血液のガンである症候性多発性骨髄腫の治療から復帰した夫婦漫才コンビ、宮川大助・花子の宮川花子が、夫・⼤助のサポートのもとで病と闘った記録が１冊の本になりました。タイトルは『あわてず、あせらず、あきらめず』（主婦の友社）。2月3日（木）に開かれたリモート会見に自宅から参加し、「決して遺作品ではありませんので！ これからの自分の希望を載せた本ですので」と笑顔で語りました。
「これが自分のいまの人生」
「最初に入院したときに大助くんから『日記みたいに書いたら』って言われましたが、ガンで右手がぜんぜん使えなくて、握力がゼロだったんですよ。お箸も持てないし、鉛筆で自分の名前すら書けなかったので……」
闘病前と変わらない張りのある声で経緯を語る花子が、腰痛を訴えて行った地元の病院で骨髄腫と診断されたのは2018年3月のこと。2019年6月から休養に入り、一時は下半身不随の状態で「余命1週間」の宣告も受けました。2020年4月に退院してからは、テレビのレギュラー番組にリモート出演するなど徐々に活動の幅を広げ、昨年12月には奈良県生駒市のたけまるホールで約2年半ぶりの舞台復帰を果たしました。
退院してから書き始めたという今回の著書は、自分でキーボードをたたくのもままならないなか、執筆に1年半かかったと言います。闘病の日々に加え、夫婦のこと、家族のこと、そして漫才への思いを書き込みました。
「だんだん勉強して、この病気は治らないと知りました。でも、人は100年も200年も生きられるわけではありませんので、自分はこれからも薬と日進月歩、戦っていきたいと思います。その旨を、自分の期待を込めてこの本に託しました」
そして、「これが自分のいまの人生。あわてず、あせらず、あきらめず、これからの人生も生きていきたいという思いをお伝えしたかった」と力を込めました。
涙ぐむ大助に変わらぬツッコミ
一方、「うちの介護男子です」と花子から紹介された大助は、涙をこらえながらとつとつと話し始めます。
「僕ももういっぺん読み直してみたんですね。入院するまでの過程では何回も本を伏せました。大変な病気と嫁が戦ってるのがわかって……。それから読み進めていくとね、（花子の師匠であるチャンバラトリオの）山根伸介師匠の奥さまからの言葉とかね……」と涙ぐんだところで、すかさず花子から「あんたが泣いたらあかんて言うたのに！」とツッコミが。
いまは自宅でリハビリに励んでいるという花子は、「めちゃめちゃしんどいけど、つたいながら1人でトイレに行ったり、お風呂に行ったり、ベッドに寝たりとか、そういうことができるようになりました。あとは階段で2階に上がれるようになりました」と笑顔を見せます。
自宅では編み物をしながら韓流ドラマを見るのが楽しい、と言う花子のもとには、芸人仲間からお見舞いの電話も。
「（桂）文枝師匠からよくお電話いただくんですよ。『花子としゃべったら元気でるわ～』って言われるんですけど、違うやろ、私が元気ちょうだいよと思います（笑）。皆さんからお電話いただいて、皆さん口をそろえて『花ちゃんと喋ったら元気になるわ』って言ってくれます」
夫婦でよかったなと思います
昨年12月の復帰公演では、車いすでトークを繰り広げた2人ですが、センターマイクの前に立ってステージをこなすのは、体力的にもまだちょっと先になりそうだとのこと。「2人でセンターマイクに立てるようになったら、ぶっ飛ばすような漫才をやりたい」と言う大助は、まずは「1時間ぐらいの花子の講演後に、僕ら2人が30分なり1時間なりのトークをして、ということが中心になっていくんじゃないか」と語ります。
花子も「講演会のお話をいただいているので、それができたら。徐々に自分のウォーミングアップにしていきたいなと思っております」と、あくまでも前向き。
「立ったままの漫才を可能にしたいです。自分がいちばん期待しています」と言う花子は、長年、夫婦漫才をしてきた大助の存在について、改めてこう語りました。
「私、夫婦でよかったなと思います。家で1人で寝たきりやったら大変やけど、大助くんが介護してくれたり、常に2人でお喋りもさせてもらってるし、よかったなあと思いました。だから、もう絶対いなくてはならない存在。夫婦であり、漫才師であり、そこがいちばんよかったなあと思います。別にのろけているわけじゃないですよ（笑）」
書籍概要
『あわてず、あせらず、あきらめず』（主婦の友社）
発売⽇：1⽉31⽇（⽉）
ページ数：192ページ
定価：1650円（税込）
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