血液のがんである症候性多発性骨髄腫の治療で休養中だった夫婦漫才コンビ、宮川大助・花子の宮川花子が、奈良県生駒市のたけまるホールで開催された『生駒寄席 with いこまふるさと演芸会』で、約2年半ぶりとなる舞台復帰を果たしました。同市にゆかりのある芸人が集結した公演で、宮川大助・花子は変わらぬ夫婦の掛け合いで会場を盛り上げました。
花子は2018年3月に腰痛を訴えて行った地元の病院で骨髄腫と診断され、2019年6月から休養。一時は下半身不随の状態で「余命1週間」の宣告も受けました。昨年4月に退院し、テレビのレギュラー番組にリモート出演してきましたが、今回、退院後初の舞台となりました。
地元ゆかりの芸人が続々
公演のMCは、宮川さゆみと親指ぎゅー太郎。ともに2世タレントで生駒にゆかりがあることを伝えると、会場から拍手が起こりました。
一番手の生駒在住、桂鹿えもんは移動動物園をめぐる演目「動物園」で笑わせます。続くニッポンの社長(辻、ケツ)は、ケツが生駒出身。コンビでYouTubeチャンネル「いこいこ生駒好きやねん!」を公開するほどの地元愛で、ケツの子ども時代からこれまでを振り返る「ケツの歴史in生駒」などで会場を沸かせました。
3年前から奈良県住みます芸人を務める桂ちきんは、奈良の住みやすさをアピール。コンビの2人とも奈良県出身のラフ次元(空道太郎、梅村賢太郎)も、地元ネタをはさんだトークで観客を引き込みます。来年、芸歴50周年を迎える桂文福は、時事ネタを盛り込んだノンストップのネタで会場中が拍手に包まれました。
そして、いよいよ宮川大助・花子の登場です。
なぜか車イスには大助
「2年半ぶりに皆様の前に登場させていただくことになりました」
さゆみの紹介で緞帳(どんちょう)が上がると、なんと車イスに乗っているのは花子ではなく大助。それを花子が押しながらステージ中央へ進むと、会場からは大きな拍手が起こりました。
「こんにちは〜、お久しぶりです! 2年半、心配かけてすみませんでした」
花子が頭を下げると、さっそく息の合った軽快なトークがスタート。結婚して45年たったことを振り返りながら、「2人が愛し合って……」と言う大助に、花子が「それはまた別」とピシャリ。「恋愛結婚で……」と大助が話せば、「誰が見合いで選ぶ?」と花子が返すなど、小気味いいやりとりは健在。2人のトークに会場は笑いが止まりません。
目指すは99歳まで舞台に!
病気について、花子は「入院したときはギリギリだった、1週間の命と言われた」と振り返りながら、がんの腫瘍が全部で8個、いちばん大きいのは10センチくらいだったと告白します。今回の舞台も、医師から「抗がん剤を打って静かにしておかないといけない」と言われたものの、「意味がわからん」と笑い飛ばしたとのこと。
さらに、大助を「介護男子」と持ち上げたかと思うと、「毎日、病院に来てくれて私の昼ごはんを食べて帰った」と暴露。大助が患った脳内出血、腰部脊柱管狭窄症についても触れながら、それさえもネタにしてしっかりと笑わせます。大助も「1人でがんばるから仕事をくれ」と会社に伝えたところ、「お客さんに迷惑やと言われた」と明かして笑いを取っていました。
いまもリハビリを続ける花子は、「今日、初めて靴を履いたけど、履いてる感覚はないねん」と言いますが、「でも、そんな状態でもココ(しゃべり)だけは達者!」とアピール。「今日は楽しい! 幸せ! このまま3時間いけそう」と会場を沸かせます。
「この病気は、完治するものじゃない。でも、私は百戦百勝でいきたい。目指すは、99歳になったときにこの舞台に立ちたい」
会場に向かってこう力を込めた花子は、改めて「今日は、こんなに楽しいステージに立たせていただいて幸せです、皆さんありがとうございました」と感謝を伝えると、最後は2人で立ち上がって腕を組む、ほほえましい姿を見せました。