毎年恒例のNSC(吉本総合芸能学院)の卒業イベント『NSC大ライブOSAKA 2021』が2月19日(金)に開催され、大阪43期生のテキサスマウンテンローレル(おのさとし、牧野晃歩)が優勝しました。新型コロナの影響で、開校以来初となるオンライン開催となった今回のイベント。大阪43期生に名古屋2期生、福岡3期生も加わった総勢138組が大集結し、白熱したネタバトルを繰り広げました。
漫才・コント・ピンネタで12組が激突
NSCで学んだ1年間の集大成として、「この日いちばんオモロかった」称号を目指すこのイベント。まずは予選会からスタートです。138組が12ブロックに分かれて1分ネタを披露し、お客様投票と作家票で各ブロック1位に選ばれた12組が決勝にコマを進めました。
この日、決勝に残ったのは、たこ珍味、男鰤男、紫式部、マニピュレート、例えば炎、清川雄司、激辛ひなまつり、はんぱもん、山椒魚、オーケストラ、テキサスマウンテンローレル、ドライブドライブの12組。
MCをザ・プラン9のヤナギブソン、審査員を同じくザ・プラン9のお〜い!久馬とスーパーマラドーナ・武智、そして上方漫才協会の大池晶文芸部長ら7人が務めるなか、1回戦は2分、2回戦は2分、3回戦は3分のネタでトーナメント戦が行われます。
激戦の末、1回戦を勝ち抜いたのは、例えば炎、ドライブドライブ、テキサスマウンテンローレル、激辛ひなまつりの4組。続く2回戦、例えば炎とドライブドライブのバトルでは、心理テストを題材にたたみかけるようなネタ運びを見せたドライブドライブが6対1で圧勝。さらに、テキサスマウンテンローレルと激辛ひなまつりの対戦では、予想の斜め上を行くコントで笑わせたテキサスマウンテンローレルが6対1で勝ち進みます。
接戦を勝ち抜いたのは…
いよいよ最終決戦。先攻のドライブドライブは、「好き」と「嫌い」がハイテンポで入れ替わるしゃべくり漫才を披露。一方、後攻のテキサスマウンテンローレルは、路上アーティストと客という定番の設定から思わぬ展開を見せるネタで勝負をかけます。
ネタの内容やテクニック、オリジナリティなど、いずれも両者譲らぬハイレベルな戦いとなりましたが、結果は1対6の大差でテキサスマウンテンローレルが頂点に! 発表と同時に2人は飛び上がってガッツポーズを見せ、そこに、昨年の優勝者であるピン芸人のモンデンも飛び入りするなど、お祝いムード全開となりました。
審査員の久馬は「ここまで差がつくとは思わなかった。本当に接戦だった」とコメント。武智は、テキサスマウンテンローレルのネタを「ボケは少ないけど、一つひとつが絶対にウケる」と大絶賛しました。大池文芸部長はライブ全体を振り返り、「みなさん、教室で見るより数倍面白くなっている。芸人さんって、こういう場を与えられるとふだんの何倍も力が出るんだなと感心しました」と笑顔で語りました。
久馬「ほとんど今日は泣いていた」
ライブ終了後の記者との質疑応答で、優勝した感想を求められたテキサスマウンテンローレルの牧野は、「うれしかったんですけど、芸人として、まだスタートラインにも立ってないので、今日は運がよかったなと思った」と控えめな回答。一方、おのは「決勝で、『筋肉番付』(TBS系のスポーツバラエティ番組)の優勝のカギ(小道具)を出すネタをやったんですが、優勝が決まる時、(舞台に)持ってくるか迷って持ってこなかったので、やるせないです」とやや心残りがある様子でした。
ヤナギブソンは「数年前に何回か(MCを)やらせていただいたが、(今年は)レベルが高かった」とライブを振り返り、テキサスマウンテンローレルについて「名前の覚えにくさ以外は完ぺき!」と笑わせます。NSCの講師でもある久馬は「大きな舞台でやってるのを見て、ほとんど今日は泣いてましたね」とボケつつ、「(テキサスマウンテンローレルは)まだまだいっぱいおもろいコントがある」と称賛しました。
大学サッカー部の先輩・後輩コンビ
テキサスマウンテンローレルの2人は、佐賀大学サッカー部の先輩・後輩という関係で、2軍のベンチで一緒にふざけていた仲だったといいます。学年は1つ違いで、先に卒業したおのに翌年卒業した牧野が声をかけて、2人でNSCに入学。NSCで学んだことについて、牧野は「お笑いの基礎を教えていただけるいい1年……って言いたいんですけど、同期と仲よくなれるっていうのが、いちばんよかった」と思い返していました。
そんな2人は、どちらもボケをやりたくて、じゃんけんでボケとツッコミを決めているとのこと。会見でもボケっぱなしで、「2人ともボケでやっていけるのか?」と質問されると、牧野は「やれるだけやります」と意気込み、おのはニヤリとしながら「どっちかがツッコみ出したら無理やったんやな、と思って」と続けました。
目標としている芸人については、それぞれ「(マセキ芸能の)モグライダーのともしげさんを尊敬していて、意識したボケをしたりしなかったりしてます」(牧野)、「FUJIWARAの藤本(敏史)さんですね。憧れてます」(おの)と回答。将来やってみたい仕事を聞かれると、牧野はグルメバラエティ番組『満天☆青空レストラン』(日本テレビ系)を挙げ、「大学時代に海苔漁師さんのお手伝いに行って、海苔を作っていたので、そこに戻れたら恩返しになる」と、その理由を語りました。