3月21日(月)にいよいよ放送を開始する新たな放送局「BSよしもと」。その開局を記念したドラマ『ファーストステップ〜世界をつなぐ愛のしるし〜』が3月27日(日)にオンエアされます。このドラマは、昨年10月に公開された外務省の開発協力広報動画『フロントランナー〜世界の未来を作る日本人たち〜』の関連事業として制作されたもの。今回は、ナビゲーターを務めるピース・又吉直樹と、主演の女優・白石聖に見どころや撮影のウラ話を聞きました。
徐々に打ち解けた初対面の2人
今回のドラマは、『フロントランナー』の動画で取り上げられた3つのテーマ(平和構築、保健・栄養、防災)のうち、「保健・栄養」に焦点を当てたもの。動画に登場したフロントランナーの1人である日本WHO協会理事長の中村安秀氏は、母子健康手帳(母子手帳)を世界に広めた人物です。ドラマでは、中村氏のエピソードをモチーフに、日本とベトナムに住む2人の女性が出会い、母子手帳によって人生が変わっていく姿を描いたストーリーになっています。
主演の白石聖は、外務省勤務の社会人1年生、吉沢みづき役を演じました。ピース・又吉直樹は外務省広報動画と同様にナビゲーターを務めます。
ドラマ本編の撮影がほぼ終了したあとに、白石と又吉がドラマのPR用対談動画の撮影が行われました。2人はこの日が初対面ということもあって、はじめは緊張の面持ちでしたが、又吉が雑談を交えて白石に話しかけると、徐々に緊張がほぐれていきます。その後はドラマの見どころや、母子手帳について、ODA(政府開発援助)の動画(『フロントランナー』)についてなど、さまざまなテーマで会話を交わしました。
又吉「思ったよりセリフがあってびっくり」
動画の撮影を終えた2人に話を聞きました。
――おふたりは今日が初対面だそうですが、お互いの印象はどうですか?
又吉 ドラマの脚本を読んでたんで、衣装を着ていらっしゃったのもあるんですけど、「(みづき役に)ピッタリやろうなぁ」って思いました。
白石 ありがとうございます(笑)。私は、いつもテレビで拝見していたのですが、(ナビゲーター役の)衣装と撮影した部屋がすごいお似合いで、「又吉さんだなぁ」って感じました。
――白石さんは、又吉さんがナビゲーターと聞いてどう感じましたか?
白石 又吉さんのODAの対談動画が本作のもとになっているとうかがいました。動画を拝見して、この動画がドラマにまでつながったんだな……と実感しました。
又吉 僕はナビゲーターって聞いてたんで、もっとセリフが少ないと思ってたんですけど、思っていたよりセリフがあったんでビックリしました。
――白石さんは今回、外務省勤務の社会人1年生・吉沢みづきを演じましたが、どんな役作りをしましたか?
白石 みづきとは年が近いですが、外務省に入りたいと思うきっかけって何なんだろうって考えて、きっと誰かの役に立ちたい思いが人一倍強い人なんだろうなって思ったんです。それを自分自身に置き換えてみたときに、私にとっては東日本大震災が初めて経験した大きな災害で、そのときに海外の人からの支援のありがたみを身に染みて実感したな、と思って。それを監督にお話しして、みづきが外務省に入りたいと思ったきっかけが東日本大震災での経験だったというウラ設定を考えたりしました。本読みの時間は2日あって、監督と一緒に一つひとつのシーンの目的やセリフの意味をかみ砕く時間があったので、撮影本番ではなんの疑問点もなく臨むことができました。
――又吉さんはナビゲーターとして、どんな点に気をつけて撮影に臨みましたか?
又吉 いま白石さんのお話を聞いていて自分が恥ずかしくなるぐらい、なんの準備もしてなかったです。
白石 (笑)
――本人役でのナビゲーターだから、役作りは必要なかったですか?
又吉 そうですね。監督が丁寧に教えてくれたので、それに従いました。「感情をもうちょっと入れてください」って言われたんですけど、ふだんからあんまり感情出にくいのと、わりと棒読みみたいなしゃべり方するんで、「もうちょっと抑揚をつけてください」っていうアドバイスもいただいて。スタッフさんとかみんなおるところで、「もうちょっと感情入れて」って言われるのって、なんかアンドロイドみたいで恥ずかしかったですけど……。「こいつ感情ないんか」みたいな(笑)。ただもちろん、このドラマにもドラマの中の自分のセリフにもすごく共感してますし、ODAの活動そのものももっと広がるべきものだと思ってるんで、言葉と自分の間のズレはそもそもないから、伝え方の部分では監督に助けてもらいましたけど、気持ちは伝わるんじゃないかなと思います。
白石「母子手帳は大切なツール」
――撮影現場は、どんな雰囲気でしたか?
白石 監督がすごく丁寧な方だったので、現場自体はすごく和やかな雰囲気でした。朝から晩まで、けっこうぎっしり(撮影が)詰まってはいましたが、それでもギクシャクしたりすることもなく。何度かご一緒させていただいたスタッフさんも多かったので、私にとってはすごく居心地のいい現場でした。
又吉 撮影期間が短いドラマって、スタッフさんが大変でバタバタしてて、ケンカしたりするのが怖いときってありますよね。「ケンカしてる……!」みたいな。そういうことはなかったですか?
白石 ケンカはなかったです(笑)。
又吉 怒られてる人がいたらドキドキしますよね、こっちも。
――日本WHO協会の理事長であり、母子手帳を世界に広めた人物役として木村祐一さんが出演していましたが、共演した感想は?
白石 木村さんはすごくおっとりしていらっしゃるというか、木村さんのまわりだけ、時間がゆったり過ぎていくような気がする方でした。だけど、ボソッと言う一言がすごく面白くて。
又吉 (笑)
白石 お子さんが作ってくれたペンダントを衣装の下に付けていらっしゃったんです。シルバーの、たぶんお子さんがイニシャルを書いたものが刻印されたようなデザインで、それを見せてもらいました。
――母子手帳が日本から世界に広がったということを知ったとき、どう感じましたか?
白石 母子手帳という仕組みが世界に広がっていることにもすごく驚きましたし、紛争地帯のような危険な地域に住む人たちも、母子手帳があれば医療を受けられると知って、そんなに大切なツールだったんだ、って……。みづきは「あんな小さな手帳が人を救っているのに、私は何もできていない」という捉え方をしていましたけど、私は単純にすごいなって思いました。なにげなく母から見せてもらっていた母子手帳が“世界共通”のもので、日本だけじゃなくていろんな国の人たちも利用しているんだなって思うと、すごく感慨深いですね。
――自身の母子手帳を見たときはどんなふうに感じましたか?
白石 私、生まれるのが遅かったみたいです。母が「早く出てこい」みたいなことを綴っていたり。夜泣きもまったくしなかったみたいで、「今日もご機嫌でいい子だったね」って書いてあったり……。もちろん、これまでたくさん迷惑はかけていますが、母いわく「小さいころは手間いらずな子どもだったよ」って。
――又吉さんも自分の母子手帳を見たそうですね。
又吉 (昨年10月に公開された)ODA動画の対談のときに実家から送ってもらって、そのとき初めて見たんですけど、白石さんのお話を聞いていると「うちの親、あんま何も書いてないな」って……。
白石 (笑)
又吉 通院歴とかは書いてありましたけど、母親の肉声みたいなものはなかったなぁ。それでもやっぱりうれしかったですけどね。「ちゃんと準備して、いろいろやってくれたんやなあ」って。対談の日に母子手帳を持ってこれるようだったら持ってきてくださいって言われて、それを母に言ったら「捨ててはないから、どっかにあると思う」って言われたんですけど、結局、対談当日の朝に届いたんです。しかも、「悪いけど本当に急いでるから」ってお願いしてたのに、小包と一緒に送られてきて。受け取られへん確率が上がるじゃないですか。「なんでやねん」とは思いましたけど、母らしいなあと。
――ちなみにその小包は何が入ってたんですか?
又吉 食べ物とかが入ってましたね。「どうせ送るんやったら」と思ったんでしょうけど。もう食べ物は大丈夫って言ってるんですけどね。
又吉「もし結婚したら、母子手帳に書き込みたい」
――今後、友だちなどに母子手帳についてどう伝えたいですか?
又吉 ドラマを見てもらいたいですよね。見てもらったら伝わるやろうし、「子どもが大人になったときに見るかも」と思ったら、がんばって書けるかもしれないですし。僕は独身ですけど、もし結婚したら自分も書き込みたいな、とか。そういうものでもあるんかなと思いますね。
――確かに、お父さんが記入してもいいですよね。
又吉 うん、そうですよね。
白石 ドラマの中で、みづきが母親に「私を産むとき、不安だった?」って聞いたら、「産まれてきたらかわいくて嬉しくて、悩んでたことなんて一瞬で忘れちゃった」って言われるシーンがあるんですけど、“母親になる”ってきっと理屈じゃないんだろうなと思うんです。それを聞いたのは、みづきがベトナムに住む妊婦のリエンさんを傷つけてしまったからなのですけど、みづきにとってはその母の一言がけっこう大きかったんじゃないかなと思って。質問の答えにはなってないかもしれないですけど、命のバトンを受け取ったら自然に芽生えるものがあるんじゃないかな、と思います。
――又吉さんは動画で、外務省が取り組む「平和構築」「保健・栄養」「防災」の活動について学びましたが、特に印象に残っていることはありますか?
又吉 どの取り組みもすごく重要な活動なので、どれがいちばんってことはもちろんないんですけど、たとえば危険な地域に行って地雷撤去の活動をされている方のお話を聞くと、地雷を撤去しながらも、いまだに紛争地帯では地雷が使われていたり、増えていたりもするんですよね。その国に住む人たちのために、リスクを冒して真剣に活動している方がいるんだから、地雷が増えない世界になってほしいなって思いました。あと、災害に対する取り組みもすごく勉強になりました。いままでもそういうものに関して無関心だったわけではないんですけど、実際に活動されている方の具体的なお話が聞けたんで、見方が変わりましたね。
番組情報
『ファーストステップ〜世界をつなぐ愛のしるし〜』(BSよしもと)
放送日時:3月27日(日) 19:00〜20:00
出演:白石聖、フォンチー、小宮璃央、阿南敦子、田中幸太朗、中西悠綺、木村祐一、又吉直樹(ナビゲーター)ほか
『フロントランナー〜世界の未来を作る日本人たち〜』はこちらから。