今年で19回目を迎えた高校生の漫才コンテスト「ハイスクールマンザイ2021~H–1甲子園~」。今年は673組1,380人の高校生がエントリーし、大会の累計総参加組数がついに10,000組を超えました。激戦の動画審査を勝ち抜いた決勝進出コンビ・トリオは全8組。この中から優勝者を選ぶ決勝大会が12月18日(土)に開催され、近畿ブロックのサンジュウシが優勝しました。
卓越したセンスと技術を感じさせる漫才
決勝大会に進んだのは、北海道・東北ブロックのサボタージュ、関東ブロックのアリオス、タイフーン、東海・北陸・甲信越ブロックのアンリミテッド、近畿ブロックのレイジークラフト、サンジュウシ、中国・四国ブロックのうるをぼえ、九州・沖縄ブロックのせうたしゅんすけの8組。
そして大会の審査員は板尾創路、笑い飯(西田幸治、哲夫)、マヂカルラブリー(野田クリスタル、村上)、審査員長をオール阪神・巨人、MCをタカアンドトシが務めました。今回は、リモートで事前収録した動画で審査。優勝組には、賞金として「お笑い奨学金」50万円が贈呈され、さらにNSC(吉本総合芸能学院)の入学金・授業料が全額免除となります。
高校生たちのネタの内容は「修学旅行」や「好きな食べ物」といった“らしさ”を感じさせるものから、「リモート面接」といった時代を映したものなど八者八様。どの組もフレッシュでありながら、卓越したセンスと技術を感じさせる充実の漫才で、経験豊富な審査員をうならせます。
8組のネタ披露が終わり、いよいよ結果発表! 見事、優勝の栄冠をつかんだのは、今回の大会で唯一のトリオだった近畿ブロックのサンジュウシ。大阪教育大学付属高校・天王寺校舎3年の田中力くん、徳留寛翔くん、廣瀬楓馬くんのトリオで、「今年がラストイヤー」と背水の陣で挑んでいました。
その漫才について、審査委員長のオール巨人は「3人の役割分担がきれいで見やすかった。リモートの画面分割の形もよく、頭の良さも感じました」と評価。板尾も「メディアの使い方がうまかった。全員、審査員に印象がよく、ネタも入ってきやすかったです。3人それぞれ、個性のバランスもよかった」と絶賛し、マヂカルラブリー・村上は「トリオでのM-1決勝進出はいないので、そこも目指してほしい」と呼びかけました。
M-1優勝が“夢”から“目標”に変わった
大会後、サンジュウシでネタづくりを担当している廣瀬君は、こう話しました。
「ハイスクールマンザイ2021がリモートで行われると発表されたときからネタをつくって、2カ月くらい、なるべくZoomで練習していました」
優勝が決まった瞬間、3人のなかでもとりわけ感無量の表情を浮かべていた廣瀬くん。並々ならぬ決意だったことを明かします。
「最初に、僕がハイスクールマンザイで優勝したいと言って徳留を誘いました。もともとコンビだったのですが、リモートに決まって、3人のほうがボリュームがあるんじゃないかなと思って田中を誘いました。まわりの応援もあったから、優勝せなあかんなと思って取り組んできました」
今後の目標について、福留君は「村上さんに『次はM-1』と言っていただいたので、いままでは夢だったんですけど、M-1優勝が自分のなかで目標に変わりました」。田中君も「高校生日本一になったので、大学に進学できたら次は大学日本一になれたらいいなと思います」と夢を膨らませます。
最後に審査委員長のオール巨人が、昨今のお笑いを取り巻く状況についてこう話しました。
「(過去にも)漫才ブームがありましたけど、いまはその何倍ものお笑いブームだと思います。いろいろなバラエティ番組の総合司会や大きな番組の司会をされている方は、ほとんど漫才やお笑いの流れの方。そのきっかけとして賞レースがあって、どんどん面白いコンビが出てきている」
それだけに、高校生たちが参加するハイスクールマンザイについても、「決勝・準決勝に行くコンビにプロの漫才師をつけて、プロの漫才師と組んで決勝に送り込んだらおもろいんとちゃうかな。いまイチローさんも高校生を教えに行くじゃないですか。そういう感じで、もっとレベルを上げるのであれば、プロの意見も聞いて一緒にやったらハイスクールマンザイの値打ちも上がるのでは」と新たな構想を打ち出しました。