万博パビリオンのリサイクル活動で吉本興業に古紙リサイクル感謝状 岡本社長「人の再生は経験しておりますが、紙の再生は勉強中です」

NPO法人「持続可能な社会をつくる元気ネット」主催による「大阪・関西万博における資源循環セミナー」が7月29日(火)、東京・主婦会館プラザエフで開催され、そのなかで行われた「古紙リサイクル感謝状贈呈式」で吉本興業に感謝状が贈呈されました。東京本部での紙資源リサイクルや、開催中の大阪・関西万博パビリオンにおける資源循環の取り組みが評価されたことによるもの。贈呈式には岡本昭彦社長が出席し、感謝の意を述べました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

「SDGs万博」 目指してごみを大幅削減

冒頭、主催者である持続可能な社会をつくる元気ネットの鬼沢良子理事長が今回のセミナーの趣旨を説明。さらに経済産業省・素材産業課の森下龍樹課長補佐が、資源循環について「これからもますます一丸となって、日本のみならず世界中に広げていけるように取り組んでいきたい」と挨拶しました。

また、大阪・関西万博で行われている資源循環など“持続可能性”をめぐる取り組みについて、2025年日本国際博覧会協会・持続可能性局の永見靖局長が「専門家の意見を聞きながら方針を作って実施しており、インクルーシブでバリアフリーな “SDGs万博” と言えるような万博を目指している」と説明。

ごみの分別やリユース食器の使用、ペットボトル削減のためのマイボトル用給水スポットの設置などの取り組みで、2005年に愛知県で開催された『愛・地球博』に比べて、廃棄物の排出量が現時点でかなり少なくなっているそうです。

万博会場の紙ごみをトイレットペーパーに

万博での紙資源循環の取り組みについては、トイレットペーパーの製造・販売を行うコアレックス信栄(本社・静岡県富士市)の佐野仁副社長が、現地での具体的な施策を紹介しました。

「コアレックス信栄は万博の “未来社会ショーケース事業サプライヤー” として支援をさせていただいております」と話す佐野副社長は、万博会場で出た難再生古紙を含む紙ごみを原料としたトイレットペーパーを生産し、そのトイレットペーパーを万博で使用していると説明します。

コアレックス信栄は、大阪万博に吉本興業が出展しているパビリオン「よしもと waraii myraii館」のSDGsパートナーでもあり、同パビリオンで使われた紙資源をリサイクルしているのに加え、2020年から吉本興業東京本部での紙ごみのリサイクル循環の取り組みも支援しています。

再生紙100%の備蓄用トイレットペーパーも開発

今年3月には、吉本興業と共同開発した「うんちくんのトイレットペーパー備蓄用」を発売。100%リサイクルされた再生紙で作られていて、芯がないのでゴミも出ません。また、1ロールの長さが通常品の約2.5倍ある長巻タイプのため、災害への備蓄用に適した商品です。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

パッケージに描かれたオリジナルキャラクター「うんちくん」も、よしもとならではのユニークな演出。「うんちくん」が登場する4コマ漫画などで、トイレで過ごす束の間の時間に環境問題について楽しく学ぶことができます。

吉本興業がコアレックス信栄とタッグを組んで防災関連のイベントを主催するなど、さまざまな啓発活動を行ってきたことも紹介されました。

「今後も世の中に貢献できるよう頑張りたい」

セミナーに続いて、古紙リサイクル感謝状贈呈式が行われ、吉本興業の岡本昭彦社長らに感謝状が贈られました。

吉本興業は、コアレックス信栄と連携した万博会場などでのリサイクルの取り組みのほか、リサイクル活動について、メディアやイベントなどで積極的な発信をしていて、こうしたふだんの積み重ねも感謝状贈呈の理由になったそうです。

岡本社長は「ふだん、悪く言われることはあれど、感謝されることはあまりありませんので非常に恐縮しております」と話し、会場の笑いを誘い、「弊社は人の再生は経験しておりますが、紙の再生はコアレックスさんにご指導いただきながら勉強させていただいている最中でございます。今後も少しでも世の中に貢献できるよう頑張っていきますので、引き続き応援のほどよろしくお願いいたします」とあいさつを締めくくりました。