芸人ライターのデニス・松下です。
くっきー!さんが大ブレイクを果たす直前の2016年頃、僕がくっきー!さんとご飯を食べてる時にこんな話をしてくれました。
「松下、芸人も幅広く考えてく時代やで? 俺らのネタにヘルメットだけ舞台置いて影ナレでずっと喋るネタあんねん。このネタやったらヘルメットと録音でイケるから、イオンの営業1日同時にナンボでも出来んねん。翻訳したら世界も回れんねん。ドいかつい不労所得やろ?」
その時は、あまりにもぶっ飛んだ発想に、何ですかそれ!?と笑い話で終わりましたが、その後、2017年に行われた「超くっきーランド」では総来場者55万人を記録、一躍、世界水準のアーティストという名声と、笑い話だった不労所得を現実に手に入れてしまいました。
そんな、常に想像以上の行動をし続けるくっきー!さんの絵本『口だけ紳士と6つの太陽』刊行オンラインイベントを、絵本の魅力と共に、僕なりの視点でレポートしたいと思います。
くっきー!節炸裂!
くっきー!さんと共に配信イベントに出演したのは、日本ロリータ協会会長・青木美沙子さん。
『口だけ紳士と6つの太陽』では、世界的に評価の高いくっきー!さんのイラストと、ロリータ界のカリスマ、青木さんの実写が融合した絵本となっています。
トークが始まり「主食は何ですの?」というクッキーさんの問いかけに、青木さんはロリータのカリスマらしく「マカロンです」と可愛く返答。
しかし、すかさず「こないだとんかつ食うてましたやん」と暴露するくっきー!さん。
「まぁでも、グェー言うてる豚絞めて衣つけてるんは可愛いですもんね」と、フォローのようで、より可愛くなさが際立つコメントで笑いを誘います。
更にイベント日がバレンタインデー前日の2月13日だったので青木さんが手作りクッキーをくっきー!さんにプレゼント。
「これ市販品でしょ? 形綺麗すぎますやん」と、ほとんどの芸人がそんな事は思っても気まずくならないよう口に出さない事を、そのまま伝えるくっきー!さん。
青木さんは終始否定してたものの、配信終了直前に「クッキーが市販品なんかホンマの事言うんやったら今ですよ?」と、くっきー!さんから改めて問いかけられると「やっちゃいました。ごめんなさい!」と市販品だった事を正直に暴露。
スタジオは大爆笑に包まれ、チャットでも「正直者(笑)」、「ごめんなさいも可愛い」と大盛り上がりします。
誰とでも分け隔て無く付き合う事で、とんでもなく芸人から慕われているくっきー!さん。
歯に衣着せぬくっきー!さん節で引き出された青木さんの新たな可愛さに、青木さんのファンも大喜びでイベントは幕を閉じたのでした。
絵本のテーマは「正直であること」
絵本『口だけ紳士と6つの太陽』では、くっきー!さんの世界観が詰まったイラストと青木さんの可愛い実写の融合が魅力的であるのはもちろんの事、個人的に驚いたのは、子供に向けたしっかりとしたメッセージが詰まっている事です。
イベント中に、青木さんが素直に謝ったように、正直になる事の大切さが描かれています。
くっきー!さんもオンラインイベント中に「(本を読んでない人には)くっきー!がどうせ気持ち悪い絵描いてるだけでしょ?って思われてるやろうけど、推薦図書にして欲しいわ」とコメント。
ただ無茶苦茶な世界観を展開するだけでなく、素直になる事の大切さを感じられる、良い意味で裏切ってくれる絵本となっています。
イラスト以外も魅力満載!
くっきー!さんと話してていつも驚くのが言い回しの豊かさです。
ある芸人が皆んなに責められて泣いていた話を「あめ玉みたいな涙ぼろんぼろん落として泣いとったわ」と、今まで聞いた事無いのに、めちゃくちゃ泣いてたんやろな、とスッと入って来るような例えを次から次に出してきます。
絵本の中でも「声が熱した砂を飲んだくらいザラザラになった頃」など、なぜかイメージが湧く楽しい例えや言い回しが沢山使われています。
更に巻末のQRコードを読み込むとくっきー!さんの読み聞かせ音声がダウンロード出来るので、直接本人の声で独特な例えや言い回しを聞くと、より世界観に浸れる事間違いなしです。
ちなみに、読み聞かせ中のBGMやオリジナルソングの作詞、作曲も全て自分で行ったそうで、くっきー!さんの多彩さが遺憾なく発揮されています。
書籍概要
『口だけ紳士と6つの太陽』
発売日:発売中
定価:2,000円+税
発行:ヨシモトブックス
発売:株式会社ワニブックス