鬼才・上西雄大×鬼越トマホークが語る『西成ゴロー』の魅力「期待していなかったけど面白い!」

国内外の映画祭で数々の賞を受賞した鬼才・上西雄大が監督と主演を務める2部作映画『西成ゴローの四億円』『西成ゴローの四億円 -死闘篇-』が、1月29日(土)の大阪先行上映を皮切りに順次公開されています。そこで今回は、映画の応援芸人に就任した鬼越トマホーク(坂井良多、金ちゃん)と上西監督のスペシャル座談会を実施! 映画の魅力にすっかりハマって興奮気味の2人が、上西監督にあれやこれや聞きました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

『西成ゴロー』シリーズは、世界各地の映画祭で話題となった映画『ひとくず』(2020年ロンドン国際映画祭グランプリ&主演男優賞受賞など)で知られる上西監督の最新作です。主人公は、大阪の西成区に住む日雇い労働者・土師晤郎=ゴロー。断片的に記憶を失っていた彼は、自分が政府諜報機関の元工作員だったこと、妻と娘がいたことなど、少しずつ記憶を取り戻していきます。そして、娘が難病にかかり心臓移植が必要であることを知ったゴローは、家族のため、自分のため、4億円を稼ぐために闇の勢力に挑む決意するのですが――という痛快な“マネー・クライム・エンターテインメント”です。

2部作4時間があっという間!

――鬼越トマホークの2人は、今回が初対面だという上西監督とYouTubeチャンネルの収録もしたそうですね。

坂井 上西さんが面白い方なんですよ。監督ってもっと厳格なイメージがあったんですけど、どちらかというとフランクでポンコツで。

金ちゃん ポンコツって言うな!(笑)

――監督は鬼越トマホークが応援芸人として携わると聞いてどう思いましたか?

上西 映画を喜んでいただけたみたいで、すごく力になりました。今後も、西成ゴローの旅を続けられるなって思いましたね。

坂井 本当にまったく期待していなかったんですよ。つまんなかったら途中で観るのやめて、今日も適当にやろうと思ってたんですけど。

金ちゃん そんなこと言うなよ!

坂井 2作続けると4時間ですよ? それなのに、あっという間に観ちゃいましたし、西成に行ってみたくもなりました。西成には中川家・礼二さんが演じるような人が数百人いて、声もかけてくるんで、撮影するのが難しかったんじゃないかなって思うんですけど、実際はどうだったんですか?

上西 現地の方々が本当に協力してくださいました。人やクルマを止めてくれるのはもちろん、(地元の人が)エキストラとして出てくださって。出演してくださった方には、報酬としてワンカップを差し上げました(笑)。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

金ちゃん 変なことをしてくる人はいなかったんですか?

上西 突然、叫び出す方とかいましたよ(笑)。でも、西成で世話をしてくださった方が「おっちゃん、あっち行こか!」ってたしなめてくださいました。

――鬼越トマホークの2人は、初めての映画応援芸人就任ですが、率直な気持ちを聞かせてください。

坂井 最初は『西成ゴローの四億円』と聞いて、“なんだこのB級映画みたいなタイトルは”と思いました。主演の上西監督も、ちゃんと顔を見たら『孤独のグルメ』とかVシネマとか、いろんな作品で見たことがありましたけど、チラシの写真だけだと、元格闘家で俳優をしている武田幸三さんにしか見えなくて。なんの期待もなく試写を観させてもらったら、ハマっちゃいましたね。ゲーム『龍が如く』とか映画『アウトレイジ』が好きな人は大好きだと思うし、男女関係なく好まれる作品だと思います。

金ちゃん 僕も期待はしていなかったんですけど、作品は面白いし、今回、監督や出演者の方々と話してみて、めちゃくちゃ魅力を感じたので、さらに応援できるなって思いました。僕らのYouTubeチャンネルでは、『西成ゴローの四億円』というタイトルだけじゃわからない魅力を紹介しているので、ぜひ見てほしいです。監督を馬鹿にしちゃった部分もあったんですけど、編集していいところしか流さないので、安心してほしいです(笑)。

坂井 どんどんこの作品を世の中にアピールしたいですね。『西成ゴロー』っていう名前は覚えやすいし、映画『カメラを止めるな!』みたいに口コミで広がっていく作品もあるじゃないですか。それに期待してね。

金ちゃん 公開は全国的にされますけど、これから上映する映画館が増えていけば、『西成ゴロー』シリーズも続けられそう。

坂井 ぜひ、続けてほしいので、ハリー・ポッターみたいに次回作は『西成ゴローとアズカバンの囚人』とかどうですか?

金ちゃん 盗作だよ!(笑)

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

俳優・上西雄大にも注目!!

――上西監督が好きなシーンを教えてください。

上西 僕は東映セントラルフィルムや松田優作さんが活躍されていた時代が大好きで、あのころの雰囲気を作品に出したいと思っていました。ゴローが暴行を受けるシーンで、ストップモーションとボーカル入りの曲を入れたんですけど、ああいうのは昭和にしかないし、いまの監督はやらない演出だろうなと思います。試写で初めて大きなスクリーンで観たときは、“あのころの映画だ!”と思いましたね。若い世代の方にとっては、まったく新しい感覚だと思いますので、僕たちが恋焦がれた名作のように受け取ってくれたら嬉しいです。

――鬼越トマホークの2人が好きなシーンはどこですか?

坂井 ゴローが半グレを倒したあと、ヤクザが乗った高級車が何台もやってくるシーンがあるんですけど、その中からヤバいヤツが出てきたときのゴローのニヤッとした笑い。あの笑顔が忘れられないですね。なにかが始まるんだっていう。

金ちゃん 上西監督って物腰が柔らかい感じなんですけど、映画を観たらけっこうカッコいいんですよ。アクションもあるし、表情も哀愁漂っているというか……。監督としてたくさん賞をもらって評価もされていらっしゃいますけど、俳優としての上西さんも評価されるべきだなって思いました。

坂井 演技はうまいけど華はないよね?

上西 ワハハ(笑)。

金ちゃん 華(花)って1回咲くと枯れちゃいますけど、上西さんは盆栽のようにずっと見ていられる。この作品で俳優としての魅力を感じちゃいましたね。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

坂井 上西監督は、俳優・上西雄大として、ほかの作品にも出る意欲があるらしいんですよ。監督をやっちゃうと、面倒臭いヤツだと思われて、ほかの作品からオファーがかかりにくくなるらしくて……。たとえば、どんな作品に出たいんですか? 

上西 (NHKの)朝ドラとか大河ドラマとか出てみたいですね。

坂井 あとTBSの日曜劇場って、いままでで見たことなかった俳優さんが出演して一気にブレイクすることもあるじゃないですか。ああいうのにも出てほしいですね。

人間を描くための「演出」

坂井 この映画の面白いところは、登場人物が画面に出てきたときに、その人の「預貯金」「借入金」「所持金」とか、おカネに関する情報が出てくるところ。あの発想って、いままでなかったと思うし、あれでキャラの人となりがわかるんですよね。あれはどういうところから思いついたんですか?

上西 僕は“人間”を描きたかったんですよ。社会的な問題のそばに人間を置くと色濃く描ける。社会問題のひとつとして経済格差があって、そこで人間を描こうと思いました。そのなかで、おカネの情報を出すと人間の全貌が一瞬にしてはかれるなと、イメージが湧いた感じです。

金ちゃん いろんな職業の登場人物がいますけど、「預貯金」「借入金」「所持金」の金額ってどうやって決めたんですか?

上西 最初はそうとう悩みましたね。一般的な人がいくらくらい持っているのか、知り合いに電話して聞いたりもしたんですけど、ほとんどの人が教えてくれないし、すごく気まずい空気になるから(笑)、想像して決めました。

坂井 (金額の表示は)新しい感覚でした。こうやって役が脳に入ってくる映画ってなかったよなって。

金ちゃん RPG(ロールプレイングゲーム)みたいですよね。途中で小さい買い物をしたら少し所持金が減って……あれが楽しいんですよ。

坂井 ああいったおカネの情報を差し込んじゃうと、チープに見えちゃう場合もあるじゃないですか。でも、差し込み方が絶妙。楽しみのひとつとして見られましたね。バラエティでもあのシステム使えますし、特許取ったほうがいいですよ! 

金ちゃん 僕らのYouTubeチャンネルでも、撮った日の所持金を出そうかなって思いました。ゲストも表示させて、めっちゃカネ持っているゲストに俺らがめちゃくちゃツッコんでいる、みたいな(笑)。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

坂井 おカネの話でいうと、タイトルの「四億円」っていうのもちょうどいい金額ですよね。1億ゲットしたとしても、あと3億あるわけじゃないですか。

上西 「ゴロー」で5、6、「四億円」の4でコロシ(564)なんですよ。

金ちゃん それで4億円だったんですね!

上西 ゴローが諜報員で“殺しのプロ”だったんで、4億円に決めました。

鬼越を出演させるなら…

――『西成ゴロー』シリーズに次回作がある場合、鬼越トマホークを出演させるとしたらどんな役どころにしたいですか?

上西 仲間にしろ、敵にしろ、ゴローと絡む役で出てほしいですね。

金ちゃん 2人組なんで、西成サブロー・シローってどうですか?

坂井 金ちゃんはドラマ『ドラゴン桜』(TBS系)に出て以降、それ以下の作品は出ないようにしているんで。

金ちゃん そんなことねーよ(笑)。ぜひ関わらせてほしいですけどね。

上西 ぜひ!

――鬼越トマホークの2人がオススメする2部作の見どころはどこですか。

坂井 “こんなやり口なかったよな?”っていう監督の仕掛けやこだわりがちりばめられているので、ぜひ2回ずつ観てほしいですね。西成ゴローという謎の人物が、作品のなかでどうなるのか見守ってほしいです。

金ちゃん 俳優・上西雄大の演技に注目してほしいです。これをきっかけに、いろいろな作品に呼ばれるようになったら最高ですよね。面白い作品でしたけど、監督と会ってさらに愛情が深まりました。

上西 ありがとうございます。西成ゴローの誕生編でもある1作目、ゴローが最初から疾走している『死闘篇』と、ぜひ2作続けて観ていただけたら嬉しいです。アクションエンターテインメント作品ながら、人の情愛なども受け取ってもらえる作品になっていると思います。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

坂井 監督はコメディも撮れそうですよね。特に『西成ゴロー』は、暗くて怖いイメージがあるんですけど、ボケてないのに、やりとりとかツッコミとか面白いんですよ。

上西 人間を描くと笑いも描けるんですよね。関西人って会話しているとどこかに笑いがあって……。特に関西が舞台だとそこに行きつきますね。(映画館で見ると)5.1chサラウンドなので音も本当にいいんです。拳銃の音にもすごくこだわりました。

金ちゃん 僕は(試写を)スマホで観ちゃったんで、今度は大画面の迫力ある映像と音でもう1回観たいです。

坂井 僕は後輩を連れて映画館に行くと思うんですけど、興奮しちゃって後輩が理解する前に「こうなっちゃうよ」ってしゃべっちゃうかもしれないです。

金ちゃん まわりの人にも迷惑だからやめて(笑)。

――最後に応援芸人としての意気込みを聞かせてください。

坂井 今後、僕のTwitterでは毎回、「#西成ゴロー」を入れて応援していきたいと思います。観てもらうと大好きになると思うので、そのためにも「西成ゴロー」というパワーワードを定着させたいですね。

金ちゃん 実家で居酒屋「金ちゃん」をやっているんですけど「西成ゴローを観たよ」って方には1杯サービスします。

上西 わ~、ありがとうございます! こういう状況ですし、不安の中でこの作品を抱きしめていましたが、今日、力をいただきました。心から喜んでいます。

坂井 ただ、これだけ言いたいのが、本当に居酒屋「金ちゃん」に行って「観たよ」って言っても、親父に「なんだテメェ」って言われるだけなので、お母さんのほうに言ってください。

金ちゃん こういうケースで僕が伝え忘れてモメる、ってことがよくあるんで……。今回はちゃんと言っておきます!(笑)


鬼越トマホークの公式YouTubeチャンネルはこちらから。
坂井のTwitterはこちらから。
金ちゃんのTwitterはこちらから。

映画概要

『西成ゴローの四億円』

出典: FANY マガジン

1月29日(土)から大阪先行上映
2月12日(土)から新宿K’sシネマほか全国順次ロードショー

『西成ゴローの四億円 -死闘篇-』

出典: FANY マガジン

2月5日(土)から大阪先行上映
2月19日(土)から新宿K’sシネマほか全国順次ロードショー

公式サイトはこちらから。

関連記事

関連ライブ配信

関連ライブ