宮川大助、闘病中の妻・花子への思い語る「女房は元気なときから大事にしましょう!」

現在の医療では完治が難しく、寛解と再発を繰り返す血液のがん、多発性骨髄腫。その患者のための新しい取り組みである「こころと話そうプロジェクト」の発表会が3月23日(水)に大阪市内で行われ、患者の家族代表として漫才師の宮川大助がトークセッションに登壇しました。妻の宮川花子は、2018年3月に多発性骨髄腫と診断され、現在も闘病中。大助は家族の立場から、病気への向き合い方や花子の様子などを語りました。

出典: FANY マガジン
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病気と闘う花子の心の内

「こころと話そうプロジェクト」の目的は、多発性骨髄腫の患者が、医師をはじめとする医療従事者とのより良いコミュニケーションを築けるようにすること。患者は、自分が望む日々の過ごし方や大切にしたいことなどを自分宛てのメッセージカードに書き、指定した日に受け取ります。自分の希望や思いを言葉にするという体験を通じて、患者は、大切な思いを見つめ直し、さらにそれを周囲に伝え、話し合う重要性に気づく機会を得られるといいます。

発表会のトークセッションでは、まず「少し未来の自分へ」と題した、花子が自分にあてた手紙が紹介されました。入院当初は手が震え、ペンすら持てなかったという花子の手紙は「ようやくペンが持てるようになりましたね」という言葉から始まり、日々、家族や仲間に感謝しながら生きていることや、病気と闘う自身に向けた心の内がつづられていました。

出典: FANY マガジン
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花子の闘病生活の始まりと同時に新型コロナウイルスが流行し、仲間と会えない日々が続くなか、大助は「毎日のように届く仲間からの手紙が、なによりも励みになっていました」と明かします。花子の症状は一進一退の繰り返しですが、「今日は『あんた! 行ってらっしゃーい!』と舞台と同じような声で見送ってくれました」と大助は顔をほころばせながら話しました。

朝は“おしっこ報告”から

そんな大助と花子の日常生活は、花子の「おはよう!」という朝の挨拶から始まるそう。つきっきりで看病している大助は、いまでは波長が合うようになったのか、夜中のトイレも同じ時間に目覚めるのだとか。

「朝食は娘が作ってくれるのですが、2人で食事しながら、今日は『おしっこがよく出た』とか、そんな話をします。ご飯を食べている最中に何もそんな話は……と思ったんですが、明るい声でそう言ってくれることが僕の喜びになっていて。トイレでさえ、奇跡なんです。だから僕らが健康で生きていることは、ウルトラ奇跡だと!」と、思わず声に力が入ります。

また夫婦の関係を振り返って、こう続けました。

「いままでは宮川大助・花子で生活していましたが、女房が病気をして、家で闘病生活が始まって初めて、(本名の) 孝美と美智代の生活をしています。いまは1日でも頑張ってくれる姿に感謝していますし、その姿が嬉しいです」

出典: FANY マガジン
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長期にわたる治療を続けるには、担当医をはじめ医療従事者とのコミュニケーションが大事だという近畿大学医学部教授の松村到医師らの話を受け、大助は病気が発覚した当時を振り返りました。

「『大ちゃん、花ちゃんを殺す気か、すぐ連れて来い!!』と言われたのが、担当の先生との出会いでした。首から下がマヒして、緊急事態になって連絡をしたら『アホか~! すぐ連れてきなさい!』と。病院に到着したときには花子は意識がなく、1週間が勝負、治っても後遺症が残る可能性もあるとも言われました。でも、先生にそうやって怒られたことで希望が持てました」と時折、涙を浮かべて話します。そして「それが先生の最高の愛だと思いましたし、いまでは全幅の信頼を置いています」と感謝の気持ちを表しました。

一時は余命1週間とも言われた花子ですが、強靭な生命力で意識を取り戻し、いまではリハビリを受けるまでに。そんな花子について「仲間がいるから強さが生まれた」と大助。入院中は、医療従事者はもちろん、清掃スタッフとも仲良くなり、1人の看護師さんは悩み相談までしていたそう。大助はそんな話を嬉しそうに続け、「自分の命を助けてくれている方々に感謝して、出会った縁に感謝しながら、友だちとか仲間、そんな感覚を持って付き合うんや」という花子の言葉を明かしました。

出典: FANY マガジン
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「私はいま日本一幸せ者です」

続いて大助が代読したのは「多発性骨髄腫の患者様へ」という花子からの手紙。そこには花子らしい力強い言葉がつづられていました。

「医学は日進月歩で進んでいます。主治医と相談のうえで自分を信じて頑張りましょう。自分の体、人生を粗末にしてはいけません。負けるわけにはいかない。同士の皆さん、闘っていこう! こんな苦しい思いをしてるんやで! 負けてたまるか!」

最後に大助は、患者とその家族に向けてエールを送ります。

「僕はいま、家族で戦っていますが、僕の家のなかには愛の光が山ほどあります。これは女房が教えてくれました。夫、妻、子ども、仲間、医療従事者、それぞれの愛があり、私はいま日本一幸せ者です。毎朝の女房の『おはよう!』の声で僕が笑顔になります。本当に感謝しています。みなさん、家庭では『おはよう!』の挨拶から始めましょう。明るくなります」

そして、世の中の「夫」たちに向けて、「世の男性陣、女房は元気なときから大事にしましょう! 僕は漫才に追われ続け、相方として花子を見ていましたが、病気になって初めて、いかに大事な相方であり、伴侶であるかわかりました。女房は元気なときから大事にしましょう!」と大きな声で語りかけました。

出典: FANY マガジン
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