ロンブー淳が語る「三日坊主で上等」の精神――「遺書」研究などでRethinkアワード受賞

新しい視点の考え方や取り組みによって社会に影響を与えた「人」「企業」「自治体」を表彰する「Rethinkアワード」。第1回目となる今年の表彰式が、2月1日(火)に都内で開かれ、個人に与えられる「人」部門でロンドンブーツ1号2号の田村淳が受賞しました! いつになく緊張した様子の淳は「いままで認められなかった自分を誰かが認めてくれたようで、すごく嬉しい」と喜びを語りました。

出典: FANY マガジン
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今日はドキドキしています

「Rethinkアワード」は、「ちがった見方が、明日を変える」を合言葉にネットメディアのHUFFPOSTとBoundless株式会社が立ち上げた新しい賞で、「企業」部門は、知的障がいのある作家のアート作品を取り扱う株式会社ヘラルボニー(盛岡市)が受賞。「自治体」部門は、震災からの復興に取り組む過程で、岩手県で初めて「SDGs未来都市」に選定された陸前高田市が選ばれ、「Rethink(再考する)」の名にふさわしい受賞者たちが並びました。

淳の受賞理由は、昨年3月に47歳にして慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科を修了したことを含め、バラエティー番組のMCだけでなく実業家、ユーチューバーなど幅広い分野で活躍し、さまざまな視点で物事を考え、行動していることが評価されてのこと。

緊張した面持ちでステージに登場した淳は、「アワードの司会はやりますけど、自分が表彰されることがない人生だったので、今日はドキドキしています」と言いながら、持ち慣れていないというトロフィーを受け取り、笑顔を見せました。

出典: FANY マガジン
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大学院で「遺書」の研究をしたワケ

淳の大学院での研究テーマは“遺書”。なぜ遺書に興味を持ち、大学院にまで挑戦したのか――表彰式で淳は、遺書について「Rethink」した過程を振り返ります。

「僕の母は去年の8月にガンで他界したんですが、母ちゃんはずっと、僕の誕生日に『誕生日おめでとう。淳、いまから言っておくけど、私に何かあったときは延命治療しないでね』という言葉をつむいでいました」

実際に母親が病気になったときに思い出したのが、母が言い続けていたその言葉でした。

「実際に母ちゃんが延命治療をするかしないかのジャッジを迫られたときに、母ちゃんが長い年月、言い続けてきた言葉を田村家の男たちは受け入れて、延命治療をしないというジャッジをしました。それが母ちゃんの尊厳を守ることにつながったし、生きている間に、どういうふうに生きたいかというメッセージを伝えることはすごく大切なことだということを母ちゃんから学んで、遺書というものを深く勉強してみたいなと思いました」

出典: FANY マガジン
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そして、大学院に進学を決めた理由についてこう語ります。

「娘が生まれたときに、自分も遺書を書いてみたんです。すると、遺書って他人のために書くものだと思っていたのが、意外と自分に響くなあと。娘のためにと思って書いたのに、自分がどう生きたいとか、自分がこうありたいということと向き合う時間になったんです。タブー視される遺書だけど、実は手に取ってみると何か気づきがあるんじゃないかというのが、大学院に行こうと思った動機ですね。だからこれも“Rethink”だと思うんですよ。いままでの当たり前が当たり前じゃなくなるということを、僕は遺書の研究を通して知ることができたと思います」

出典: FANY マガジン
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とりあえず一歩踏み出す

大学院に進学した淳は、2019年に遺書動画サービスを提供する株式会社itakotoを設立。いまも、世の中が遺書について“Rethink”するきっかけを生み出し続けています。

「遺書のイメージを聞くと、まずは『自殺』とか『死ぬ前』『怖い』という言葉が出てくるんですけど、遺書を書き終わった後にまた同じことを聞くと、『自分』『大切』『未来』など遺書についてのイメージががらりと変わる。だから僕は、大学院は修了しましたが、この先もこの研究をしていきたいなと思っています。『itakoto』という会社をつくりましたが、皆さんがもっと気軽に遺書を残すためにはどういう手段がいいのか、僕なりに考えています」

出典: FANY マガジン
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お笑い芸人という固定観念にとらわれずに、さまざまなことに挑戦してきた淳。改めて、司会から「チャレンジし続ける原動力は何か」と聞かれると、こう語りました。

「母ちゃんに『やりたいと思ったことをすぐにやりなさい』『三日坊主でもいいから、とりあえず一歩踏み出しなさい』ということをすごく言われていました。僕は、まわりから『お前、すぐ飽きるよね』と言われるんですけれど、『いや、それで上等だよ』と思っていますね。僕は自分に正直に生きているっていう自信があるので、そこは母ちゃんの言葉を実践しているかなと思います」