“上方落語”を盛り上げる「大阪落語祭」開幕! 桂かい枝、月亭方正ら中堅噺家10人がトリの「立秋大吉寄席」連日開催「これからの上方落語の中心になる人材」

上方落語の発展を目指し、全国へと発信するためのイベント・大阪国際文化芸術プロジェクト「第六回 大阪落語祭」が8月26日(火)に開幕しました。大阪・国立文楽劇場を舞台に、東西の大看板から次代を担う若手までが集結して8月31日(日)まで寄席を開催します。初日には、上方落語を代表する噺家たちがネタを口演したほか、翌日から最終日まで開催される「立秋大吉寄席」でトリを務める中堅10人による口上が披露されました。

出典: FANY マガジン
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中堅落語家10人が口上を披露

初日のトップバッターを務めたのは笑福亭喬介です。出囃子に手拍子が沸き起こり、軽やかな足取りで登場。学校寄席でのエピソードをマクラに、「牛ほめ」を披露しました。無知ゆえに失礼を重ねる若者を愛嬌たっぷりに演じ、会場を和ませました。

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続いて桂米團治が「落語は世襲じゃない」と切り出し、人間国宝・桂米朝の長男として受けた重圧を語ります。そして「(桂)春蝶君も世襲だが、レベルが違う」と言うと、舞台袖から私服の春蝶が飛び出して抗議する一幕もありました。

本題では「七段目」を熱演。芝居にのめり込む息子を生き生きと描写し、額に汗を浮かべながら観客を物語の世界へ引き込みました。

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中トリを務めたのは桂文珍です。「米團治さんの『七段目』は、映画『国宝』の横浜流星に影響を受けたのか、いつもよりくさかったですね」と茶化して笑いを誘い、自身は新作落語「AI.ル問答」を口演します。

「こんにちは、甚平はんいてはりますか?」と近未来に甚平を登場させ、AI(人工知能)が甚平に人情やユーモアを問う内容で会場を大いに沸かせました。

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中入り後の口上では司会の笑福亭仁智を中心に、翌日から始まる「立秋大吉寄席」でトリを務める10人がずらりと並びました。仁智は「ご挨拶は1人19.2秒まで」と時事ネタを交えて進行。10人の噺家たちはそれぞれ、トリを務める意気込みを語りました。

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続いて登場した桂南光は、噺家がわずか50人だった入門当時の上方落語界を振り返り、「いまや300人近くに増えた」と後進の活躍に期待を寄せます。

ネタは「ちりとてちん」。腐った豆腐を長崎名物と偽って食べさせる場面では、実際に臭気が漂うような臨場感で観客を惹きつけました。

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この日の大トリは、休演となった桂文枝に代わり、芸歴65年を誇る桂福團治です。「あと1人やからな」「疲れた」といつものボヤキを交えつつ、兄弟の情を描いた噺「ねずみ穴」を披露。兄弟の確執と和解を切々と描き、観客の胸を揺さぶり、「人情噺の福團治」の真骨頂を見せました。

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仁智「東京からもゲストを迎えて東西交流を図る」

公演後の囲み取材には仁智と、口上に並んだ10人が登壇。仁智は「旬の噺家10人がトリを務め、東京からもゲストを迎えて東西交流を図ります。これからの上方落語の中心になる人材ばかりです」と期待を寄せました。そしてトリを務める10人が「立秋大吉寄席」への抱負を、こう語りました。

「落語は東京が主流のように思われがちですが、上方落語も文化として大切にしたい。選ばれた1人として全力で務めます」(桂米紫)

「僕は柳家三三さんのあとに出ます。自分らしさを出して精一杯ぶつかりたい」(笑福亭銀瓶)

「満席のお客さんを思い切り笑わせたい」(桂南天)

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「僕の前は立川志らく兄さん。炎上コンビと言われる2人です。熱いうちに叩いてください」(桂春蝶)

「盛大なお祭りに呼んでいただき光栄。お客さまとともに楽しみたい」(桂かい枝)

「噺家歴17年でこの舞台に立てるのが嬉しい。先日、国立文楽劇場で『御神酒徳利(おみきどっくり)』をさせていただきました。それがまあウケて、すっごく気持ちよかったんです。今回はもっとウケさせて、すっごく気持ちのいい瞬間を感じたい」(月亭方正)

出典: FANY マガジン
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「すでに緊張しています。来年2月1日に三喬を襲名します。今回のトリをバネに頑張りたい」(笑福亭喬若)

「福團治師匠の高座に改めてトリの重責を感じました。立川談春師匠のあとに全力で臨みます」(林家菊丸)

「入門31年。当時はこんなお祭りは考えられなかった。ふだんの落語を届けたい」(桂吉弥)

「『大阪落語祭』でトリを務めるのは2回目ですが、今回も、とにかく向かっていくだけ。『大阪落語祭』が若手の目標になるように頑張りたい」(笑福亭鉄瓶)

公演概要

『第六回大阪落語祭 「立秋大吉寄席」』
日時:
8月27日(水)~29日(金)①13:30開場/14:00開演・②18:30開場/19:00開演
8月30日(土)①10:30開場/11:00開演・②14:30開場/15:00開演・③18:30開場/19:00開演
8月31日(日)①10:30開場/11:00開演
会場:国立文楽劇場
出演:
8月27日(水)①月亭希遊、笑福亭笑利、桂南光【中入】林家たい平、笑福亭喬若
8月27日(水)②笑福亭喬路、桂文五郎、桂雀三郎【中入】立川談春、林家菊丸
8月28日(木)①桂弥壱、笑福亭呂好、月亭八方【中入】立川志らく、桂春蝶
8月28日(木)②桂健枝郎、桂弥っこ、笑福亭鶴光【中入】柳家喬太郎、月亭方正
8月29日(金)①笑福亭呂翔、桂米輝、桂文珍【中入】桂宮治、桂米紫
8月29日(金)②笑福亭喬龍、桂慶治朗、笑福亭仁智【中入】柳家さん喬、桂吉弥
8月30日(土)①桂天吾、桂三実、桂福團治【中入】春風亭昇太、桂かい枝
8月30日(土)②桂源太、笑福亭生寿、笑福亭鶴瓶【中入】柳亭市馬、桂南天
8月30日(土)③桂八十助、桂治門、笑福亭福笑【中入】柳家三三、笑福亭銀瓶
8月31日(日)①桂笑金、露の紫、桂米團治【中入】柳家花緑、笑福亭鉄瓶
料金:前売・当日 5,000円
チケット販売:FANYチケットほか

『第六回大阪落語祭 大千穐楽公演』
日時:8月31日(日)
会場:国立文楽劇場
出演:【司会】桂米團治、近藤夏子、【高座】桂福留、桂米之助、桂文三、【100秒小噺】桂春之輔、桂鯛蔵、笑福亭松五、桂二乗、桂咲之輔、桂ちきん、月亭天使、桂小留、月亭遊真、桂りょうば、【高座】桂小鯛、桂吉坊、笑福亭松喬、【100秒小噺】笑福亭由瓶、桂しん吉、笑福亭呂竹、桂吉の丞、桂福丸、桂團治郎、桂小梅、笑福亭大智、桂おとめ、月亭柳正、【大喜利】月亭八方、桂小文枝 桂三歩、桂楽珍、笑福亭生喬、笑福亭風喬、桂力造、桂佐ん吉、森乃石松、桂惣兵衛
料金:前売・当日 3,500円
チケット販売:FANYチケットほか

「第六回 大阪落語祭」公式サイト:https://osaka-rakugomatsuri.com/
「大阪国際文化芸術プロジェクト」公式サイト:https://osaka-ca-fes.jp/project/

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