ななまがりのライブの何がスゴイのか…単独4公演で全部新作「人がやってないことはテンション上がる」

賞レース常連の実力派コンビ・ななまがり（森下直人、初瀬悠太）による前代未聞の単独ライブ『ななまつり二〇二二』が、4月9日（土）と10日（日）に開催されます。なにがスゴイのかというと、この2日間の4公演がすべて異なる新ネタだということ。しかも、幕間の映像などの演出もすべて違うといいます。つまり、実質、単独ライブ4回分に相当する内容を1回に詰め込んだこのライブ――なぜそんな“無茶”を企画したのか、2人を直撃しました！

『ななまつり二〇二二』は、2日間にわたって東京・北沢タウンホールで開催。4公演ではそれぞれ、ななまがりと関係の深いゲスト芸人を迎え、さらに前夜祭・後夜祭的なイベントもオンラインで配信予定と、なんとも盛りだくさんな内容となっています。

「いっちょやってみるかと」

——『ななまつり』は4公演すべて異なるネタで構成されるということですが、このとんでもないライブはおふたりが発案を？

初瀬　プロデューサーに「4月の2日間、ななまがりで何かしませんか？」と声をかけていただいて、「じゃあ単独ライブをやろう」と。でも、「同じ内容で複数回公演するのもなあ……。せっかくならぜんぶ変える？」と森下と相談して、いっちょやってみるかと。

——ライブの準備は、どれぐらい進んでいますか？

森下　今回、作る必要があるのが、新ネタ28本と、映像がオープニングを除いて20本なんです。いま映像は17、8本撮り終えて編集に回していて、できたネタは９本くらいかな。

初瀬　全体の4分の1くらいかなあ。

森下　単独ライブ1本分はもうできてるんです。

——4公演すべて違うものを見せるというライブはちょっと聞いたことがありませんが、なぜそんな自分たちを追い詰めるような企画を？

森下　僕、じつはL’Arc～en～Cielが好きなんですけど、ラルクって昔、シングル3枚同時リリースしてたじゃないですか。それを越えたくて、単独ライブ4本同時リリースを（笑）。

初瀬　やっぱり、ほかの人がやってないことは、それだけでテンション上がりますよ。もちろん準備はしんどいですけど、もしこれが成功したら怖いものもなくなるんじゃないかと思っています。

森下　単純に注目してほしいというのもあります。僕らを見に来てくださるお客さんのことを“架空客ペセ”と呼んでるんですが、ペセをもっと増やしたいんです。どれか1つでも見てもらえたら、ペセになってもらえるんじゃないかと思うんですよね。

——サービス精神が旺盛ですよね。トークライブでもネタを披露したり、ひとつの公演にコント、漫才、キャラと要素をぎっしり詰め込んだライブをしたり。

森下　そう言われればそうですね。いま言われるまで、“ペセ思い”という自覚はなかったです。

初瀬　自分たちのテンションが上がることをずっとやってるだけなんですよ。

森下　今回の『ななまつり』も、もちろん「いいネタを作って今年、活躍したい」という意図はありますけど、皆さんに楽しんでもらうことがいちばんなので、頭を空っぽにして来てほしいですね。「4公演とも違うネタやってどうなるんだ！？」なんて考えずに、ただただまつりを楽しんでほしいです。

初瀬　そう、これはまさに“まつり”なんです！

「忙しいほうが効率よくネタ作りができる」

——それにしても、28本ものネタを一気に作る機会って、まずないですよね。

森下　そうですね。それでも、だいぶ早く動き始めているので、いままでの単独ライブと同様、作ってみてやっぱり違うというものは捨ててます。クオリティはちゃんと保ってるので、そこは安心してくださいと伝えたいです。

——それだけたくさん作れば、これまでにないタイプのネタも生まれそうですね。

初瀬　自分たちもそれが楽しみなんですよ。内容は4公演ともバランスよくするつもりです。公演ごとに違う見せ場を作って、どの回もそれぞれのよさが出るように、ハズレ回がないように。「この回は下ネタが多い」とかの偏りはありませんので、どれを見ても楽しんでいただけると思います。

森下　各公演に要素をちゃんと散りばめてるので、ほんとうにどれを見ていただいてもいいんです。ただ、ゲストも、そのゲストとやることもすべての回でまったく違う予定なので。全部見てもらえたら最高ですけど、どれか1つということなら、もう運試しのつもりで選んでほしいです。

——これだけ大変な公演に加えて、「前夜祭」「後夜祭」の特別配信公演もあるんですよね？

初瀬　最初の公演の前夜と、4公演目が終わったあとにも配信をやります。これもやっぱり、“まつり”なので。

森下　内容はこれから詰めていくんですけど、プロデューサーから「公演前日のライブ設営をななまがりの2人でやって、それをずっと配信するのはどう？」と言われて。「さすがに前日にそんな大変なことはしたくないです」と、それはお断りしました（笑）。

——おふたりはここ最近、劇場にもたくさん出演しています。単独ライブのネタ作りで手一杯ということは……！？

初瀬　仕事がなかったころは長時間、顔を突き合わせていても、うまくネタができずにイライラすることもありました。でも最近は逆に、短い時間でネタが作れるようになってきたんですよ。

森下　進研ゼミの広告にある“部活と勉強、両立したほうがうまくいく”って本当なんやなと最近わかりました。時間だけあっても集中が途切れてしまう。

初瀬　僕らはいまくらい忙しくさせてもらってるほうが、効率よくネタ作りができるみたいです。

——かつてはネタ作りの際に相当ぶつかっていたそうですが、むしろ忙しくなったことで関係性がよくなった？

森下　なんとかお笑いだけでご飯を食べられるようになったのは大きいですね。バイトをやっていたころは、それがストレスでギスギスしていた部分もあったかもしれません。油断したらすぐ逆戻りだとは思いますけど、一応、ようやくプロになれたことで、多少は気持ちの余裕ができたかなと。

初瀬　それで関係性がよくなってるのはありますね。あと僕、彼女がいまして。プライベートが充実しているぶん、仕事の集中力が増してる感じがします。

森下　初瀬は彼女から「わんわん」と呼ばれてて、彼女のことを「にゃんにゃん」と呼んでるんですが、にゃんにゃんのおかげでコンビ間がうまくいってる部分はあると思います（笑）。これまで僕ら、特に単独前はピリピリしてケンカが多かったんですよ。でも、最近はちょっとモメたとき、後から初瀬が謝ってくることがあるんです。どうやらにゃんにゃんが、初瀬から話を聞いて「それはわんわんが悪いでしょ」と言ってくれてるみたいで。

初瀬　いい彼女でしょう！　森下ってクセのある性格ですけど、彼女も森下とちょっと似たところがあるんです。知らぬ間に僕のまわりには、こんな感じの人が多くなっちゃってるんですけど（笑）。

森下　そういうタイプを呼び寄せてるんじゃない？

初瀬　だからにゃんにゃんは、森下の考えがわかるんですよ（笑）。にゃんにゃんは恋人であり、もうひとりの相方のような感じでもありますね。

森下　にゃんにゃんの存在は、ななまがりにとってプラスでしかないです。