近畿大学×吉本興業「笑い」の医学的効果検証 第2弾「笑い」によるがん経験者の生活の質向上とストレス緩和をめざす

近畿大学医学部 内科学教室(心療内科部門)教授 小山敦子氏、医学部講師 阪本亮氏を中心とする研究グループは、吉本興業と共同で、令和4年(2022年)4月から、「笑い」を医学的に検証する共同研究の第2弾を開始します。
本研究は、近畿大学と吉本興業が平成 28 年(2016 年)12月 に締結した包括連携協定および近畿大学の「”オール近大”新型コロナウイルス感染症対策支援プロジェクト」の一環として実施されます。

出典: FANY マガジン

1.ポイント

・ 「笑い」がもたらすがん経験者の生活の質向上や酸化ストレスの影響などを医学的に検証
・ お笑いDVDを毎日15分、4週間鑑賞した後で心理的影響や酸化ストレスの変化を測定
・がん経験者の生活の質向上に向けた手法の確立をめざす

2.背景

我が国では、2人に1人が生涯のうち1度はがんに罹患し、3人に1人ががんで亡くなると言われています。しかし、検診による早期発見や医療技術・創薬の進歩によって、治療後の生存率は向上しており、がんは長く付き合っていく慢性病に変化しつつあります。
国の第2期がん対策推進基本計画では、「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」と明記されており、治療後の社会生活を長期的に充実させることが重要と考えられています。一方で、がん経験者は疼痛や疲労、神経障害、再発の恐怖など様々なストレスに脅かされていることが多く、特に最近は、新型コロナウイルス感染症による社会的なつながりやサポートの低下が不安や苦しみを増加させる要因となっています。

3.内容

本研究チームは、平成29年(2017年)に実施した第1弾の検証で、笑いが「緊張・不安」「怒り・敵意」「疲労」のスコアを改善することを報告しました。今回の調査では、がん経験者を対象に、自宅などでお笑いDVDを毎日15分以上、4週間鑑賞し、採血による酸化ストレス測定とアンケートによる心理検査にご協力いただきます。DVDは、名人による漫才と落語など3種類を使用します。
がん経験者がお笑いを鑑賞し続けることで、生活の質がどの程度向上するのか、精神状態や酸化ストレス、抗酸化力への影響を調査します。調査で得られた参加者の性別、年齢などのデータをもとに、笑いへの反応や効果予測などを検証し、将来的にはがん経験者の方の生活の質向上の手法を確立させるなど、新しい価値の提供につなげていきたいと考えています。

4.調査概要

調査期間:令和4年(2022年)4月4日(月)~9月30日(金)
調査方法:研究チームが提供するお笑いDVDを毎日15分以上、4週間にわたり鑑賞
近畿大学病院にて研究初日と最終日に酸化ストレスを測定
心理検査を含む質問票を記入
対  象:がんと診断されている20歳以上の方で、現在治癒しているまたは安定している方
参加方法:QRコードからメールにてお申込みください。

出典: FANY マガジン

折り返し、担当者よりご連絡いたします。
※条件、応募人数によりご参加いただけない場合があります。

申込締切: 令和4年(2022年)9月2日(金)※定員に達し次第、締切となります。
お問合せ:近畿大学医学部内科学教室(心療内科部門)阪本 亮
E-mail:ryo-sakamoto@med.kindai.ac.jp

5.“オール近大“新型コロナウイルス感染症対策プロジェクト

近畿大学は、令和 2 年(2020年)5月から「”オール近大”新型コロナウイルス感染症対策支援プロジェクト」を始動させました。これは、世界で猛威をふるう新型コロナウイルス感染症について 、医学から芸術までの研究分野を網羅する総合大学と附属学校等の力を結集し、全教職員から関連研究や支援活動の企画提案を募って実施する全学横断プロジェクトです。これまでに 126件の企画提案が採択され、約2億3千万円の研究費をかけて実施しています。