この4月にいよいよ開校した『よしもとアカデミー』。これまでの「NSC(吉本総合芸能学院)」に加えて、エンターテインメント業界にかかわるさまざまな技能を第一線のプロたちから学ぶことができます。果たして、その授業はどんなものなのか。芸人ライターとして活動するお笑いコンビ・あわよくばのファビアンがレポートします!
NSCに加えて新たに「3校+高等学院」新設
吉本興業は今年4月、エンターテインメント技能で成功を目指す若者のための『よしもとアカデミー』を開校しました。芸人やタレントを育てる現行の「NSC(吉本総合芸能学院)」に加え、「よしもとクリエイティブアカデミー」「よしもとデジタルエンタテインメントアカデミー」「よしもとパフォーミングアカデミー」の3校を新たに設置し、さらにエンタメを学びつつ高校卒業資格が取得できる「吉本興業高等学院」も同時にスタート!
この開校に先立って、入学希望者に実際の授業をイメージしてもらうためのオープンスクールが3月9日(火)に開かれ、ザ・プラン9のお〜い! 久馬さんが講師を担当しました。芸人としてだけでなく、脚本家や構成作家としてマルチな才能を発揮する久馬さんが、クリエイティブを武器に世に羽ばたこうとする若者たちに語ったこととは——。
ただのお茶も「この世で最後のお茶」と仮定すると…
今回、久馬さんが講師を務めた「よしもとクリエイティブアカデミー」は、未来のプロデューサー、脚本家、構成作家、コピーライター、映画監督などを育てる学校です。オープンスクールには、約20人の若者が参加しました。
授業のテーマは「発想で遊ぼう!」。映画『レオン』のスウェットを着て颯爽と現れた久馬さんは、席に着くなり目の前に置かれたペットボトルのお茶を指差し、「この何でもないお茶も、この世で最後のお茶と仮定すると重要に見えてくる」と話し始めます。さらに、「勇者しか飲めないお茶」「開けるのに飲めへんヤツ」「別のお茶を飲むヤツ」「机ギリギリに置かれたままのお茶」とお茶の置かれた状況を変えながら、「それだけでも世界が広がるもんね」と、久馬節が次々と飛び出しました。
その顔つきは、ザ・プラン9で見せる明るいものではなく、数々の“オモシロ”を創り出し続けてきたクリエイターそのものです。
もしもEXILEがいなくなったら…
その後も、クイズやなぞなぞをやりながら生徒とコミュニケーションをとり、企画やアイデアを生みやすくするための“発想脳”を鍛えていきます。そして最後に行われたのが、「風吹けば桶屋が儲かる」の現代版を、みんなで考えるというものでした。
「風が吹けば……」は江戸時代のことわざで、「大風が吹けば、土ぼこりが立つ」→「土ぼこりが立てば、土が目に入る」→「土が目に入れば……」と連想ゲームのように言葉をつなぎ、最後は「桶屋が儲かる」につながるというものです。ある事象が、一見するとまったく関係のないことにも影響を与えるということをたとえたものです。
授業では、ゴールを「琵琶湖が大人気になる」に設定して、どうにかそこにたどり着くことを目指して、生徒が順番に言葉をリレーします。
実際にやってみると、「剃り込み頭が増えたら、警察のパトロールが増える」、「EXILEがいなくなったら、レモンチューハイの売れ行きが悪くなる」、「夜の街が騒がしくなったら、のどかな滋賀県の人口が増える」などなど発想豊かな珍回答の連続で、講師の久馬さんも思わずニヤリ、マスクの上の目が緩む場面もありました。
そんなこんなでオープンスクールは無事終了――。
授業を通して久馬さんが伝えたかったのは、「見方を変えると発想が生まれる」、「お笑いはチームワーク」ということだったといいます。授業を終えた久馬さんに改めて話を聞きました。
荒削りでもいいから自分なりの個性を
――「チームワークが大事だ」とおっしゃっていたことが印象に残りました。その理由を教えてください。
僕のデビュー当時は、「みんなで一緒に笑いを取ろう」って感じはありませんでした。もっと個人戦で、それぞれが自分が面白いと思ったことだけをやっていて、エピソードトークも漫談の出し合いでした。
それがいまは、たとえば誰かがエピソードをしゃべれば「そのとき、こいつね〜」と、それをもとに展開されることが増えてきた。バラエティ番組でも「このゴールのためにみんなで盛り上げていこう」というムードで、大人数で1つの大きな笑いを作っています。
クリエイティブアカデミーの授業でも、みんなで1つのゴールに向かうことの楽しさみたいなものが伝わるといいなと思っています。
――生徒たちには、ほかにどんなことを伝えたいですか?
これもまた、僕の若手時代との比較になるんですけど、むかしはもっと尖っている生徒が多くてね、養成所(NSC)もギスギスしていましたよ。自分で申し込んできているのに、講師のアドバイスを完全に無視したり、ときにはメンチ切ったり。同期のメッセンジャーの黒田(有)なんて、ワンカップ片手に授業を受けていたくらいです(笑)。
それが、いまは素直な子が多くなって、僕の意見も「そうですね」って受け入れてくれる。でも、笑いって正解がないものなので、「なんでも俺が正しいと思わんとってな」と言うようにしています。僕ができるのはアドバイスまでなので。最終的にはいろいろな意見を聞いたうえで、自分が面白いなと思うことを表現したり、企画してくれたらいいなと思っています。
――ありがとうございました! 講師としての活躍も楽しみにしています。
今回のお〜い!久馬の特別授業を含めたオープンスクール授業の模様は『よしもとアカデミー』の公式YouTubeチャンネルで視聴できます。
【NSC】
NON STYLE・石田明:「ネタを作るということ」
【よしもとクリエイティブアカデミー】
ザ・プラン9・お~い!久馬:「発想で遊ぼう」
【よしもとデジタルエンタテインメントアカデミー】
カジサック、山口トンボ(構成作家):「カジサックチャンネルのつくり方」
【よしもとパフォーミングアカデミー】
CRE8BOY:「プロパフォーマーへの第一歩を現役振付師が超丁寧に教えます!」
よしもとアカデミー概要
所在地:
【東京校】東京都千代田区神田神保町1-41-1 三省堂第二ビル1F
【大阪校】大阪市中央区難波千日前12-35 SWINGヨシモト6F
対象:吉本興業高等学院は中学卒業以上、その他は18歳以上、または高校卒業以上の方
履修期間:吉本興業高等学院は3年、その他は1年。さらに専門的に学びたい学生にはアドバンスコースを用意(1年)
公式サイトはこちらから。