年の金属に勝ってるか」を基準として選んでるって聞いて、自分が抱いている危機感は間違ってなかったなと思うよ。ホンマは優勝する!とか言わんといけんと思うんやけど、少しでも“お、ツーナッカン1年頑張ってきたな”と思わせないと。
中山 それは本当にそう。
中本 ほんとはね、気持ちとしては“1年間欠場してネタを貯めたい”って思いはありますよ、でも、それが許されるのは売れてる人だけやから。俺らが“ネタをストックしたいんで、来年1年出るの休みます”って言ったら、何値打ちこいてんの?ってなるし
中山 そもそももうそのまま忘れられちゃうかも知れない。
中本 だから出続けてネタ作るしかないんやけど。でも一個良かったのは、『THE SECOND』に出てネタ出番が増えたこと。それまでは年に10回くらいだった寄席出番が、今は月に15から20くらいはある。そこで、金属バットとか、若手を目当てに見に来た人に“ツーナッカン結構面白かったな”と思ってもらえるチャンスがあるのがいいことやなって。
囲碁将棋やタモンズなど、後輩にかわいがってもらってます
――選考会でも、囲碁将棋さんやタモンズさんがツーナッカンさん、とくに中本さんをイジりますもんね、あれを見てるのがとても好きで。
中本 本当に、囲碁将棋、タモンズには可愛がってもらって。
中山 それ先輩にいうやつや、後輩には言わん。

中本 幕張の劇場で、幕張漫才リーグってのがあるんですけど、そこでも囲碁将棋が自分たちのチームに入れてくれて。でもね、そこでほかの若手と対決するんですけど、全然勝てないんすよ! そりゃそうよ、人気ある若手と戦わんといけないんやもん。そこでも、囲碁将棋がイジる不憫だけど愛すべき先輩、みたいな事をずっとやり続けて、やっと浸透させて、やっと2勝した!
中山 2勝するまでに10回負けてるんやから。
――あはははは(笑)ちなみに、これは完全に僕の好みでお聞きするんですけど、今の若手で面白いな、注目してる芸人はいますか?
中本 いや、それこそ昔はね、それこそAGE AGE時代とかは”なんでこんな奴が人気あんねん“とか思ってたよ、自分も上手く行ってなかったし、やっかみ半分で。でも今になって思うと、人気がある事がすごいし、それは劇場に人を呼んでるわけだから。そこでいうと、今の子は、人気ある子はみんな面白い。
中山 面白くない子は会わないもんね、いるのかもしらんけど。少なくとも俺らが接する若い子は面白いよなあ。

中本 前に、ブラゴーリに“第二のツーナッカンみたいな子たちはおるん?”って聞いたら「いるわけないでしょ!」って言われて。“あんたらみたいに人間性たっぷりのネタやってるおじさんに、若い子が同じ手法で挑もうとしても、おじさんの自虐に勝てるわけないでしょ!”って言われて、まあそうか、って。例えば若手がやってるようなシステムとか設定の漫才を10分聞いても普通に面白いけど、俺らのネタ10分聞いたら嫌な気持ちになると思うんだよね。
中山 それはそうやろな、だってずっと愚痴と自虐やもんな。
――でも、それを嫌な気持ちにさせず、面白いと思わせるのがツーナッカンさんの凄いところだなって思うんですけどね。
中本 自分たちで言えないから、そこ上手いこと強調して書いておいて!
中山 やめとけよ、恥ずかしいな!
目指すは『THE SECOND』優勝とルミネの昼公演出演!

――では最後に、このライブもやっているということで、目標は「『THE SECOND』のグランプリファイナル出場、そして優勝」だと思うんですが。
中本 いやいや、優勝なんて。
中山 まずは決勝生放送に出るって所やけど。
中本 いやでも、ここで優勝とか言っとかないと決勝にもたどり着けないかもしれんしな、とりあえず目標はデカく持っておきたいよな。
――そうですね、それ以外に直近の目標はありますか?
中本 それでいうと、寄席出番をもっともらいたい。それこそ『THE SECOND』で結果を出すしかないと思うんやけど、NGK(なんばグランド花月)も前は呼んでもらってたんだけど、最近は呼ばれなくて。これ、俺なりに考察したんや。
中山 なになに?
中本 NGK出番の時は毎回ネタ変えてたんやけど、ちらっと見ただけだと俺等のネタは全部一緒に見える! ちゃんと中身は変えてるんやけど、こいつらずっと同じネタやってるな、と思われた可能性がある!
――そんな悲しい理由……(笑)
中本 あとは、芸歴25年で、ルミネtheよしもとの本出番の昼公演に出たことないのよ。このキャリアでルミネの本出番の昼公演出たことないのって俺らだけちゃうかな。
中山 たしかにないな。
中本 ルミネの本出番の夜公演とかはあるのよ、でも、昼公演はない。これはルミネの本出番に出る人って本物、って印象があるんですよね。吉本興業が胸を張ってオススメする芸人がルミネの本出番の昼公演に出ているイメージ。だから、そこに出るまでは死にきれないですね。
公演概要
①「ネタライブ「今年はお台場で漫才できました!‥でも、来年こそは勝ちたいんや!」
会場:ブルースクエア四谷
日程:6月19日(木)開場18:30 開演18:45
②トークライブ「お題BA-トーク」
会場:ブルースクエア四谷
日程:6月19日(木)開場20:15 開演20:30
<両公演共通>
※ご入場は整理番号順でのご案内となります。
※未就学児は入場不可。
※チケット料金には1ドリンク代を含みます。
※ビデオ・カメラ、または携帯電話等での録音・録画・撮影・配信禁止。
※出演者は変更になる場合がありますので予めご了承ください。尚、変更にともなう払戻は行いません。
※車いす席の販売はございません。
※視覚や聴覚等に障がいのある方で特別な配慮を必要とされる方は、ご購入前に下記のFANYチケットお問合せ窓口までお問い合わせください。
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